みなさま、こんばんは!

本日は先月お伝えさせていただいたケニアとイギリス間での新たな貿易協定締結の動きに関する続報をお伝えさせていただきます。

ぜひ、以前の投稿と合わせてお読みください!


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記事:「ケニアとイギリスが正式に貿易協定を締結」

「Kenya and UK sign trade deal」

記事リンク:

https://www.theeastafrican.co.ke/tea/business/kenya-uk-sign-trade-deal-3222668

内容と背景:

先月13日にケニアとイギリスが新たな貿易協定の締結で合意したとご紹介させていただいたかと思いますが、本日は両国間での貿易協定締結に関する続報をお伝えさせていただきます。

先週12月8日(火)、ケニアとイギリス両政府は先月3日に作成された合意文書に署名し、貿易協定を正式に締結しました。これにより、約4ヶ月間続いた両国間での交渉に終止符が打たれ、イギリスがヨーロッパ連合(EU)を正式に脱退する今月末以降、来年初めよりケニアとイギリスは今回締結された新たな協定のもと、貿易を行っていくこととなります。

前回の投稿でも少しご紹介しましたが、今回締結された新たな貿易協定により、野菜、コーヒー、お茶、切り花を扱うケニアの輸出業者はイギリスがEUに加盟していた時と同様、免税および割当なしでイギリス市場にアクセスし続けることができるようになります。当局は将来的に対象商品を繊維、家畜、魚、またその他の加工食品に拡大する可能性があると述べています。さらにこの協定により原産地規則も簡素化され、加工食品に関して原材料が他の発展途上国から調達された可能性があったとしても、ケニアで生産された証拠がある限り、イギリス市場に容易に輸出できるようになります。

今回結果的にケニアとイギリス間での単独の締結となった貿易協定ですが、実は当初、イギリスと東アフリカ共同体(EAC)加盟国間での締結が目指されていました。イギリスがより広い市場を確保するためにEAC加盟国間との交渉を望んでいたのに対し、ケニア以外のEAC加盟国はタンザニアとウガンダでの選挙が終了した後、2021年からの交渉開始を主張し、政治的に難色を示したのです。

この対立構造の中、EAC加盟国間で唯一低中所得国に分類されるケニアは、来年初めまでに新たな貿易協定が締結されないと、イギリス市場に向けた免税および割当なしでの貿易が不可能となり、課税の対象となる懸念を抱えていたため、イギリスがEUを脱退する今月末までに早急に貿易協定の締結を実現させたかったのです。その結果、イギリスとケニアが妥協する形で合意し、準備の整ったEAC加盟国が後から貿易協定に参加できるという条件つきで、二国間での貿易協定提携に至ったのです。

イギリスはケニアから主にコーヒー、紅茶、野菜、切り花、果物を輸入しており、ケニアの代表的な輸出市場として2015年以来常にトップ5という立ち位置を維持してきました。さらに、EUで販売されているケニア製品の約30%を購入している一方、ケニアに対して毎年約350億シリングに相当する額の商品を販売しているというデータも出ており、イギリスとケニアは貿易面で伝統的に強固な関係性を保持してきました。

ケニアの貿易内閣長官であるBetty Maina氏は、今回締結された貿易協定はケニア国内での供給能力拡大や雇用創出、輸出促進に役立つだけでなく、地域統合にもつながるだろうと述べ、今後のイギリスとのさらなる貿易促進に前向きな姿勢を示しています。昨今、イギリスがEUと自由貿易協定などの交渉で難航しているとのニュースに注目が集まっていますが、それと同時にイギリスがこれまでEUを介して貿易協定を結んでいた多くの他の国々とも改めて個別の協定締結に向けて動いていることも忘れてはなりません。

ケニア以外のEAC加盟国も近く、イギリスとの貿易協定締結に向けた交渉を開始させるのではないかと見込まれます。新たな情報が入りましたら、改めてこちらの投稿で共有させていただきます。

関連記事:

  1. 「ケニアがイギリスと新たな貿易協定を締結か【Pick-Up! アフリカ Vol. 35:2020年11月13日配信】」Link
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  4. 「UK-Kenya deal triggers East African trade tensions」Link
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