★目次★
こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
今回は、セネガルで起きた二つのデモ(2023年6月/2024年2月)に焦点を当て、デモの背景や要求内容を解説します。

セネガルの概要と政治的・社会的背景
【政治的背景】
西アフリカ地域に位置するセネガルは、1960年の独立以降、一度も軍事クーデターがおきたことがないことから、非常に安定した民主主義国家として国内外から知られています。独立後、1963年3月7日に制定された最初の憲法に基づいた、1976年の法改正で多党制(三党制)が制度化されました。
2023年〜2024年当時には、マッキー・サル大統領(与党連合)vsウスマン・ソンコ氏(野党PASTEF党首)という対立構造がありました。
【経済的背景】
2023年、約20%と非常に高い失業率(参考記事)や、それに伴う経済的困窮により、国民の間での不満が高まっていました。当時のサル大統領は、「Plan for an Emerging Senegal(PSE)」などの長期開発計画を打ち出し、空港や鉄道、工業団地などの建設や、ガス・石油事業の活発化を行い、セネガルのGDPの成長に寄与しました。しかし、その経済成長の恩恵が国民にまで還元されているかどうかには疑問の声が上がっており、国内における評価はあまり高くありませんでした。
そのため、野党であるウスマン・ソンコ氏への支持が集まっていたのが背景のようです。
また、親仏的な政策をとってきた当時のサル政権に対して、慢性的な貧困の原因は経済活動の利益の多くがフランスに流れていることにあると国民が考えるようになっていました。
①第一波:ソンコ氏の有罪判決への反対デモ
<デモの時期>
2023年6月
<デモの主体と規模>
ソンコ氏を支持する野党支持者が数日間に渡ってデモを行いました。
少なくとも16人が死亡、500人以上が逮捕されました。
<デモのきっかけと要求内容>
デモのきっかけとなったのは、2023年6月1日に首都ダカールの裁判所が、野党指導者ウスマン・ソンコ氏に対して「懲役2年の実刑判決」を言い渡したことです。
ソンコ氏は、政治の場では長らくタブー視されてきたCFAフラン制度に言及したほか、税務調査官時代に明らかにした脱税疑惑などを通じて既存政治を批判し、徐々に国民からの支持を集めていきました。しかし、2021年2月に性的暴行の疑いが浮上し、翌月に逮捕されました。
その後の裁判では、性的暴行については無罪と判断されましたが、裁判に向かう過程で公の秩序を乱したことや、無許可のデモに関与し、若者に悪影響を及ぼしたとされる行為について有罪と認定されました。その結果、ソンコ氏には「懲役2年の実刑判決」が言い渡されました。この裁判にソンコ氏は欠席したためすぐに拘留はされなかったものの、いつでも逮捕される状態となり、ソンコ氏支持者に緊張が高まりました。
この有罪判決により、ソンコ氏は2024年に予定されていた大統領選挙への立候補資格を失うこととなりました。これに反発したソンコ氏支持者や野党側を支持する市民らが、司法判断の政治的公正性を疑問視し、大規模なデモを行いました。デモでは、ソンコ氏の立候補資格の回復や、政府による政治的介入の排除などが主な要求として掲げられました。対して、政府は、ソンコ氏が来年の選挙に出馬できないように陥れようとしているという主張を否定しています。
さらに同時期、サル大統領の任期問題が発生しました。サル大統領は憲法上、2024年4月2日が最後の任期であり、次期大統領選挙への出馬が認められていませんでした。しかし「現行憲法は、サル大統領の任期中である2016年に改定されたものであるため、それ以前の任期は通算されない」とサル大統領支持者を中心に再出馬を可能とする主張が広まりました。この姿勢に対しても野党支持者の反発が強まり、デモ拡大の要因の一つになったとされています。
<デモの拡大のプロセス>
特に若者の間で、WhatsAppやX(旧Twitter)、TikTokを利用して情報が拡散されました。
<デモに対する政府の対応>
政府は、WhatsAppやFacebookといったSNSの使用禁止やモバイルデータ通信の制限などで対抗し、情報の拡散を阻止しようとしました。
また、治安機関は鎮圧のため催涙弾などを使用したとのことです。
<デモの成果>
2023年7月3日にサル大統領が3期目の出馬は行わないと宣言したことで、緊張は緩和されました。
②第二波:大統領選挙延長への反対デモ
<デモの時期>
2024年2月
<デモの主体と規模>
ソンコ氏を支持する野党支持者が数日間に渡ってデモを行いました。
少なくとも3人が死亡、抗議参加者の多くが逮捕されました。
<デモのきっかけと要求内容>
2024年2月25日に予定されていた大統領選挙について、サル大統領は、憲法評議会と議会の対立や、憲法評議会メンバーに対する汚職疑惑などを理由に、同年12月25日まで選挙を延期することを強行しました。
しかし、この決定については、サル大統領の与党における後継候補であるアマドゥ・バ氏の劣勢を回避する狙いがあるのではないかとの見方が広まりました。その結果、国民の間では、選挙の実施やソンコ氏の釈放を求めるデモが発生しました。
<デモの拡大のプロセス>
特に若者の間で、WhatsAppやX(旧Twitter)、TikTokを利用して情報が拡散されました。
<デモに対する政府の対応>
第一波の時同様、インターネットの制限などを行いました。
<デモの成果>
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)も、2月13日にセネガル政府に対して当初の選挙スケジュールに戻すよう求め、首都ダカールに代表団を派遣しました。また、憲法裁判所はこの大統領選延期を違憲であるとする判決を下し、憲法評議会も12月への延期を定めた法案を無効としました。日程の決定は困難を極めましたが、最終的に2024年3月7日、サル大統領は3月24日に大統領選を実施することを発表しました。ソンコ氏は投票日の10日前に、恩赦という形で釈放されました。
しかし、1月に最高裁判所が名誉毀損罪について有罪と判断したことを受け、憲法評議会はソンコ氏の出馬を認めませんでした。そこで、ソンコ氏の支持のもと、元税務調査官であり、ソンコ氏と同じくPASTEFで活動していたディオマイ・ファイ氏が出馬しました。
従来の政治改革との違い
以下の二点において、今回のデモは過去のデモと異なっているといえます。
①SNSを利用した情報拡散が行われたこと
②野党連合や労働組合といった組織ではなく、個人の若者を中心としたデモであったこと
おわりに
いかがでしたでしょうか?Pick-Up!アフリカでは、他の国で最近起こったデモについても発信していく予定です。
お楽しみに!
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参考:
デモ参加者16人死亡、野党指導者の有罪判決で暴動 セネガル – CNN.co.jp
セネガル野党党首の実刑判決に対する抗議デモ | 海外安全.jp
The Hot Progress of Macky Sall’s ‘Plan for an Emerging Senegal’
Senegal’s Sonko can be arrested ‘at any time’: Justice minister | Protests News | Al Jazeera
UN, AU urge calm after deadly clashes in Senegal | Arab News

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