新しいレポートが示す、コロナの影響に呼応し、広がるアフリカのヘルスケアサプライチェーンスタートアップ分野

英題:Healthcare supply chain start-ups in Africa abound, and want to support the COVID-19 response, new report reveals

記事リンク:https://newsghana.com.gh/healthcare-supply-chain-start-ups-in-africa-abound-and-want-to-support-the-covid-19-response-new-report-reveals/

内容と背景:

ここ数年、アフリカのテックやイノベーション、そしてスタートアップ分野での話題といえば、Fintech系のことで持ちきりでした。しかし、コロナの影響もあり、Healthtech系のスタートアップ企業で投資を獲得する企業も増えてきたというデータが昨年のスタートアップへの投資を扱ったレポートから読み取れるとこちらの記事では紹介されています。また、各国でロックダウンなどが導入されたことで、この分野はコロナの影響を大きく受けたとし、既存の医療機関だけでなく、新たに同分野に参入しようとするスタートアップも同様にこの変化に適応しなければいけなかったと紹介しています。

また記事では、アフリカでの医療へのアクセスのギャップを埋めるにあたってスタートアップ企業、そしてHealthtechが大きな役割をになっているとも書いています。

さて、今回ご紹介する記事では、カナダの医療系コンサルティング企業のSalient Advisory社のアフリカの同分野に関して書いたレポートが紹介されています。このレポートは、この分野に関わる国際協力機関や企業、インパクト投資家などの同分野のサプライチェーンへの投資を呼びかけることも一つの目的として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のサポートのもと作られたようです。レポートの中では、医療関係者に対しての推奨事項なども書かれています。

記事では実際に61のHelth-tech関係者からの調査結果を載せ、この分野のエコシステムが順当に成長・拡大していることを紹介するとともに、アフリカではガーナ、ナイジェリア、そしてケニアがその先頭を走っているとも共有されています。

今成長しているソリューションとしては、コロナの影響もあり、telemedicineと言われる遠隔医療系のソリューションが最近一番提供されていると紹介されています。また記事では、これらの企業がどこで活動しているかについても進言しており、都市部・農村部両方で活動している企業の数が調査を受けた企業のうち49%に対し、都市部だけで活動している企業の48%よりも多く、両方で活動することで、収益率やインパクトなどをより残しているとしています。

さらにSalient Advisory社の推奨事項も紹介されており、女性起業家を含めるなど、より潜在性を持つ起業家への投資を増やすことや、フランス語圏の起業家に対する投資機会を増やしていくことなどが提案されています。特に後者なのですが、先にアフリカの同分野をリードしている国に挙げた3カ国はどれも英語圏であることから、このようなリコメンデーションになったことも理解できそうです。

また、先にもありましたように、各国でのレギュレーションの違いによりビジネスチャンスを逃してしまうことにも触れられていることから、そのようなことがないよう、レギュレーターなどへの働きかけなども提言の一つに含まれています。

Salient Advisory社で部長を務めるRemi Adeseun氏のコメントも紹介されており、コメントの中ではレポートを通してアフリカの同分野のイノベーターを取り巻く、資金へのアクセスや不一致な政策などの課題をハイライトできたとしており、それを解決、そしてアフリカのサプライチェーンをよくするために世界的なヘルス関係者への呼びかけもしています。

こちらの記事ではもう少しレポートの中身にも踏み込んでいます。この分野のイノベーターらは消費者や医療サービスを提供している人や企業に対して提供しているサービスの幅を広げており、その中には融資系、あるいは遠隔医療サービスの提供へと拡大も含まれていると共有されています。そしてそれによって、都市部だけえなく、農村部へのサービス提供もする必要性にも適応していると共有されています。このようなことから、彼らが生死の現実世界の中でビジネスしようとしていることを発見しているとも共有されています。

こちらに関しレポートでも、ビジネスの農村部に住む人口の割合が多いことや農村部でも活動する企業が多いことから、農村部の優先度を高めるようにと提言されています。

また、投資家らとの関係性に関しても共有されており、ほとんどの企業がアーリーステージにあると共有されているとともに、まだ小さいことから1カ国でしか活動していないとも書かれています。しかし、その中でも30%の企業がマーケットに適したソリューションを見つけており、この分野で良い立ち位置にいるとしています。この分野ではデータ系の情報を提供している企業の数が多いものの、それらの企業は消費者を維持する力が弱いとも続けられています。その反面、サービス提供をしている企業に対してサービスを提供している方が顧客を維持する力が強いとも共有されています。

投資に関しては昨年同分野に約1億5300万ドルの投資があったものの、その8割以上を7社が占めているとも共有されており、同分野が高い密集率であるともされています。またこれは、これらの企業の関係者の高所得国との繋がりが大きく関係しているようで、このような繋がりのない企業は15万ドル以下の資金しか得られていないとも続けられています。

ただ、他の分野ですでに活動している企業のこの分野への参入もみられるようで、JumiaやKonga、Capiaなどのe-コマース系の企業が興味を示しているともしています。

レポートではサブサハラアフリカ地域の医療分野の国際レベルから、実際に地元に薬品やサービスが届くまでの流れを説明した図も共有されており、崩壊していると紹介するとともに、その原因として、価格(医療製品の価格の60%が現物価格ではなく、中間に関わるところで取られる手数料によるもの)、可視化(製品の流れや取扱店、そして情報が共有されていないことで、消費者が十分な情報を得られない構造になっている)、品質保証(様々な人や業者の手、さらには国の間を製品が移動することで、それぞれで違った基準で製品が扱われる可能性があることから、製品の品質が疑わしいものになる)などの理由が共有されています。

また、この分野で活躍する医療系スタートアップなども紹介されており、それぞれの活動分野や構成する人々に関しての細かな分析などもされており、情報の多い勉強になるレポートとして仕上がっています。

どうぞお楽しみください!


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