こんにちは!Pick-Up!アフリカです。

今回は、西アフリカに位置する国「ベナン」について紹介します。

日本ではあまりなじみのない国かもしれませんが、ベナンは歴史も文化もとてもユニークな魅力にあふれた国です。アフリカ旅を考えている方や、アフリカの国々に興味がある方に向けて、ベナンの基本情報から観光、インフラまで、わかりやすくお伝えします!

どんな国シリーズではアフリカ大陸内の様々な国を紹介しています!

まだご覧になっていない方は、ぜひあわせてご覧ください!

ベナンってどこにあるの?

ベナン共和国(通称ベナン)は、西アフリカに位置する南北に細長い国で、東にナイジェリア、西にトーゴ、南はギニア湾に面し、北にブルキナファソとニジェールという4カ国に囲まれています。

ベナンの基本情報

国名ベナン共和国(République du Bénin)
面積112,622平方キロメートル(日本の約3分の1)
首都ポルトノボ(Porto-Novo)(実質的首都機能はコトヌ)
人口1,335万人(2022年、世銀)
民族フォン族、ヨルバ族(南部)、アジャ族(モノ、クフォ川流域)、バリタ族、プール族(北部)、ソンバ族(アタコラ山地、トーゴ間)等46部族
言語フランス語(公用語)
宗教イスラム教(27.7%)、カトリック(25.5%)、プロテスタント(13.5%)、ブードゥー教(11.6%)、その他キリスト教(9.5%)、その他伝統的宗教(2.6%)
時差日本より8時間遅れている
外務省のWebsiteより抜粋・編集

国旗

1960 年の独立時から使用。その後1975 年から1990年までは別のデザインが用いられていましたが、現在は再び独立時の国旗に戻りました。

緑が復興、希望、赤が勇気、黄色は豊かさを象徴するとされています。(参考記事)

首都

ベナンの首都はポルトノボと呼ばれます。しかし、経済的、政治的中心は海沿いの街コトヌとなっています。

ポルトノボはポルトガル語で「新しい港」、コトヌは現地のフォン語で「死の川の河口」という意味です。

「死の川の河口」という名前は奴隷貿易の歴史に由来しているという説があります。

↑バイクタクシーが多い

↑道に鶏が歩いている

↑海が近い

参考:

おもな見どころ: コトヌー – ベナン観光情報 – – NPO法人IFE

人口

ベナンの人口は1,335万人(2022年時点)で、人口密度は1平方キロメートルあたり約118人と、アフリカ全体の平均(約40人/km²)を大きく上回っています。

2024年の日本の人口密度が330人/㎢であったことと比較すると、約1/3であることが分かります。(参考記事

国連事務局経済社会局人口部が発表したデータによりますと、ベナンの人口は1950年の約225万人から2023年の約1411万人へと6倍以上に増加したことが明らかになっています。今後も人口は増加傾向にあり、2030年には約1662万人、2050年には約2443万人、2100年には約3959万人に達すると予測されています。

上記のグラフからわかる通り、ベナンは若者が多い国です。

0歳~14歳が45.3%、1~-64歳が52.2%、65歳以上は2.5%となっています。

出生率(1年間で1,000人あたり何人子供が生まれるか)のデータによると、ベナンは40.3人と世界第3位に位置しており、日本の6.9人と比べると非常に高いことがわかります。

平均寿命は63歳のため、65歳以上の人口が極端に少なくなっています。この背景の1つには、低い医療水準があり、医師数の不足や施設の老朽化が問題視されています。

また、人口の多くは海沿い南部に集中しており、ポルトノボ・コトヌのいずれも海沿いの都市となっています。

参考:

Benin – The World Factbook

ベナン – 世界の医療事情

気候

ベナンの気候は南北で大きく異なります。南部はサバナ気候で、年間降雨量は1,000mm程度、気温は20から34度です。北部はステップ気候で、年間降雨量は400から800mm、気温は15から42度と、季節、昼夜の変化が激しい地域です。特に12月から3月にかけては北方のサハラ砂漠から、乾燥した熱風ハルマッタンが吹きます。

雨季・乾季があり、雨季にはスコールが降ります。海沿いの南部では、4月中旬~7月中旬と、9月中旬~11月中旬が雨季にあたります。観光の際にはこの時期を避ける方がよいでしょう。

参考:

http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbmannerhealth_118.html

ベナンってどんな国?気候・都市・治安・かかりやすい病気について | ベナンの走り方 | 逆会社訪問 | 株式会社フォノグラム

ベナン – Wikipedia

言語

ベナンの公用語はフランス語ですが、約55個の言語が共存し、使用されているとのことです。南部では、フォン語、ヨルバ語、ヤム語が、北部ではフラ語(フラニ語)、バリバ語が重要な言語として位置づけられています。実際、経済・政治の中心とされるコトヌでも、外国人向けのホテルやスーパーマーケット以外英語はほとんど通じません。

