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国連機関と人道支援団体は2025年11月初旬、スーダンで2,100万人以上が深刻な食料不足に直面していると発表しました。これは同国人口のおよそ半数にあたり、世界最大規模の食料危機とされています。

特に深刻なのは、西部ダルフール地方の主要都市エル・ファシェル(El Fasher)と、南部カドグリ(Kadugli)周辺です。11月3日には、これらの地域が国際的な食料安全保障指標である「IPC(Integrated Food Security Phase Classification)」の最も危険な段階である第5段階=“飢きん(Famine)”に達していると報告されました。

IPC(総合的食料安全保障レベル分類)とは(参考

国連機関と人道支援団体などによって構成される検討委員会によって決定される、食料危機の深刻度を示す国際基準。

世帯の食料消費量や生計の変化、栄養状態、死亡率などを総合的に評価し、1から5までの5段階に区分します。

第1段階:食料が十分にある状態
十分な食料が確保でき、栄養状態も安定している。栄養不良の人口は全体の5%未満で、ほとんどの人が、1日に1人あたり2,100キロカロリー以上の食料がある状態。

第2段階:食料不安
食料はなんとか確保できるが、食糧以外を犠牲にすることがある状態。1日あたり2,100カロリーの摂取にとどまり、人口の5~10%が急性の栄養不良に陥っている状態。

第3段階:急性食料不安
食料が不足し、必要不可欠な財産を売って生活を維持している。人口の10〜15%が急性栄養不良に陥り、栄養失調や飢えが見られる。

第4段階:人道的危機
深刻な食料不足。急性栄養不良や飢餓による死亡が発生。人口の15〜30%が急性栄養不良に陥っている。

第5段階:壊滅的飢餓、または、飢きん
最悪の状況。極度の食料不足・飢餓が発生し、栄養失調と飢餓による大量の死者が出ている状態。国連は、特定地域の人口の急性栄養失調率が30%以上、1日あたり1万人あたり2人以上の死亡が確認されると「飢きん」と認定します。飢きんの認定は非常に稀で、ソマリア(2011年)や 南スーダン(2017年・2020年)など数年に一回の出来事です。

飢きんの背景にある要因

スーダンの内戦とは

2023年4月から続く政府軍(SAF)と準軍事組織(RSF)の武力衝突によって、スーダンの深刻な国家としての危機を抱えています。。

スーダンでは、軍による暫定統治のもと民政移行に向けた協議が進められていましたが、2023年に軍の再編をめぐってスーダン軍と準軍事組織「即応支援隊(RSF)」が対立。同年4月15日には首都ハルツームで激しい銃撃戦が発生し、戦闘は瞬く間に全国へ拡大しました。その後も衝突は収まらず、2025年に入った現在も混乱が続いています。

続く内戦ー市民への影響ー

戦闘の激化により多くの農地が戦場となり、人々の避難によって耕作放棄地が増加しています。特に農村部では、避難民が農作業を再開できず、収穫量が大幅に減少しています。

さらに商業活動も停止し、経済が麻痺する中、極度の貧困層にとっては国内で入手できる食料が高騰しており、国外からの支援に頼らざるを得ない状況が続いています。それにもかかわらず、国内の武装勢力による包囲によって人道支援が届かない地域も多く、飢餓の拡大に拍車をかけています。

内戦の長期化によって通貨価値の下落や物価高騰が進み、一般市民の生活はますます厳しいものとなっています。医療や安全な水へのアクセスも制限され、人々は日々、命の危険にさらされています。

国際社会の対応と今後の見通し

国連や国際NGOは緊急食料支援を拡大していますが、治安の悪化とアクセス制限により十分な支援が行き届いていません。

国連は、現状のままではスーダン国内での飢餓の範囲が拡大することを懸念しています。


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参考記事:

スーダンで37万5千人が最も深刻な「飢饉」 国連関連機関発表(朝日新聞) – Yahoo!ニュース

スーダン内戦長期化 世界最大規模の食料危機(日テレNEWS NNN) – Yahoo!ニュース

食料がある状態から飢きんに至るまでの5つの段階 | World Food Programme

【スーダン危機】2023年4月以降 新たに1200万人以上が避難

スーダンの一部地域で「飢きん」 紛争で物資供給が途絶えた2地域 戦闘が沈静化した地域では食料状況の改善傾向も ユニセフら、暴力終結と人道アクセスを訴え

スーダン戦闘の経済的影響により、飢餓危機が深刻化 | World Food Programme

Hunger in Sudan: How (and why) hundreds of thousands are facing famine

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