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こんにちは!Pick-Up!アフリカです。本日は、ケニアで2024年と2025年に起こったデモ(抵抗運動)に焦点を当て、政治的・経済的な背景から、デモの新しい特徴を解説します。

ケニアの地図を概要

ケニア共和国の概要と政治的・経済的背景

【政治的背景】

東アフリカに位置するケニアは、1963年にイギリスから独立し、翌年から共和国として共和制に移行しました。

1991年には、一党制から複数政党制へと移行。その後は、選挙結果の集計や不正の疑いを理由に野党側から不満が募り、2000年代から2010年代は選挙後の政情不安が懸念される傾向にありました。

【経済的背景】

ケニアは東アフリカ地域のGDPの40%以上を担う有力な国ですが(参考)、近年は経済状況が厳しく、2025年4月時点での国家債務は約800億ドル(国のGDPの約70%に相当)に達しました。

債務の返済能力に悩むルト大統領は、2022年の大統領就任時から増税によって債務を軽減する政策を掲げていました。また、その頃から生活必需品の価格高騰に直面しており、低所得層〜中産階級は生活必需品を買うことも難しい経済状況であったため(参考)、増税はさらなる国民への負担を強いるものでした。

ケニアでの従来の政治・社会変革のなされ方

ケニアでは、2000年代から大統領選挙や憲法改正・制定などの政治的な動きに伴い、活発な抵抗運動が行われてきました

主に武装集団(暴動に限る)や野党支持者、都市部の若者、生活に困窮する一般市民が中心となり、初めは武装して暴動を起こしていましたが、2010年代後半からは武装せずにデモで抗議運動を起こすようになりました

ケニアにおいて社会運動が非暴力化した背景としては、ソーシャルメディアの普及によって、オンライン上で運動を行うことができるようになり(象徴的なハッシュタグをつけた投稿など)、かつ情報の拡散やデモへの動員が容易になったことがあるようです(参考)。

また、現代アフリカ地域研究センター特任研究員のレイバン・キティンジ=キニュア博士によると、若者の教育レベルが上がったことで忍耐強さなどが身につき、デモによる抵抗が可能になったという見方もあるようです。

しかし、こうした比較的非暴力的なデモに対し、ケニア当局は抗議活動の違法化や警察などの治安部隊を用いた力による弾圧を徹底して行っており、銃も多用して抗議者を殺害するケースが見られました(例:2017年大統領総選挙のケース)。

2023年には、野党を率いるオディンガ元首相を中心に、増税政策に反対するデモが頻発しました。

最近のケニアにおけるデモの概要と特徴

①2024年財政法案に反対するデモ

<デモの時期>

2024年6月〜8月

<デモの主体と規模>

「若者の政治参加の不足がケニアで社会的に課題だとされていた中で、今回のデモは若者が主導したと報道がされています。デモ全体の参加者数は、数千人規模だったようです。

ケニアの人口分布図
参考:ケニアの人口分布ピラミッド。PopulationPyramidより。
ケニアの人口の75%は35歳以下です(参考)

<デモのきっかけと要求内容>

ケニアでは、過剰な国家債務を軽減するため、そしてIMF(国際通貨基金)からの融資条件を満たすためにルト大統領が増税範囲の拡大を目指していました。

2024年6月には、パンや携帯電話、その他生活必需品への課税や、モバイル送金(ケニアでは日用品の決済など至るところで使われている)への増税などを盛り込んだ財政法案が提出されましたこの法案に反対する形で、デモが展開されました

抗議運動への参加者が要求した内容は、当初は財政法案の廃止でしたが、デモ隊への扱い(力による弾圧)に対する不満や経済面での不満などを背景に、現職のルト大統領の退陣までに及びました

<デモの拡大に貢献したソーシャルメディアの存在>

ケニアの若者はTikTokやX(旧Twitter)を利用してデモに関する情報を伝達したり、デモ参加者のための資金調達を行ったりして、デモへの動員を成功させました。Xでは#RejectFinanceBill2024というハッシュタグが7億5000回以上のビュー数を獲得しました(参考)。

<デモに対する政府の対応>

政府は従来と同様に、武力も行使して厳重な弾圧へと動きました。600人以上が逮捕されたほか、デモ隊と治安部隊との衝突によって、40人以上が死亡、600人以上が負傷しました。

<デモの成果>

財政法案は24年6月25日に議会で可決されましたが、デモの拡大を受け、ルト大統領が翌日の26日に撤回を表明しました(参考)。

一方で、ルト大統領の退陣や政府の弾圧が軟化するには至りませんでした。

参考文献:Kenya Finance Bill Protests – The Nonviolence Project

②2025年の反政府デモ

<デモの時期>

2025年6月〜7月

<デモの主体>

前年と同じく、Z世代が主導する形で展開されました。

<デモのきっかけと要求内容>

2025年6月初旬、31歳のブロガーかつ教師のアルバート・オジュワン氏がソーシャルメディア上で警察を批判する投稿をしたとして逮捕され、勾留中に死亡しました(参考)。オジュワン氏は、ケニアの政治・社会問題に関するデジタルコンテンツを発信する、強い存在感を持つインフルエンサーの1人でした(BBC)。

当初、警察はオジュワン氏の死因を自殺だと主張していましたが、その後、警察官によって殺害された可能性が高いことが判明し、彼の死に対する怒りがケニアで巻き起こり、デモが勃発しました。

要求内容は、オジュワン氏の死に関する警察の責任追求から、警察による恣意的拘束や暴力、検閲・言論統制などの根本的なあり方を変えることに発展し、大統領の退陣を求める声も聞かれました(参考)。

<デモに対する政府の対応>

前年同様、警察当局による抑え込みによって死亡者・負傷者が多数発生しました。数にはメディアによってバラツキがあるものの、独立警察監視機関の報告によると、65人がが死亡したようです(参考)。

また、驚くべきことに、政府は若年のデモ参加者を脅迫するため、ネット工作員(トロール)に報酬を支払っていたと、アムネスティインターナショナルが発表しました。

ケニア当局は、監視活動や偽情報の拡散も利用し、2024年から2025年にかけてのデモ主催者を標的にしていたそうです(参考)。

<デモの成果>

当初は自殺が死因だと警察が主張していたアルバート・オジュワン氏の死因に関する迅速な捜査や、彼の死に関わった警察官の起訴など、形としては警察の対応に変化が見られました(参考)が、警察によるデモ隊への対応の根本的な改革や、ルト大統領の退陣には至りませんでした

まとめ:ケニアで近年見られる抵抗運動のあり方の変化

従来と比べ、近年のケニアで起こった社会運動には、大きく分けて3つの違いがあると見られます。

①若者が政治や社会への関心を高め、主体的に活動していること

②武力に頼らず、非暴力な抵抗運動をベースとしていること

③ソーシャルメディアを使った情報伝達、訴えかけ、運動への動員をしていること。

おわりに

いかがでしたでしょうか?Pick-Up!アフリカでは、ケニアやタンザニアだけでなく、他の国で最近起こったデモについても発信していく予定です。

お楽しみに!

★タンザニアのデモ解説記事★

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