みなさん、こんばんは。

本日は、アフリカのLGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クイア/クエスチョニング)に関する話題をピックアップしてお届けします。

最近では、世界各国でLGBTQの人々の人権を守るため、様々な取り組みが展開されています。

しかし、アフリカではその取り組みに大きな遅れが目立ってきていることが問題視されています。なぜアフリカでは取り組みが遅れ、差別も顕著に現れるようになってしまったのでしょうか。

ぜひ本文をお読みください。


記事:アフリカのセクシュアリティと輸入された同性愛嫌悪の遺産

African sexuality and the legacy of imported homophobia

記事リンク:https://www.stonewall.org.uk/about-us/news/african-sexuality-and-legacy-imported-homophobia

内容と背景:

日本国内のLGBTQの人々の割合は約8%前後、約13人に1人の割合が該当すると言われています。

最近では多くの国々ではLGBTQの人々の人権を守るため、様々な取り組みが展開されています。差別の禁止や、同性愛者に対する憎悪犯罪への取締り、同性愛の正式な承認、トランスジェンダーの人々が自ら指向する性別を反映する公式文書を入手しやすくしたりする法律を含め、数々の新法が採択されているようです。

実際にタイではアジア圏で初となる同性婚が正式に認められるなど、国際社会においてLGBTQの人々の権利を尊重していこうとする動きは活発になってきているようです。

しかし、アフリカではその取り組みに大きな遅れが目立ってきていることが問題視されています。2015年の国際ゲイ・レズビアン協会の調査によると、アフリカ54か国中34か国では同性愛が違法であるとされ、場合によってはソマリアやナイジェリアなどの国では死刑、ウガンダやタンザニアでは終身刑に処せられる場合もあると言われています。

今回ピックアップした記事は、アフリカのLGBTQの課題について、差別が色濃く反映されている原因をいくつかの仮説をもとに考察している内容となっています。

この記事の中で取り上げられている一つの仮説は、もともとアフリカには、「同性愛」と言う概念はなく、欧州の植民地支配による影響で、「その同性愛という概念がそもそも西欧から輸入されたのではないか」と言う説がまことしやかにささやかれているということです。
しかし、この記事ではすぐに、その仮説を否定しています。

数々の記録によると、ヨーロッパの植民地化以前は、アフリカ大陸全体ではジェンダーに関しておおらかな態度が取られていたと報告されています。

例えば、紀元前2400年前の古代エジプトでは、男性カップルの二人が抱き合った形で埋葬された墓が発掘されていたほか、16世紀のアンゴラでも女性の服を着た男性がいたなど、数々の記録が残っていることが明らかになっているためです。

さらに、何世紀にもわたって多くのアフリカ諸国は、ヨーロッパの人々のようにジェンダーを二者択一とは見なしておらず、解剖学的構造を性同一性と相関させていなかったと示しています。植民地化前のアフリカの国では、性的指向や反LGBTQ法などによるLGBTQの個人への迫害は全く見受けられなかったということです。 

では、このような背景がありながらも、なぜアフリカはLGBTQに対しての差別が顕著に現れるようになってしまったのでしょうか。

この記事によると、同性愛を否定する感情が西欧のキリスト教国家による植民地化によって、アフリカの法律や文化にその考え方が浸透していったためであると示唆されています。

つまり、整理してみると、「現在のアフリカにおけるLGBTQの人々に対する差別の原因は、同性愛という概念が西欧から輸入された悪しき習慣である」と、現状捉えられている節が多い。しかし、実際にはそうではなく、「もともと存在していた同性愛に対する自由でおおらかな態度が、西欧のキリスト教国における植民地化による統制によって規制がかかったことが起因している。」と言うことになるのではないでしょうか。

また、この記事では「同性愛を嫌悪すること」と、「植民地支配への批判的態度」に大きな相関が見られることについても言及しています。つまり、LGBTQ支持法を拒否するということは、新植民地主義を拒否することにつながり、それがすなわちアフリカのナショナリズム、自尊心、アイデンティティに繋がっていると考えられるということです。

考えていたよりもはるかに問題の根は深く、様々な要因や想いが交錯していることがわかります。

アフリカの人々の差別意識を撤廃し、当事者の権利を守るためにはまだまだ険しい道のりが続いているのではないかと感じました。

関連・参考記事:

  1. ‘So where is our land? Where is the space for us?’ New Frame – Link
  2. 「虹の国」南アフリカ 故マンデラ大統領が目指した多様性は今 – Link
  3. LGBT rights in Africa – Link
  4. Maps | sexual orientation laws – Link
  5. 性的指向と性同一性を理由とする差別との闘い - Link
  6. BORN FREE AND EQUAL – Link


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