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こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
2026年5月16日、世界保健機関(WHO)は、コンゴ民主共和国(DRC)とウガンダにおけるエボラ出血熱に対して、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)と判断しました。
このエボラ出血熱の流行が日本にどのような影響があるのか気になる方も多いと思います。
今回の記事ではエボラ出血熱と、現地の流行状況、さらに流行地域における対策状況を整理してお伝えします。
1. エボラ出血熱とは?
エボラ出血熱(エボラウイルス病)は、エボラウイルスによって引き起こされる、致死率の高い感染症です。実は過去に流行った時と今回ではウイルスに違いがあることが、今回の流行の大きな鍵となっています。
– ウイルスの特徴
エボラ出血熱(エボラウイルス病)は、ザイールウイルスやブンディブギョウイルスを含むオルソエボラウイルス属のウイルスです。
・WHOによると、現在の流行はブンディブギョウイルスが引き起こしていると報告されています。過去の流行データでは、この株の致死率は約30%とされています。エボラ出血熱全体の致死率(25〜90%)の中では比較的低い部類ですが、依然として極めて危険な感染症です。
・現在普及しているワクチンは「ザイールウイルス」を対象としたものであり、今回流行している「ブンディブギョウイルス」に対して承認された治療薬やワクチンは現時点では存在しません。
・ウイルスの感染経路は、感染した人や動物(主にコウモリなど)の血液や体液等に直接触れた際に粘膜等から感染します。また、感染した動物の死体や生肉との接触、またその生肉を食することでも感染します。なお、空気感染はしません。
– 罹患した際の症状
症状は突然現れることが多く、以下の経過をたどります。
| 潜伏期間 | 2~21日(通常4~10日) |
| 初期症状 | 突然の発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感、喉の痛み |
| その後の症状 | 嘔吐、下痢、発疹 |
| 悪化時の症状 | 出血傾向、意識障害など(死に至る可能性あり) |
| 致命率 | 25~90%(過去の報告) |
| 後遺症 | 関節痛、視力障害、聴力障害など |
詳しくは以下の記事もご覧ください。

2. コンゴ民主共和国(DRC)とウガンダにおける現在の流行状況
ここで、エボラ出血熱(エボラウイルス病)の流行状況をみていきます。
– 発生地域
・コンゴ民主共和国(DRC):イトゥリ州のブニア、ルワンパラ、モンブワルを含む少なくとも3つの保健区域で確認されています。また、報告されたもう1件の症例は、イトゥリからキンシャサに戻った人物で、確認検査でブンディブギョウイルスが陰性であったため、確定症例とはみなされていません。
・ウガンダ:コンゴ民主共和国(DRC)からの入国者が、ウガンダのカンパラでの検査で感染が確認され、死亡者もでています。

– 感染者数(現段階の情報)
・コンゴ民主共和国(DRC)イトゥリ州では、ブニア、ルワンパラ、モンブワルを含む少なくとも3つの保健区域で、検査で確定された症例が8件、疑い症例が246件、死亡疑い例が80件報告されています。また、イトゥリからキンシャサに戻った人物で疑い症例が1件です。
・WHOの報告では、今回の流行は国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を構成するが、国際保健規制(IHR)で定義されているパンデミック緊急事態の基準を満たさないことを決定しています。つまり、2026年5月18日時点では、まだパンデミックまでの緊急事態の基準には達していません。
・しかし、WHOの報告で検査で確定された症例の8件が、検査した13検体のうち8件が陽性だった(約61.5%)ことについて陽性率が高く、実際には報告よりもはるかに多くの感染者が隠れている可能性を懸念しています。そのため、パンデミックになる危険性も十分に考えられます。
・ウガンダのカンパラで、コンゴ民主共和国(DRC)からの入国者の2件が検査で確定され、そのうち1件は死亡しています。
コンゴ民主共和国(DRC)とウガンダについてもっと知りたい方は以下の記事もご覧ください。


3. 今後の対応と予防措置
– 流行国および周辺国における現在の予防措置や対応状況
・流行国について
-WHOによる流行国への勧告:緊急対策本部(EOC)を設置し、感染者と接触した人の追跡、隔離治療を徹底する必要があると勧告した。また、感染拡大を止めるために確定症例は、少なくとも48時間の間隔を空けて実施した2回のブンディブギョ株用検査で陰性となるまで隔離を継続するといった治療をするべきとも勧告した。
・周辺国の対応
ルワンダ: 予防的措置として、コンゴ民主共和国(DRC)との国境検疫を強化。早期検出のための監視体制を最大レベルに引き上げると発表した。
・日本の対応
外務省の海外安全ホームページによると、WHOによるPHEICの決定を受け、5月17日、外務省がコンゴ民主共和国(DRC)及びウガンダを対象に感染症危険情報(レベル1:十分注意してください)を発令しました。厚生労働省(含:検疫所)及び外務省、関係国・機関からの最新の情報発信・注意喚起を確認し、感染防止に十分留意してくださいといった注意喚起を行っています。
今回の流行は、有効なワクチンがない「ブンディブギョウイルス」が拡大しているという点で、非常に深刻な局面を迎えています。
また、WHOの報告では、現在の流行地域において、治安の悪化、人道危機、人口移動の活発化、さらに都市部または準都市部であることや非公式医療施設のネットワークが広範囲に及ぶことといった感染拡大の高いリスクがある地域であると懸念しています。
コンゴ民主共和国(DRC)とウガンダやその他近隣国に滞在予定の方は必ず外務省などの最新の情報発信・注意喚起を確認してください。
この危機がコンゴ民主共和国(DRC)とウガンダや、アフリカの他の国と地域にどう影響するのか。PickUpアフリカでも、この動向を追い続けていきます。
参照
・エボラ出血熱に関する注意喚起 (外務省海外安全ホームページ)
・エボラ出血熱、コンゴ民主共和国で流行 WHOが「国際的な緊急事態」宣言(BBC)

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