みなさま、こんばんは!

本日は高高度の気球を使用して途上国や遠隔地に安価で高速なインターネットを提供することを目指し、商用化に向けたテストを行っていたプロジェクトLoonが解散するという最新ニュースをお伝えしています。

こちらの投稿ではこれまでインターネットインフラの構築というテーマで本日の記事と関連する内容のニュースを度々お伝えしてきました。

ぜひ関連記事も合わせてお読みください。


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記事:「高高度気球を使用したインターネット提供を目指すプロジェクトLoonが解散へ」

「The Internet Balloon Project The Government Said Will Help You Work From Home is Shutting Down」

記事リンク:

内容と背景:

先週米国時間21日木曜日、Googleの親会社Alphabetが成層圏を飛行する気球を使用してインターネットの提供を目指すプロジェクトLoonの解散を発表しました。

こちらの投稿でも度々ご紹介してきましたが、Loonは高高度の気球を使用して途上国や遠隔地に安価で高速なインターネットを提供することを目指し、2013年にAlphabetによりXプロジェクトの一つとして立ち上げられました。2018年には子会社化され、CEOであるAlastair Wesrgarth氏のもと、これまで商用化に向けて様々なテストが行われてきました。2019年には初の商業サービス展開に向けてケニアとの契約を発表し、2020年7月にはTelkom Kenyaと提携し、同国で正式にインターネットサービスの提供を開始してきました。

このように大規模な商業展開も始まり、プロジェクトLoonは従来の地上施設に代わって既存のテクノロジーでのサービス提供が高価になってしまっている地域や、接続が困難なリモート地域にも手頃な価格での高速インターネットの提供を可能にする革新的なプロジェクトとしてこれまで注目を浴びてきました。

今回発表された解散に関してWesrgarth氏はLoonの公式ブログにて、長期的で持続可能なビジネスを構築するのに十分な低コストを実現する方法を見つけられなかったと述べ、解散の理由としてビジネスの持続不可能性を挙げています。

今回ピックアップした記事によりますと、パートナーと協力して運用を安全に完了させるため、Loonは今年3月1日までは現在ケニアで提供しているサービスを継続していくようです。

今回Loonは解散するものの、Alphabetはそのテクノロジーの一部を同様のビジョンを掲げ展開しているTaaraプロジェクトに引き継ぐことを計画しているようです。さらにLoonはケニアにてインターネット接続性や起業家精神、また教育にフォーカスする非営利団体や企業を支援するため、この度1,000万ドルもの資金を投じたようです。

こちらの投稿でも昨年11月に紹介しているのですが、Taaraプロジェクトでは通信インフラの整っていない地域を対象に高層ビルから放った不可視の光線で手頃な価格の高速インターネットを提供することを目指しており、Alphabetが引き続きLoonで掲げていた目標を別の手段で実現しようとしていることがうかがえます。

実はAlphabetの他にも、2018年に中断されているものの、Facebookが2014年より独自の太陽光ドローンの開発と製造を行うなど、複数の企業がこれまで上空を活用してリモート地域にインターネットを手頃な価格で提供しようとする取り組みを行ってきました。その後の動きとしては、Facebookが再び同様のビジョンを掲げ、Airbusとともに新たな機体の開発および製造を行っていたり、昨年7月の投稿でもご紹介しているように、Softbankの子会社HAPS Mobileが太陽光無人航空機を開発し、成層圏からのインターネット提供に向けたテストを行っています。

このように、遠隔地への安価なインターネット提供の実現を目指し、従来の地上設備に代わってインターネット提供を行う革新的なソリューリョンを開発する動きが近年活発化しています。しかし、プロジェクトが途中で頓挫したFacebookの事例や今回解散が発表されたLoonの事例のように、社会課題の解決を目指して革新的なソリューションを開発し、サービス提供を行う場合、ビジネス、技術、また持続可能性、全ての面を一度に両立させるのはなかなか難しいのではないかと考えられます。

今回Loonは解散されたものの、Alphabetは引き続きLoonで掲げていたビジョンの実現を模索していくものと考えられます。同社の今後の動き、また昨年にはルワンダのICT省とMoUを結び、類似するソリューション提供に向けた研究を行なうことを発表しているHAPS Mobileの動きにも注目していきたいところです。

関連記事にはLoonのCEOであるWesrgarth氏が今回の解散に際して書いている公式プログの記事、Facebookの実施してきた類似のプロジェクトに関する記事、またLoonやHAPS Mobile、Taaraプロジェクトの取り組みを紹介している以前のPick-Up! アフリカや面白記事の投稿を載せています。ぜひ合わせてお読みください。

関連記事:

  1. 「Saying goodbye to Loon」Link
  2. 「Facebook abandons its Project Aquila flying internet plan」Link
  3. 「FACEBOOK HAS PARTNERED WITH AIRBUS TO TEST SOLAR-POWERED INTERNET DRONES AGAIN」Link
  4. 「The Airbus Solar-Powered Zephyr S Drone Provides Internet Access and Flies for Weeks」Link
  5. 「Facebook is reportedly testing solar-powered internet drones again — this time with Airbus」Link
  6. ケニアでのLoon社のプロジェクトの最新情報も!【面白記事 Vol. 79 :2020年7月8日配信】Link
  7. コラム – Vol. 3:シリコンバレー発テック企業らによるアフリカ大陸でのネットインフラ構築;アフリカ諸国が彼らと協働すべき方法とは Link
  8. HAPSMobileとルワンダICTイノベーション省が覚書に署名!【面白記事 Vol. 96: 2020年7月31日配信】Link
  9. 「携帯基地局も空を飛ぶ ソフトバンクが狙うスマホ制空権」Link
  10. Googleが光線を活用した新たなインターネットインフラ構築プロジェクトを開始!【Pick-Up! アフリカ Vol. 47:2020年11月27日配信】Link

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