Pick upアフリカで記事を書かせてもらっています。 2012年よりタンザニア在住です。 X → yuka_africa

こんにちは、Pick-Up!アフリカです。

タンザニアでは、2025年10月29日に行われた大統領選挙をめぐり、全国規模の抗議デモが発生しました。

前回の記事では、デモの発生状況や市民生活への影響を中心にお伝えしました。今回はその続編として、デモに至った政治的背景や、これまでの抗議運動・社会変革との違い、そして今回のデモがもたらした影響について、あらためて整理し、詳しく解説していきます。

最後までぜひご覧ください。

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タンザニア概要

デモの概要まとめ

  • ・デモの時期:2025年10月29日(大統領選挙当日)
  • ・デモの主体:Z世代
  • ・要求内容:逮捕された野党党首を釈放した上で公平な選挙を行うことを要求。
  • ・結果:治安部隊に制圧され、約2,000人死亡。現役大統領の再選が決定。

1. タンザニアの政治的・社会的背景

 1961年にタンザニア本土がイギリスから独立、その後1963年にザンジバルが独立し、ザンジバル革命を経て1964年10月29日にタンザニア連合共和国が誕生しました。政体は、共和制を取り、連合共和国の大統領は本土およびザンジバル島の有権者による直接投票により選出されます。ザンジバル島には、連合共和国とは別の独自の司法・立法・行政自治権があり、独自の大統領を有します。

 1992年に複数政党制が導入され、1995年に複数政党制の下で初の大統領選挙が行われ、与党革命党(CCM)のムカパ候補が第3代大統領に選出されました。2025年時点で、現大統領である第6代大統領のサミア大統領に至るまでCCMの候補者が選出されています。

 第4代大統領に就任したキクウェテ大統領の政権時に、CCMの大規模な汚職が、野党の告発により発覚しました。それにより多くの国民から反感を買い、CCMの支持率を大幅に下げることとなりました。

2. 従来の政治改革のなされ方

 複数政党制が導入されてから、約30年とまだ歴史が浅いですが、野党の議員が目立った批判をすると逮捕したり、取り締まるということが当初から行われてきました。過去の大統領選挙時にも小規模なデモはありましたが、目立ったものではなく、場所も限定されていました。

3. デモの概要と影響(成果)

 2025年10月29日の大統領選挙投票日に抗議デモが発生しました。規模は報道されていないため不明ですが、ダルエスサラーム、アルーシャ、ムワンザなど各地でデモが行われました。2025年4月に主要野党である民主開発党(CHADEMA)党首が選挙妨害で投獄され、タンザニア国家選挙委員会がCHADEMAの大統領選への参加資格を認めないと発表しました。また9月には、国家選挙委員会がもう1つの野党の大統領選への参加を取り消すと発表し、主要な野党候補がいない中での選挙になることとなりました。この状況で大統領選挙が行われることに、当初より批判や疑問の声が上がっており、Z世代を中心にSNSの投稿やWhatsAppのグループで抗議デモが行われることの情報が拡散されました。

 10月29日当日、当初は暴力のない平和的なデモ活動でしたが、一部のデモ隊が暴徒化し、投票所・警察署・高速バス・ガソリンスタンド・車両などに放火、治安部隊がデモ隊に向け発砲し、多数の死者・負傷者・逮捕者が出ました。これを受け政府により夜間外出禁止令が発出、また多くの道路が閉鎖され、フェリー・航空便・鉄道などの多くのサービスが停止されました。

インターネットが5日間遮断されていたことにより、状況の把握が遅れ、情報が錯綜しました。

4、従来との違いとその背景(考察)

 今までの政治デモとの大きな違いは、規模が大きくまた全国的であったことと政府機関等への放火を含む暴力的な破壊行為が伴なった点です。その大きな要因としては、与党が苦戦するだろうと噂されていたにも関わらず、選挙投票日の数か月前に主要野党党首の投獄があり、また別の野党も選挙参加すら認められないという状況で、政府が選挙を強行したことに多くの国民の不満が募ったことと言えます。またチャットアプリWhatsAppのグループやソーシャルメディアでのデモ参加呼びかけが多く行われたことも印象的でした。

 今回デモの中心にいたのはZ世代だと言われていますが、この世代はタンザニアの人口構成の中で多くの割合を占めています。2022年以降の燃料費高騰による物価上昇に加え、若者の間での職業難も深刻化している中、今の政府に不満を抱き変革を求めてデモに参加した若者が多かったようです。

 また、今回のデモ参加者に治安部隊が発砲したことにより沢山の死傷者が出たにも関わらず、政府は十分な説明責任を果たしているとは言えません。政府の力で抑え込む対応により、かえって国民は政府への不満を一層募らせています。


次の記事では、ケニアにおけるデモについて解説する予定です。お楽しみに!


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