題:WHO-世界結核デー2022

英題:WHO-World TB Day 2022

記事リンク:https://www.afro.who.int/regional-director/speeches-messages/world-tb-day-2022

内容と背景:

こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

本日は世界結核デーということで、コロナ下におけるアフリカの結核の状況に関する記事をピックアップしました。

結核とは、結核菌によって発生する感染症です。いわゆる空気感染を起こし、一般的には肺の内部で増えて、咳、痰、呼吸困難等の症状を呈することが多いですが、肺以外の腎臓、骨、脳など身体のあらゆる 部分に影響を及ぼすこともある病気です。戦前の日本においては死亡原因のトップであり、当時は「亡国病」として恐れられていましたが、現代では日本など先進国での感染者が減少し、そのほとんど(95%)がアフリカや南アジアといった途上国で発生するようになりました(参考記事1, 2)。

今回の記事では、コロナウイルスが医療体制を混乱させ、ケアが不十分になった結果こうした結核の感染状況が世界やアフリカで悪化しており、こうした状況から立ち直るために積極的な投資が必要であるということが述べられています。

コロナ禍におけるアフリカの結核の現状

コロナ禍で世界の結核の状況が悪化したという事ですが、結核による死亡者数を見るとそのことが明らかになります。実際に、こちらの記事ではコロナ前の2019年とコロナ禍最中の2020年の世界の結核死亡者数が比べられていますが、2020年でのこの数字は150万人であり、2019年時よりも10万人ほど死者数が増加したとことが示されています。また、記事では、世界の結核死亡者数が上昇したのは数十年ぶりのことだと言及されており、それを鑑みると結核の蔓延状況が大きく悪化したと考えられます。

また、今回の記事によると、アフリカは2020年において世界の結核死亡者数の36%を占めていますが、こうしたアフリカの結核死亡者の状況もコロナウイルスの影響で同様に悪化したと考えられています。実際にこちらのデータでは、2018年まで減少傾向であった南アフリカにおける結核死亡率が、2020年には前年と比べて10.5%増加したことが示されています。またこちらのグラフでは、ケニアの死亡率についても同様の傾向が見られたことが紹介されています。

アフリカにおける結核死亡者数増加の原因としては、コロナウイルスへの対応によって結核への対応に必要なリソースを割くことが出来なかった状況があります。実際に今回の記事では2018年の国連総会において結核の予防と診断に130億ドル、創薬研究に80億ドルを2022年までに投資することが決定されものの、コロナウイルスによる混乱により結局目標の半分の投資も出来なかったことが紹介されていますが、このように資金や人材がコロナウイルスの対応に回されてしまったことで、ワクチン開発や創薬研究が遅れるとともに、結核に対する診断や治療が不足してしまったのです。

特に診断や治療の不足について、こちらの記事では、実際にアフリカの例を用いて解説がなされています。記事によると、コロナ禍によって世界全体でも診断へのアクセスが25%ほど減少している中(参考記事7)、南アフリカでは結核患者の約半数、ケニアでは約40%が、診断、治療を受けられない状態であったと言われています。

また、以前こちらの記事でご紹介したように、HIVへの資金的、人的投資もコロナウイルスの影響で下火になったことが、結核死亡者数を高める原因となりました。HIVは患者の免疫力を下げるウイルスなので、HIV患者が結核に重複感染した場合、結核の発症、重症化リスクが数十倍に高まるのですが、上記の状況によりHIVへのケアが不足し、HIVの感染状況が悪化したことが、結核の蔓延状況も悪化させる原因となりました(参考記事9)。

投資への期待

今回の記事では、コロナウイルスの状況がある程度落ち着いてきた今、上記のような結核の状況を改善するために積極的な投資が必要であると述べられており、それに答える形で世界エイズ・結核・マラリア対策基金の第7次増資キャンペーンが開始されたことが紹介されています。

こちらの記事では、このキャンペーンについて詳しい説明がなされています。記事では、2月23日に開催されたグローバルヘルスサミットにおいて、ルワンダ、コンゴ、南アフリカ、ケニア、セネガルの大統領が主導して開始されたこのキャンペーンは、合計180億ドルの投資を行うことでコロナウイルスによって混乱したHIV、結核、マラリアの医療体制を立て直すことを目標としています。

またこの記事では、この投資によって、2026年までにこれら3つの感染症による死亡率が2020年と比べて64%ほど減少すると述べられていますが、このように、この投資が実際に結核の死亡者数の減少に貢献するという見込みがあります。具体的には、結核のケアや研究への投資による結核の診断、効果的な治療へのアクセスの拡大や、HIVケアへの投資による結核の発症、重症化確率の低下による死亡者数減少が期待されています。

こうしたことから、結核への投資の重要性が認識され始めており、本日の世界結核デーにおいても、“Invest to end TB. Save lives”(結核根絶のために投資を行い、命を救おう)というテーマが設定されていることが今回の記事では紹介されています。

第7次増資キャンペーンも開始されたばかりで、実際に今後180億ドルの投資を実現できるかは分かりませんが、こうした投資によりアフリカや世界での結核ケアが充実していくことに期待したいです。

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関連記事:

1.ルワンダ:WHOから称賛を受ける(他、結核ワクチンの開発に関する話題)【Pick-Up! アフリカ Vol. 25 (投稿:2020年11月2日)】-Link

2.エイズ対策がアフリカのパンデミック収束の鍵となる?ーコロナウイルスとHIVの関係性 【Pick-Up! アフリカ Vol. 242:2021年12月06日配信】-Link

3.アフリカ:独自に医薬品の製造を開始する日は近い?【Pick-Up! アフリカ Vol. 188:2021年7月1日配信】-Link

参考記事:

1.結核(BCGワクチン)-結核(BGGワクチン)-Link

2.肺結核-国立国際医療研究センター病院-Link

3.Global TB deaths rise for first time in more than a decade-Link

4.South Africa – Tuberculosis death rate-Link

5.Kenya – Tuberculosis Death Rate (per 100,000 People)-Link

6.In Sub-Saharan Africa and Elsewhere, We Need to Look Harder for Tuberculosis-Link

7.Deaths from TB-TB facts-Link

8.エイズ対策がアフリカのパンデミック収束の鍵となる?ーコロナウイルスとHIVの関係性 【Pick-Up! アフリカ Vol. 242:2021年12月06日配信】-Link

9.ルワンダ:WHOから称賛を受ける(他、結核ワクチンの開発に関する話題)【Pick-Up! アフリカ Vol. 25 (投稿:2020年11月2日)】-Link

10.Five African Presidents Launch Global Fund’s US$18 Billion Campaign to Restore Progress Against AIDS, TB and Malaria Amid COVID-19 Disruption-Link


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