こんにちは!Pick-Up!アフリカです。

今回は、アフリカ、主にルワンダにおける畜産業についてご紹介します。

元記事:

https://www.newtimes.co.rw/business/how-one-cow-poor-family-could-bolster-milk-production

How one cow per poor family could bolster milk production

アフリカでは、牛が人々の生活と文化の中に関わっています。アフリカに存在する様々な品種の牛は、食料となり、栄養摂取の方法となるだけでなく、収入源や土壌や窒素が豊富な肥料の生産に大きく貢献しています。また、経済的資産であるだけではなく、富や社会的地位の象徴としても扱われています。

ルワンダの「貧しい家庭に一頭の牛」政策

今回ピックアップした記事では、ルワンダにおける牛の政策について書かれています。

ルワンダでは、2006年から「ギリンカ」と呼ばれる、「貧困家庭に一頭の牛」プログラムが行われてきました。これは、ルワンダ政府が一定値よりも貧しい家庭に一頭の牛を提供する取り組みのことです。

2021年9月までに、合計413,121頭の乳牛がギリンカによって提供されました。

このプログラムに参加する家庭は、牛舎を立て、飼料ユニットを設立し、繁殖させた最初の牛を他の農家に渡す必要があります。また、他の農家に渡す牛も10ヵ月の間は健康、衛生、栄養の面でプログラムに沿って育てなければならないとのことです。

このプログラムにより、様々な効果が現れているようです。例えば牛乳の生産面では、牛乳生産量が2011年の442,337トンから2021年には891,326トンに増加しました。また、このプロジェクトが目指している貧しい家庭のサポートの面では、生産した生乳を家庭でも消費できるようになったことで、子供の栄養失調を抑えることができています。さらには、自分たちで消費しない分を売ることで、それが収入源になっているとのことです。その上、できた肥料を農業に活かすことによって生産性の向上に貢献しているとのことです。これらのことは、世帯収入をあげることに成功しています。

このプログラムに参加した方のインタビューも共有されており、その一人、三人の子供を持つMarie Ange Mukeshimana氏は、4頭の牛を飼っており、特に子供たちが栄養失調になることを防いでいる点でその効果を感じていると述べています。

政府は、2021会計年度中で、ギリンカを支援するために予算に300万ルワンダ・フランを割り当てました。 これにより、この取り組みを開始してからこれまでの間に約362億ルワンダ・フラン(約48億円)を投資したことになります。 また、人工受精による遺伝の改善や生産量の高い品種にすることによって、その生産量を増加させています。また、定期的に予防接種を行うことによって病気の予防、その他にも、設備・新しい飼料と保存技術の提供、乳製品工場の管理などが行われています。

ギリンカの課題

こちらの記事によりますと、ギリンカには課題が残されているようです。その課題とは、このプログラムに参加できる農家がかなり限られていることだそうです。というのも、選ばれる基準として、かなり貧しい家庭でないといけないものの、牛のために飼料を作ることができるほどの土地は持っていないといけないからです。

また、このプログラムに参加できなかった農家にはヤギのような小型動物が提供されています。しかし、文化的に大切にされてきた牛とは対照的に、ヤギが軽視されているように感じ、ヤギを飼おうとする意欲を削いでいるとのことです。そのため、繁殖させようとせず、売却してしまう農家がいるとしています。

アフリカの畜産業と気候変動の影響

今回の記事では、気候変動による影響についても書かれています。通常6月から8月で終わる乾季が2021年には9月まで長引いたことで、飼料と水へのアクセスが困難になりました。これにより、国をリードする乳製品加工業者は生乳の供給が減少し、その生産量を半分まで減少させたとのことです。

以前投稿したこちらの記事では、気候変動により、アフリカの畜産業に与えた影響に関して書かれています。気候変動による気温の上昇によって東アフリカの多くの土地が畜産業に適さないものになるとのことです。畜産業の生産低下は食糧や栄養の安全保障を脅かすとし、また、今後人口が増加していくことを考えるとその生産の維持・増加は必須と考えられます。

アフリカの畜産業、今後の課題

アフリカ全体の畜産業の問題として、生産性が低いことがあげられます。こちらの記事によりますと、アフリカでは一頭から平均的に約540リットルの生乳が生産されるのに対し、北米の商業用の牛では、約10,479リットル生産することができるとのことです。このデータを見てもわかるように、その生産性の低さが問題となっています。

北米との生産性の違いは主に飼料の違いであるとのことです。こちらの記事で挙げられているように、アフリカの牧草の種子は主に南米や東南アジアからの輸入で賄われているとのことです。もし、カメルーンで栽培されているブラキアリア属の牧草をうまく活用することができれば、その生産性を改善し、輸入コストを抑えることができるとしています。

ルワンダのギリンカは貧しい家庭においてある一定の効果をもたらしているようです。しかし、そこには課題も存在し、今後気候変動の影響を受けるのではないかと予想されます。アフリカ全体の畜産業の問題と合わせて、その課題を解決していく必要があるでしょう。畜産業が盛んなアフリカで、この記事を読むことで課題の解決に興味を示す人が増えることを願います。アフリカの進出に興味のある方はお問い合わせよりご連絡ください。

参考記事:

東アフリカの畜産業を脅かす気候変動:その影響とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 114:2021年2月23日配信】Link

African cattle investing – the new cash cow?-Link

A grass native to Africa could transform the continent’s dairy yields. Here’s how-Link

The story of cattle in Africa-Link

Sacred Cows of Rwanda-Link

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