こんにちは!Pick-Up!アフリカです!

近年、アフリカにおいてAI分野がホットな話題となっています。日本政府がアフリカにおけるAI分野の人材育成に乗り出したり、Googleがアフリカ全土のAI研究開発を促進するためのプログラムを発表したり、今後アフリカのAI開発はますますホットになっていくと予想されます。そこで本日は、現段階でのアフリカ各国におけるAIの活用について書かれた記事をご紹介します。

2025年アフリカの最も有望な分野:暗号資産、フィンテック、農業技術、AI

Crypto, Fintech, Agritech & AI: Africa’s Most Promising Sectors in 2025

記事リンク:https://www.techinafrica.com/crypto-fintech-agritech-ai-africas-most-promising-sectors-in-2025/

アフリカにおけるAIの可能性

2025年6月までに、アフリカではAIに特化したスタートアップ企業159社が8億320万ドル(1ドル=150円換算で約1200億円)の資金調達を達成したようです。分野の内訳は、フィンテックが20.9%でトップ、人材関連が19.9%、教育関連が14.8%と続きます。

GSMAによると、AIは2030年までにアフリカ経済に2.9兆ドルの貢献を果たす可能性があるとされています。生成系AIだけでも、年間最大1,000億ドルの経済価値を生み出す可能性があります。アフリカの機関の40%以上が、生成系AIの実験や導入を積極的に行っています

2025年にリードするAIスタートアップ

医療分野では、ナイジェリアのMylturaがAIを活用したデジタルヘルスプラットフォームを運営しています。ナイジェリアは高血圧、糖尿病、癌といった生活習慣病の増加に直面しており、国内の死亡原因の約30%を占めると推定されています 。しかし、インフラの不足や費用の問題などにより予防医療は十分に活用されていないようです。

この問題に対し、Mylturaは遠隔医療やチャットにより全国の医師に遠隔で相談を可能としたそうです。また、1200ナイラ(約2ドル)という低価格で健康診断を提供しています。ナイジェリアのある医療機関(参考)の基本的な健康診断の価格は65000ナイラ(約43ドル)であり、その価格差は50倍以上にのぼります。コストを大幅に抑えるために検査項目を限定していますが、初期段階での健康状態の把握や重大な疾患の早期発見には十分役立つものになっているようです。さらに、AIを用いて健康診断の結果を分析し、パーソナライズ化されたアドバイスの提供や病気のリスクの警告も行ってくれるようです。

コンプライアンスと財務の分野では、E-doc Onlineがリアルタイムの銀行の取引データを活用し、効率的な信用評価とコンプライアンス業務を実現するプラットフォームを開発しました。

またRegulonはガーナでAIを活用して企業のコンプライアンスチェックを自動化し、再利用・共有可能な企業プロフィールを作成できるようにすることで、オンボーディングを容易にしたそうです。

金融分野では、ナイジェリアのエンタープライズAI※1企業であるPastelは、銀行やフィンテックの防御強化のためのプラットフォームを提供しています。リアルタイムの不正検知、マネーロンダリング対策の自動化、リスク主導の信用評価機能を提供します。
※1エンタープライズAIとは、ビジネス機能を強化するために、AIを活用した高度なテクノロジーや手法を大規模な組織内で統合したもの。(参考

RxAllはディープラーニング※2とハイパースペクトルイメージング※3を用いて、医薬品の正規品判定をリアルタイムで実施するシステムを開発しました。アフリカでは年間約10万人が偽造薬が原因で命を落としています。この問題に対し当システムは、300種類以上の薬剤を99.9%の精度で検査をし、これまで50万人以上の命を守りました。現在はナイジェリア食品医薬品管理局(NAFDAC)やナイジェリア国内の卸売業者、病院、薬局等に導入されています。
※2コンピューターがアルゴリズムに基づき入力データからパターンやルールを見つけ出し、それを新しいデータに適用して識別や予測を行う手法。(参考
※3高い波長分解能で画像を取得する機能を持つハイパースペクトルカメラと、それに対応した照明を用いて画像を取得する技術。(参考

