ルチロのろうコミュニティ、養豚と手話の取り組み

How Rutsiro deaf community is banking on pig farming and sign language

記事リンク:https://www.newtimes.co.rw/business/how-rutsiro-deaf-community-banking-pig-farming-and-sign-language


本日はルワンダから、ろう者の養豚コーペラティブ(協同組合)における手話スキルトレーニングに関する記事をピックアップしてご紹介します。

WHOの調査結果によると、聴覚障害者は全世界の全人口の5%以上に当たる約4億7000万人であると言われています。

ルワンダでは正確な人数の把握はできていないものの、同じように、多くの聴覚障害者が生活しています。そのうち、この記事のルワンダろう協会(Rwanda National Union Of The Deaf)の会長による発言では、経済的支援を必要としているろう者は5万人以上にも上ると示されています。

本日はルワンダのろう者の社会進出に関する記事で、南部にあるルチロ(Rutsiro)地域の取り組みについて紹介しています。

地域全体への手話コミュニケーショントレーニング

ルチロ地域では、手話によるコミュニケーショントレーニングと、ろう者の養豚コーペラティブによる養豚技術の習得が積極的に行われています。

この記事によると、地域社会全体の手話理解の低さが、ろう者の社会進出状の大きな課題になっているということが指摘されています。そこで、聴者も基本の手話スキルを身につけることが必要であると捉えられています。実際にコロナ禍において頓挫してしまってい、た地元の指導者75名を対象にした手話コミュニケーショントレーニングも再開する予定であるということです。

聴覚障害当事者への手話トレーニング

さらに、この取り組みでは、養豚業に携わる聴覚障害者に対して、手話コミュニケーショントレーニングを3ヶ月間行うというプログラムが設けられています。

聴覚に障害があっても、手話を習得できる環境にない人も多くいます。例えばルワンダでは、手話でコミュニケーションができる「ろう学校」と言われる学校は7校ありますが、その全てが私立として運営されているため、通うには多額の学費がかかります。そこで学校に通うことができず、手話を学ぶことができない子どもが多くいます。

今回の記事でも、ろう協会の会長であるサムエル氏は、「手話が分からないろう者は新型コロナウイルスに関しての情報にも脆弱な可能性がある、」と指摘した上で、「ルチロ地域で養豚に従事している聴覚障害者の大多数は手話によるコミュニケーションができない」と述べています。そこで、「彼らに手話コミュニケーションスキルを与えることは、彼らの命を守ることにも繋がる」という意見を述べていました。

ルワンダ国内での手話普及に関する取り組みの実情

ルワンダでは、2014年から関係団体の協力のもと、ルワンダ手話を普及させるための取り組みのひとつとして、国の公式の手話辞典の作成が進められています。新しい辞書には約2000語の手話単語が収載される予定であるということです。

ルワンダではろう学校の学費が有償であるということや、地域で手話を学ぶことができる環境が整っていないということが手話コミュニケーションの機会が限られてしまっている一つの要因であると考えられます。都市部の教会で外国人を中心に手話が学べる教室が細々と催されている様子は散見できますが、地方で個人が手話を学ぶことのできる機会はほとんどありません。

そのため、今回のように地域で一丸となって取り組んでいるルチロ地域の取り組みは特に珍しく、価値のある内容だと感じました。

また、今回の記事を読んでいて、しきりに「学校教育の中で手話を導入すべきである」という意見が多く書かれていることが散見できます。ルワンダでは障害のない子もある子も一緒に学ぶという「インクルーシブ教育」を推進しているため、学校教育の中で手話を学ぶことができると、より実践的に手話を使うことができて良い効果があるのではないかと感じました。

南アフリカが手話を国の公用語として検討する流れがあるなど、アフリカ各国でも積極的に手話という言語を尊重している風潮が見受けられます。

今後も関連する記事を見つけてご紹介していきたいと思います。


関連・参考記事:

  1. 南アフリカ、公用語に手話の追加を検討【面白記事 Vol. 137: 2020年9月17日配信】- Link
  2. アフリカ:ろう者のテクノロジーアクセスを高める【Pick-Up! アフリカ Vol. 119:2021年3月1日配信 – Link

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