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本日は、デジタルトランスフォーメーションによってジェンダー平等を叶える、トーゴの取り組みについてご紹介します

(ジェンダーに関しては最近ウガンダにおける反LGBT法がホットな話題ですね。ぜひこちらの過去記事をご確認ください!)

豆知識:トーゴってどんなところ?
皆さんはトーゴと聞いてどんなイメージがありますか?

トーゴはギニア湾に面する西アフリカの一国で、首都はロメ、公用語はフランス語です。宗教は、伝統的宗教が多数の人々に信仰されています。主要産業は農牧業、鉱業です。
また観光資源も豊富で、自然保護区やビーチリゾートなどが有名です。

トーゴの現状とジェンダーギャップ

トーゴではデジタルインフラの整備が急速に進んでおり、インターネット普及率は2011年には5%以下だったのが、2021年には15倍の75%にまで伸びました。そしてモバイル決済に関しては、2011年にはまだ使われていませんでしたが、2021年には58%の使用率を見せています。(といっても、現在も電話基地局の40%はまだ2G(1993年に登場した第二世代移動通信システム)を使用しており、完全なデジタル化までの道のりは長いのが現状です。)

近年のコロナ禍で、社会の格差を是正するツールとしてのDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が世界的に顕著になりました。しかし低・中所得(LMICs)では男女間のデジタル格差が深刻、女性の携帯電話所持率は84%、男性は89%で、所持する女性は男性より1億3100万人(7%)少ないのが現状で、この格差は2017年から変わっていません。スマートフォンに関しては、所持している女性は男性よりも3億1500万人(18%)少ないそうです。(参考記事

男女間のデジタル格差によって経済的・社会的格差が拡大してしまう可能性が高いと言えます。

また、ジェンダー平等の促進は、2015年にAUで採択されたアジェンダ2063の20の目標のうち、17番目に「生活のあらゆる領域における完全な男女平等」とあるように、アフリカ全体でも優先順位の高い課題となっています。

トーゴの女性が直面するデジタル機器への不平等なアクセスと、女性をデジタル経済に取り込む重要性

トーゴはコロナ禍に「NOVISSI」と呼ばれるデジタル現金給付プログラムを開始し、全成人の25%を対象に、3400万ドルの資金援助を配布しました。このプログラムの目的は、移動制限やソーシャルディスタンスの影響を受けたインフォーマルセクターの労働者を助けることです。

「NOVISSI」の恩恵を受けた国民の6割は女性で、男性よりも女性を優先して給付したそうです(家事や看病など重要な役割を果たしているのは女性であるため)。

このようなプロジェクトをはじめとする様々な非接触型のサービスの恩恵を受けるには、デジタル機器へのアクセスが必要になります。しかし、このプロジェクトのリサーチで露呈したのは、(特に僻地における)女性のデジタル機器へのアクセスの少なさでした。家庭に一台ある場合でも、女性ではなく男性が端末を持っているケースが多かったそうです。

このようにデジタル格差がある社会においては、デジタル化しつつある国・民間のサービスを女性が受けるのが難しくなる一方です。

このような結果を受け、トーゴでも、デジタル端末へのアクセスのジェンダーギャップを是正することが、女性の経済的なエンパワーメントにとって不可欠だと判明しました。

そして男女間のデジタル格差を解消することは、経済格差を是正するだけではなく、様々な面で女性を後押しします。例えば過去記事でも取り上げているように、デジタルプラットフォームが提供する、女性特有の問題(性暴力、10代の妊娠など)を解決するサービスを使えるようになれば、女性のヘルスギャップを是正することができます。

トーゴにおけるデジタル戦略、Togo Digital 2025

トーゴは、西アフリカのデジタルハブになることを目指し、国をあげてデジタルトランスフォーメーションを推し進めています。デジタルトランスフォーメーションに向けた政策の柱となるのが、「Togo Digital 2025」です。この戦略に沿って、以下のプロジェクトが推し進められています。

★行政手続きの75%をデジタル化し、20の公共サービスをペーパーレス化する

国民がより楽に生活し、行政との距離を縮めるため、サービスのデジタル化を目指しています。トーゴ政府はこのプロジェクトに80億CFAフラン(17億円超)をかけ、世界銀行と中国進出口銀行も支援しているようです。このプロジェクトの成果は以下の通りです。

・行政機関・病院・公立大学を結ぶ光ファイバーネットワークなど、基本的な接続インフラの整備

・トーゴ初のデータセンターの建設

・国のサイバーセキュリティ機関の誕生

★普遍的なIDシステムを作り、国民をデジタル経済に取り込む

トーゴ政府は、生体認証のIDと個々の識別番号を導入し、国民に電子IDを提供することを目指しています。国民が電子IDを持てるようになれば、次のようなロジックで経済的・社会的ジェンダーギャップが解消されるとしています。

①電子IDがあれば、民間セクターとの連携による現金払いのビジネスモデルやマイクロローンを使えるようになる

②誰もがモバイル機器(特にスマートフォン)を入手できる

③僻地であってもサービスを受けることができたり、女性への補助金を受けられたりと、享受できるデジタルサービスの幅が広がる

元記事によると、政府主導の電子IDを携帯電話・モバイルウォレットと組み合わせることによって、女性・貧困層・社会的弱者(障がい者等)が抱える格差を体系的に解消することができるそうです。

★海底ケーブル「Equiano」の上陸

参考記事によると、Googleが2019年から手がけている、西ヨーロッパと南アフリカを結ぶ海底ケーブル「Equiano」が2022年、トーゴに引かれたそうです。この海底ケーブルはアフリカにおいて最も大容量であることはもちろん、以前にGoogle社が構築した国際ケーブルの20倍であり、これによってデータ料金が安価になると見込まれています(詳しくは過去記事をご覧ください)。

終わりに

いかがでしたでしょうか?今回は、トーゴ政府の政策に焦点を当て、デジタルトランスフォーメーションによってジェンダーギャップを是正する展望を見ました。

今後のトーゴにおける動向が楽しみですね!

ご覧いただきありがとうございました。次の記事もお楽しみに!!

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