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こんにちは!Pick-Up!アフリカのAyumiです。
2025年8月に開催された、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の際にJICAが発表した交流事業「JICAアフリカ・ホームタウン」を巡り、タンザニア政府とナイジェリア政府の誤った発表を受けて、アフリカから日本に大勢の移民が来るという論争が起こりました。
<第9回アフリカ開発会議(TICAD9)とは↓>

一方で、日本にどのくらいの在日アフリカ大陸出身者がいるのか、どのような目的で来ているのか、あまり聞いたことがないのではないでしょうか。
今回は、在日アフリカ大陸出身者の現状について分かりやすくお伝えします。最後までぜひご覧ください!
在日アフリカ大陸出身者の数は年々増えている
日本に在住するアフリカ大陸出身者は近年増加しており、2024年末時点で2万5283人(日本における在留外国人全体の0.67%)でした。この値は、2012年の2倍以上に相当します。(下のグラフを参照)
※本記事の「在日」「在住者」とは、3ヶ月を超え中長期にわたって在住している人のことを指します。短期滞在者は含みません。

アフリカのどの国の出身者が多い?
2024年末時点での在住者を国別で見ると、下の図のようになりました。
ナイジェリアが最も多く、次いでガーナ、エジプト、南アフリカ共和国…のようになりました。

中でも、来日の多いナイジェリア人、エジプト人は1980年代から入国の動きが見られており、来日した経緯としては、中東へ出稼ぎをしに行った際に日本の評判を聞き、来日して定住したということです(参考)。
日本では言語・文化的な障壁が多く、順応が難しい側面もある一方で、たくさんのアフリカの方々は日本=平和な国というイメージを強く持っています。
実際、筆者がアフリカに滞在していた時、アフリカの若者から「日本は平和な国だから行ってみたい」「日本は治安が良いから良い国だよね」という声を多く聞きました。
来日のきっかけは技術者、コンサル、留学など
在留資格の内訳を見ると、最も多いのは永住者(5,959人)、次いで家族滞在(3,314人)、留学生(3,262人)、技術・人文知識・国際業務(2,966人)と並んでいます(e-Stat)。
技術・人文知識・国際業務の在留資格では、主にIT・機械・電気電子・建築関係の技術者、企業の管理部門や専門的なコンサルティング、そして通訳や海外営業などの職種に就く人が多いそうです(参考)。
また、留学目的で来る人も、コロナ禍を除いて年々増えていることが伺えます。

政策研究大学院大学、東京大学、京都大学、東京農業大学など、アフリカ学生を積極的に受け入れている大学/大学院もあります。
アフリカからの留学生は、学部生より大学院(修士・博士)の方が多いようです。専攻分野としては、工学、理学・農学・保健(医学)分野を中心に選ぶ傾向にあるようです。
アフリカ出身の学生は奨学金制度で来るケースが多く、日本政府が拠出する国費留学生が依然として多く見られます(ASC)。
しかし、最近は政府以外の留学生の受け皿として、JICAのABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)があります。2014年に開始して以来、1,700人以上のアフリカ学生を招聘したそうです。
このABEイニシアティブは、アフリカ学生に日本の大学で修士号を取ってもらった後、企業での実務的なインターンシップもセットで行うというプログラムになっており、日本でビジネス展開や就職を支援する後押しになっています(詳しくはこちら)。
「在日外国人は犯罪率が高い」「在日外国人が増えると日本人の賃金が下がる」と言われていることについて
これは在日アフリカ大陸出身者に限らず、在日外国人全体についてのお話です。
今年の参院選の際、ネット上で「在日外国人が日本の治安を悪化させている」といった意見が拡散されました。
しかし、この言説に根拠はなく、むしろ近年は在日外国人は増えている一方で、刑法犯件数は減っているというデータがあります(NHK)。

犯罪率を比較すると、日本人が1,000人当たり1.47人、外国人が2.39人となります。
しかし、在日外国人は犯罪率が全体的に高い都市圏に在住する人が多く、日本人でも犯罪率の高い若者人口が多いことを加味すると、大した差は見られないとのことです(日立財団)。
在日アフリカ大陸出身者は大都市圏に住む割合が高いですが、外国人であるという理由で犯罪に巻き込まれたり疑われたりすることを避けるために、あえて地方に住む方もいるようです(参考)。
また、「安い賃金で外国人労働者を雇うから日本人の賃金が上がらない」という意見も、参院選の時期に拡散されました。

しかしNHKによると、この主張に明確な根拠はなく、外国人労働者には若者が多いことが平均賃金が低い原因であり、かつ日本人との競合がない宿泊業・サービス業に偏っているため、国内全体の賃金には影響しにくいとのことです。
アフリカに在住する日本人はどのくらいいる?
逆に、日本人でアフリカに在住している人はどのくらいいるのでしょうか?
外務省の統計によると、在留届を出しておりアフリカに3ヶ月以上滞在している日本人は、2024年10月時点で6,491人だそうです。
ちなみに、国別では多い順に、南アフリカ共和国に939人、ケニアに826人、エジプトに804人、モロッコに422人、ガーナに279人、セネガルに227人…となっており、在日アフリカ大陸出身者の国別ランキングとは違いが見られます。
例えばナイジェリアに関しては、治安などの問題で渡航することが難しいという問題もあります。
おわりに
日本に在住するアフリカ出身の方々の人数は、年々増加傾向にありますが、規模は大きくありません。
しかし、在住目的などを見ると、仕事を探し求めて来日しているのではなく、それぞれの専門分野を活かした職業を持っていたり、キャリアアップのための修士号取得を目的としていたりと、専門性を伸ばす目的で来ている方が多いように見受けられます。
日本人の多くは、アフリカやアフリカに関する情報に接する機会がない分、アフリカのネガティブな部分を強くイメージしてしまうことも多いと思います。
今後、アフリカと日本の人同士の交流がどのように発展していくのか、注視していきたいと思います。
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