ベナンの公用語がフランス語なのは、1960年までフランスの植民地であったことに由来します。しかし、人々は普段現地語で話しており、フランス語を第一言語としている人は多くはないそうです。

また、教育言語として使われるフランス語がわからず、学校を退学してしまう人々もいます。ユニセフのデータによると、小学校の修了率は、男の子が51%、女の子が44%と約半数の生徒が小学校を卒業できていません。(2006年時点で初等教育が無償化されたことをきっかけに、就学率は98.4%)加えて、識字率は51.4%と低く、特に女性の識字率(41.5%)は男性(62.6%)と比べて圧倒的に低くなっています。フランス語による教育も就学率を低下させることの要因のひとつになっているようです。

参考:https://www.cia.gov/the-world-factbook/countries/benin/#people-and-society

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000157.000052517.html

https://www.plan-international.jp/news/20240423_38674/

宗教

ベナンでは様々な宗教が信仰されています。イスラム教やカトリックといった国際的に広く信仰されている宗教もあれば、土着の宗教もあり、中には重複信仰している方もいらっしゃるようです。

中でもブードゥー教はベナン発祥の宗教とされており、1月10日の「ブードゥーの祭日」は国民の祝日で、全国各地で催しが行われるそうです。コトヌからタクシーで1時間ほどの距離にあるウィダーという都市には、ブードゥー教の聖地があります。

参考:

途上国アルバム:ベナン:湖のある生活~北の民族文化~ブードゥー教

観光

ベナンを観光するうえでは、奴隷貿易の記憶やベナンの伝統的な生活、ブードゥー信仰の聖地を楽しむことができます。

1. ウィダー(Ouidah)|奴隷の歴史とブードゥー信仰の中心地

  • 奴隷の道(Route des Esclaves)

奴隷貿易の主要港であったウィダーには、奴隷市場跡から海岸へ続く「奴隷の道」や「記憶の門(La Porte du Non-Retour/帰らざる門)」など多くの記念碑があります。

  • ブードゥー博物館(Musée d’Histoire de Ouidah)

旧ポルトガル砦を改装した博物館で、ブードゥー教の神々や儀式、植民地時代の歴史が学べます。

  • ヘビ寺(Temple des python)

ブードゥー教の聖地とされるお寺。大蛇と触れ合う体験ができるかも!?

2. アボメイ(Abomey)|ダホメ王国の古都

  • アボメイ王宮(Palais Royaux d’Abomey)

世界遺産にも登録された歴代ダホメイ王の王宮跡。鮮やかな浮き彫りと泥レンガ造りの建築が特徴で、王権と戦争、祖霊信仰を伝える重要な文化遺産です。

  • 歴史博物館(Musée Historique d’Abomey)

王宮の一部が博物館として公開され、武器、宝飾品、玉座、王の衣装などが展示されています。

3. コトヌ(Cotonou)|経済の中心地で都市文化を楽しむ

  • ダントクパ市場(Dantokpa Market)

西アフリカ最大級の屋外市場。アフリカ布や食材、薬草、日用品などが所狭しと並び、活気あるベナンの生活文化を感じられます。

4. ガンヴィエ(Ganvié)|「アフリカのヴェネツィア」

ノコウエ湖に浮かぶ水上村で、トフィヌ族が奴隷狩りから逃れて築いた伝統的な集落。

家屋が水上に建てられており、ボートで生活用品の売買や移動が行われています。子どもも船を操縦し、移動しています。観光客向けのボートツアーがあります。

↑ツアー詳細

5. ペンジャリ国立公園(Parc National de la Pendjari)|サファリ体験

西アフリカ有数の自然保護区。象、ライオン、ヒョウ、水牛、アンテロープなどが生息するサバンナ地帯で、サファリが人気です。

ユネスコの生物圏保護区にも登録されています。

※2025年7月18日現在渡航禁止区域

6. グラン・ポポ(Grand-Popo)|海辺のリゾートと癒しの村

美しいビーチと穏やかな村の風景が魅力の南西の町。歴史的には奴隷貿易の拠点でもあり、フランス風の古建築も残されています。

参考:

ベナンのホテル・レストラン・観光地について | ベナンの走り方 | 逆会社訪問 | 株式会社フォノグラム

歴史・経済

■ ダホメ王国の興隆(17〜19世紀)

ベナンにはかつて、ダホメ王国と呼ばれる強力な王国が存在していました。17世紀ごろから現在のベナン付近で勢力を拡大していました。この王国は、当時活発だった大西洋奴隷貿易に深く関与しており、早くからポルトガルとの奴隷貿易を行っていました。現在も、奴隷輸送の拠点となった港町ウィダー(Ouidah)には、当時の記憶を伝える記念碑が残されています。

■ フランス植民地時代(19世紀後半〜1960年)

19世紀後半には、ダホメ王国はフランスの植民地支配を受けるようになります。1904年には「フランス領西アフリカ」の一部となり、政治・経済の中枢をフランスに握られました。この時代、インフラ整備や教育制度の導入も進められた一方で、現地の伝統や自治は大きく制限されることになりました。