CDIALは180のアフリカ言語に対応したAIツールを開発し、農村部のeコマースを30%増加させ、10万人以上のユーザーを獲得しました。

アフリカにおけるAIアプリケーションの応用

アフリカではAIを用いたアプリケーションが様々な分野で活用され、人々に確かな解決策を提供しています。

Envisionit Deep AIはRADIFYを開発しました。これは、X線画像から肺の重篤な疾患を迅速に特定するプラットフォームです。2020年に南アフリカのキンバリーにある700床の病院でCOVID-19が流行した際、唯一の放射線科医が体調を崩した際にも、RADIFYは即座に結果を提供し、待ち時間を劇的に短縮しました。

ルワンダでは、公衆衛生においてAIが運用されています。ルワンダの保健省によってポータブルX線装置が配置されており、1日最大300人を検査でき、遠隔地であっても結核の早期診断が可能となりました。これは大きな進歩で、特に南アフリカでは100万人あたり画像診断装置数がわずか5台で、OECD※4平均の18台と比べて大きく下回っている現状を踏まえると、なおさら重要となります。
※4経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)

物流分野では、ナイジェリアのKobo360製造業者と貨物所有者をトラック運転手と結び付け、商品を大陸全体でシームレスに移動できるプラットフォームを開発しました。データ分析とAIを活用し、ラストマイル配送※5における非効率性を削減し、透明性と可視性を高め、システム全体におけるコミュニケーションギャップを解消し、集配を最適化し、リアルタイムで配送ルートを改善することで、サプライチェーンの非効率性を解消しているようです。
※5お客様へ商品を届ける物流の最後の区間のこと。(参考

顧客サービスでは、西アフリカの通信会社がAIを活用し、コールセンターの効率と顧客満足度を向上させたそうです。ナイジェリアの通信会社は、デジタルアシスタントとして機能するチャットボットを導入しました。このチャットボットは、サービスの有効化、残高確認、通話時間の購入などについて24時間365日体制のサポートを提供しています。

AIによる救命のポテンシャルはZiplineのドローン配送サービスが証明しています。ルワンダでは当サービスを用いることによって、血液の配送時間が61%短縮され、血液ユニットの廃棄率も67%短縮されました。またガーナでは、当サービスによりワクチンの在庫切れが60%減少し、医療施設における医薬品の入手可能性が10%向上しました。

★ZiplineはPick-Up!アフリカで以前も取り上げました!詳細は下記リンクからどうぞ!

AIを活用したサービスの比較

下記は、AIを活用したサービスの特徴をまとめた表です。

企業名所在国主要分野主要技術影響実施規模
RADIFY (Envisionit Deep AI)南アフリカ医療AIを活用したX線分析重大な所見の即時検出病院単位での導入
RxAllナイジェリア医療ディープラーニング+ハイパースペクトルイメージングリアルタイムの医薬品判定政府卸売業者病院薬局単位での導入
CDIALナイジェリア言語180言語対応のAIツール農村部の電子商取引を30%増加ユーザー数10万人以上
Kobo360ナイジェリア物流AIを用いたサプライチェーン最適化西アフリカでの業務効率化地域規模で展開
Ziplineルワンダガーナ医療物流AIを用いたドローン配送血液配送を61%迅速化病院ヘルスセンター単位での導入
Curacelナイジェリア保険AIを活用した請求処理不正行為の検出と管理企業(フィンテック、物流、eコマースなど)単位での導入

AIへの投資は今後ますます勢いを増すといわれています。2022年から2023年にかけて、アフリカ全土で103件のAI関連ベンチャーキャピタル取引が成立し、6億4,100万ドルの資金が調達されました。

いかがだったでしょうか。アフリカ各国においてAIは、医療や教育、金融サービスへのアクセスを広げることで、これまで取り残されてきた地域や人々の生活を大きく変えつつあります。こうした動きが積み重なることで、アフリカの社会全体に持続的な変革がもたらされるかもしれません。

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関連・参考記事

  1. Myltura: Pioneering AI‑Driven Remote Healthcare and Health Data – link
  2. Pastel Africa Leads AI-Driven Fight Against Financial Fraud – link

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