題:メルク財団、テレビ番組「Our Africa by Merck Foundation」を通じてアフリカの社会問題、健康問題に取り組む

英題:Merck Foundation to address social, health issues in Africa through ‘Our Africa by Merck Foundation’ TV program

記事リンク:https://www.pmldaily.com/news/2022/04/merck-foundation-to-address-social-health-issues-in-africa-through-our-africa-by-merck-foundation-tv-program.html

内容と背景:

こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

本日は、アートやファッション、メディアの活用でアフリカの社会問題、健康問題を改善する取り組みについての記事をご紹介します。

アフリカの社会問題と健康問題

アフリカには様々な社会問題が存在していますが、その中でも重大なものとしてジェンダー問題が挙げられます。具体的にこちらの資料では児童婚について、現在アフリカの女性の3人に1人が18歳を迎える前に結婚を強制されていることが示されていますが、こうした形で女性が差別されている状況があります。

また健康問題もアフリカにおいては大きな問題の一つです。そのうちの1つとして、こちらの記事では肥満と飢餓の問題について紹介されていますが、ケニアでは肥満と飢餓の状態にある人口がそれぞれ全体の3分の1を占めており、糖尿病などの生活習慣病と栄養失調の2重負担に悩まされていることが示されています。

こうした問題の主要な原因としては、ジェンダー問題是正のための制度の欠如や不安定な食料供給といった全体レベルの問題がありますが、それと同様に重大な原因として人々の間での情報不足や問題意識の低さといった個人レベルの問題が存在しています。

実際に後に紹介するこちらの動画では、糖尿病の問題には情報不足の状況が深く関わっていることが示されています。具体的には、アフリカでは糖尿病患者のうち54%が医療機関での診断や治療を受けていないと推測されていますが、これは医療アクセスが不十分であることに加え、人々の間で糖尿病の症状に関しての情報が不足しており、早期、中期の段階で病気であることに気づかないためだと示唆されています(参考記事3, 4)。

さらにこちらの動画でも同様に、問題意識の低さが児童婚の改善を妨げる原因となっていることが示されています。具体的には、アフリカ内部でのジェンダー差別に対する問題意識が依然低いために多くの地域で児童婚が慣習として残り続けており、実際に2000年から2022年までの約20年間でアフリカにおける児童婚の割合が10%しか改善しなかったとされています。

アートやメディアを用いた認知活動

こうした中、アートやファッション、メディアを用いた認知活動により意識改革を促し、アフリカの社会問題、健康問題を改善しようとする取り組みが近年盛んになってきています。

今回ご紹介する記事では、その中でもドイツのメルク財団の活動が取り上げられています。記事によると、この団体はアフリカのジェンダー問題や健康問題を改善するため、絵本や音楽を用いた人々への認知活動を実施しています。また、これら問題の意識改革に貢献しているアーティストへの表彰や奨学金の提供で、次世代の活動家の育成も行っています。

そして記事では、このメルク財団が2週間ほど前に「Our Africa by Merck Foundation」と呼ばれるテレビ番組の配信を開始した事が紹介されています。テレビという影響力のある媒体を用いることで、都市部だけでなく農村部の人々にも働きかけ、問題に対する認知をさらに効果的に広めることを目的としているようです。

上でもご紹介したように、すでに2つのエピソードがyoutubeでも配信されています。Ep.1のテーマは糖尿病、Ep.2のテーマは児童婚と女性教育であり、動画内ではメルク財団に支援を受けたアーティストが問題認知活動のために作成した絵本、音楽、服を紹介することで、視覚的にこれらの問題に対する意識を高める工夫がなされていました。

また以前執筆したこちらの記事では、子どもの栄養失調の問題を、ケニアで子育ての際に用いられる「レソ」という布を用いて改善する取り組みについて紹介されています。記事では、親の情報不足により適切な栄養が与えられていないことが子どもの栄養失調の1つの原因であるため、正しい栄養の情報が記載された「レソ」を母親達に配布することで子どもの栄養管理の知識を広めようとしていることが紹介されています。

さらにこちらの記事では、皮膚の一部が白くなる尋常性白斑を持つ人々に対する差別をアートを通して改善しようとする取り組みがウガンダのアーティスト、Martin Senkubugeによって行われていることが紹介されています。具体的には、この症状を持つ人を題材にした美しい絵を書くことで患者のエンパワーメントを行うとともに、社会の理解を高めて差別をなくそうとしています。

メルク財団のテレビ番組は現在ケニア、ウガンダ、ガーナのみで放送されていますが、今後は他のアフリカ諸国にも放送を広めることを予定しています。また、「レソ」の活動もケニアや東アフリカ各地に活動を展開し、100万枚以上を母親たちに配布することを目指しています。

こうした形で今後社会問題、健康問題に対しての認知活動が拡大し、意識改革による問題の改善がアフリカの各地で行われることが期待されます。

今回の内容に関連した記事を参考記事の下にまとめましたので、そちらも合わせてぜひご覧ください!

またアフリカ進出に関するご相談がありましたら、その下のリンクからお問い合わせください。

参考記事:

1.Accerating efforts to eliminate child marriage in Africa-Link

2.KFCがアフリカの食生活を変える?【Pick-Up! アフリカ Vol. 180:2021年6月15日配信】-Link

3.Prevalence of Both Diagnosed and Undiagnosed Diabetes-Link

4.International Diabetes Federation-Diabetes in Africa-Link

5.アフリカ布を使ったケニアでの育児教育の取り組み【Pick-Up! アフリカ Vol. 14:2022年3月8日配信】-Link

6.Uganda: Artist uses paintings to highlight prejudice towards vitiligo-Link

参考動画:

1.’Our Africa TV Show’ by Merck Foundation Ep.1: Diabetes Awareness.-Link

2.Child Marriage and girl child education | Our Africa by Merck Foundation-Link

関連記事:

1.南アフリカの砂糖税は肥満問題を解決したのか?【Pick-Up! アフリカ Vol. 9 :2022年2月22日配信】-Link

2.南スーダンのイメージを変える!若きデザイナーの情熱【Pick-Up! アフリカ Vol. 214:2021年9月13日配信】-Link

3.アフリカ布を使ったケニアでの育児教育の取り組み【Pick-Up! アフリカ Vol. 14:2022年3月8日配信】-Link


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