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こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
アフリカでは、暗号資産(仮想通貨)の利用が急速に拡大しているそうです。特に、個人送金や国際取引における利便性、地理的・社会的な要因によって銀行サービスを受けられない人々への金融包摂といった側面から、その利用が広がっているとのことです。そこで本日は暗号資産に関して、アフリカ全体の現状とスタートアップ企業について書かれた記事をご紹介します。
2025年アフリカの最も有望な分野:暗号資産、フィンテック、農業技術、AI
Crypto, Fintech, Agritech & AI: Africa’s Most Promising Sectors in 2025
記事リンク:https://www.techinafrica.com/crypto-fintech-agritech-ai-africas-most-promising-sectors-in-2025/
アフリカの暗号資産導入背景と現状
暗号資産はアフリカの金融アクセスを革新しています。これまでは銀行利用ができなかったり、高額な送金手数料が課されたりといった問題がありました。例えば、アフリカ大陸全体で4億人の成人が、銀行までの距離や必要書類の不足、資金不足などが原因で、従来の銀行を利用できないといわれています。また、200ドルをサハラ以南のアフリカへ送金する場合、平均送金手数料は7.9%にのぼります。このような制限された銀行へのアクセスと高額な送金手数料に直面する何百万人もの人々にとって、暗号資産は待ち望まれていた代替手段といえそうです。
このような背景を踏まえ、暗号資産を積極的に導入している国がナイジェリアです。2023年7月から2024年6月の間に、590億ドルの暗号資産取引を処理し、暗号資産の導入において世界をリードする国の一つとなっています。

また、現在のサハラ以南のアフリカではステーブルコイン※が暗号資産取引全体の43%を占めています。
※価格の安定性を実現するように設計された暗号資産のこと。(参考)
暗号資産の利用増加動向
デジタルインフラの成長に伴い、決済手数料や地方での取引などにおいて暗号資産が重要な役割を担うようになっているそうです。特にアフリカで急速に普及するモバイルマネーは、暗号資産の発展に貢献しました。また、ナイジェリアのナイラ(ナイジェリアの通貨)不足の際には、多くの人が信頼できる資産の保存方法として暗号資産に目を向けました。
ステーブルコインは、特に決済手数料とアクセス時間に変化をもたらしているそうです。Mercy Corps Ventures(マーシー・コープス・ベンチャーズ)が2025年に実施したパイロットプログラムでは、ステーブルコインの利用による効果を実証しています。当プログラムでは、ケニアのフリーランスの5ドルのマイクロペイメント(少額決済)手数料を29%から2%に削減しました。利用者は費用を節約できるだけでなく、従来の銀行を介さずにより早く収入を得ることができるようになったそうです。
また、外国に住むアフリカ人は家族の生活を支えるために送金が重要な手段となるそうで、アフリカは巨大な送金市場を有しています。2023年にサハラ以南のアフリカでは計540億ドルの送金取引がありました。その中でもナイジェリアは当地域最大の送金取引額を誇っており、その額は計195億ドルにのぼります。これが暗号資産を普及させる一つの要因となっているそうです。
暗号資産が普及することによって、どのような恩恵があるのでしょうか。例えば、7%以上かかる送金手数料を1%未満にまで削減する可能性があるといわれています。またスマートフォンとインターネットさえあれば、誰でも金融サービスを利用できるため、銀行支店がほとんどない、あるいは全くない地方で重宝されているとのことです。特に、人口の26%が銀行口座を持たないナイジェリアでは重要な役割を担っているそうです。
暗号資産ビジネスにおける主要企業とサービス
いくつかのプラットフォームは、アフリカユーザーの日常的なニーズに応えることで、暗号資産の導入を促進しているそうです。
例えば、Bitnobはユーザーが料金をビットコインかUSDT(テザー)※で受け取り、それを即座に現地通貨に換金するサービスを提供しています。
※USDT(テザー)は、Tether Limited社が2015年2月に発行を開始した世界初のステーブルコインで、米ドルの価格に連動するように設計されている。(参考)
また、OnafriqはCircleと提携し、USDC※を活用した決済サービスの試験運用を行っています。機関投資家と個人の金融取引を簡素化し、コストを削減し、国境を超える決済の複雑さを解消しているそうです。このサービスは、40以上のアフリカ市場で10億のウォレットと5億の銀行口座をつないでいます。
※USD Coinの略。米ドルと同じ価値を維持するように設計された暗号資産。(参考)
暗号資産は市場全体が急速に拡大しており、2025年までに越境決済の市場は3,290億ドル規模に達し、年平均成長率12%で、2035年には1兆ドルを超える可能性があるといわれています。デジタル送金の取扱高は2020年以降倍増しており、現在ではモバイル送金額の71%をアフリカが占めています。
主要な暗号資産プラットフォームの比較
下記の表は、アフリカにおける主要な暗号資産のプラットフォームの特徴や対応範囲についてまとめたものです。
プラットフォーム名 | 主な特徴 | 対応範囲 | 対象 |
Bitnob | ビットコイン/USDTの入金・受け取りサービス(即時で現地貨幣を出金可能) | ナイジェリア、ガーナ、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、南アフリカ、セネガル、ベナン、トーゴ | 個人送金 |
Onafriq and Circle | USDC決済インフラ | ベナン、ボツワナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、ブルキナ・ファソ、カーボベルデ、中央アフリカ共和国 | 企業向け決済サービス |
Chipper Cash | 無料のP2P※送金 モバイル優先プラットフォーム | ガーナ、ナイジェリア、ウガンダ | 小規模の事業取引 |
既存銀行 | 既存の金融インフラ | アフリカ大陸全域 | 大企業取引 |
こういったブロックチェーンを用いたプラットフォームは決済の迅速化と為替コストの削減にも役立っているそうです。特に個人や中小企業の外貨両替が迅速化されるそうで、さらに、従来の銀行と比較して送金手数料を最大60%削減することが可能です。
このような暗号資産の広がりに伴い、政府も対応を急いでいるとのことです。例えば、ナイジェリアでは2023年に財政法において、暗号資産の売却益に対して10%の課税が導入されました。これは、政府が暗号資産の重要性の高まりを認識している証とされています。
しかし、依然として課題は残っています。アフリカ内決済の80%以上が未だにアフリカ大陸外のコルレス銀行(仲介銀行)を経由しており、年間50億ドルの手数料が発生しています。
アフリカのモバイルマネー市場規模は、2024年に8億490万ドルに達しています。IMARCグループによると、同市場は2025年から2033年にかけて年平均成長率18.31%で成長し、2033年までに39億3270万ドルに達すると予想されています。暗号資産は、急成長するこの市場でさらに大きなシェアを獲得する絶好のポジションにあるとされています。
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関連・参考記事
- Financial Inclusion in Sub-Saharan Africa—Overview – link
- Africa Mobile Money Market Report by Technology (USSD, Mobile Wallets, and Others), Business Model (Mobile Led Model, Bank Led Model), Transaction Type (Peer to Peer, Bill Payments, Airtime Top-ups, and Others), and Country 2025-2033 – link
- Reducing Remittance Costs to Africa: A Path to Resilient Financing for Development – link
- アフリカで需要が高まる仮想通貨:各国の姿勢は?【Pick-Up! アフリカ Vol. 184:2021年6月22日配信】- link
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