■ 独立と国名の変遷(1960年〜)

1960年8月1日、「ダホメ共和国」としてフランスから独立を果たします。同地域に存在した様々な王国や民族により政情は混乱し、1974年にマルクス・レーニン主義国家を掲げ、1975年には国名を「ベナン人民共和国」に改称します。

■ 軍政から民主化へ(1970年代〜1990年代)

独立後のベナンは、クーデターと軍政が続く不安定な時期へ移行します。しかし経済の悪化と民衆の不満により、1990年には大きな内戦になる前に国民会議を通じて民主化が進められ、複数政党制の導入とともに新憲法が制定されました。この自らの手で民主化を得たベナンの軌跡は「アフリカの成功例」として注目されました。

参考:

ベナンの財産 ~民主化が生んだ、自らの道を切り開く力~ 2

治安

外務省の海外安全ホームページによると、2025年7月18日現在、ベナンの北部は危険レベル2「不要不急の渡航中止」、又は危険レベル3「渡航中止勧告」となっており、それ以外の大部分は危険レベル1「十分注意」に指定されています。

北部のブルキナファソ、ニジェール等との国境周辺においては、イスラム過激派テロ組織によるテロ攻撃が頻繁に行われています。テロ攻撃では一般市民を襲い、殺害するような被害も出ているので、渡航が禁止されています。

南部では、比較的治安は安定していますが、強盗や窃盗といった一般犯罪が多く報告されているため十分注意が必要です。

渡航の際は、自身の持ち物管理を徹底し、夜間の単独行動を避けるとともに、現地住民から危険地域の情報を得るなど、慎重な安全対策を講じることが重要です。

参考:

外務省の海外安全ホームページ

親日性

日本は、1960年8月1日のベナン独立と同時に同国を承認し、2010年1月、コトヌに在ベナン日本大使館を開館しました。また、ベナンは2002年11月に在京大使館を開設しました。

両国の関係は良好で、日本から様々な協力が行われています。

参考:

ベナン基礎データ|外務省

インフラ

水について

ベナンでは飲料水へのアクセスが低いことが長年課題となっていました。政府や外資の様々な取り組みにより、UNICEFによると、全国の給水率は 57%(1990)から76%(2017)まで向上したとのことです。

政府は安全な水へのアクセスを100%にすることを重点目標としており、日本のODAでも様々なプロジェクトが行われています。

しかし、水道水は飲用に向かないので、ミネラルウォーターを購入することをおすすめします。下の写真のように袋に詰められた水も売られています。しかし、現地の方が、家の中にある桶に入った水を手作業で袋詰めしていたところを目撃したので、飲料水としては避けるのが無難でしょう。

道路・交通について

ベナンでは道路の舗装率は約20%だとされており、日本の舗装率・70〜80%と比べると非常に低いことが分かります。

コトヌでさえ、大通りは舗装されていますが一本細い道に入ると未舗装の道路となります。

↑舗装中の道?

電気について

ベナンの電化率は約57%にとどまっていると言われています。

また、電力の供給量が少ないため停電が頻発しているとのことです。しかし、私が渡航した際に泊まったホテルや、ベナン人のお宅では停電を経験することはありませんでした。(2024年7月)

現在では、ベナン発の太陽光発電である「DEFISSOL太陽光発電プロジェクト」が進んでおり、25 MWₚ(または 25.02 MW)を出力する発電機が2022年に完成したそうです。

こういった様々なプロジェクトにより、2010年代には30%代だった電化率が徐々に上昇しているとのことです。

渡航した際には、すべてではないですが電灯一つ一つに太陽光パネルが装着されていることに驚きました。

通貨・決済について

フランスが植民地としていた西アフリカの多くの国々では、ユーロと固定レートで連動する単一通貨CFAフラン(セーファーフラン)が使用されています。ベナンもCFAフランを使用する国のうちの1つです。CFAフランに関しては通貨の安定性が担保されている一方で、フランスによる植民地時代から抜け出せていないといったような批判もあります。

また、2020年10月の記事で西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の加盟国が共通通貨ECOを導入しようとしているという内容をご紹介しました。当時から導入の延期が発表されていましたが、現在までその延期は続いており、本格的な採用には未だ時間がかかる見通しです。

2024年7月時点では、クレジットカードはほぼ利用できませんでした。経済の中心地とされるコトヌでもクレジットカードが利用できるお店は限られています。空港の目の前にある高級スーパーマーケット・エレバンでは利用可能です。

参考:

Benin – Infrastructure, power, and communications

https://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2021_2160340_1_s.pdf

https://data.worldbank.org/indicator/EG.ELC.ACCS.ZS?locations=BJ

ベナンの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)

西アフリカ諸国、単一通貨「ECO」導入を2027年に延期(コートジボワール) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

終わりに

いかがでしたでしょうか。どんな国シリーズでは、アフリカ大陸内各国の情報をまとめています。国の情報をまとめて知りたい方はぜひご覧ください!

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