日本ルワンダビジネスコミュニティ(JRBC)運営メンバーの一員。面白記事では主にロジスティクスやサプライチェーン、また農業分野などを担当させていただきます。


「Silicon Valley tech giants race to build Africa’s Internet infrastructure. Should Africa worry?」

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みなさま、こんにちは。

本日は隔週でお届けしているコラムを配信させていただきます。

さて、今回は「シリコンバレー発テクノロジー巨大企業らによるアフリカ大陸でのインターネットインフラ構築:アフリカが懸念すべきこととは?」と題したこちらの記事を元に、これらの企業がアフリカ大陸でのインターネットインフラ構築をリードしている構図から見えてくるアフリカ大陸にとっての懸念事項、またアフリカ諸国がテクノロジー企業らと協働すべき方法について考えていきます。さらに、最後にはその上であげられる日本企業の進出可能性についても考えていきます。

本コラムでは、Facebook社やGoogle社がアフリカ大陸にて進めているプロジェクトに触れている過去の面白記事なども引用しながら進めていきますので、ご関心のある方はリンク先や関連記事の方もぜひお読みください。


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アフリカでのインターネットインフラ構築の歴史

近年、開発領域において世界的に政府やドナー主体の開発から、民間企業主体の開発に移ってきている中、実はアフリカ大陸のインターネットインフラ構築においても、今回ご紹介するシリコンバレー発テクノロジー企業らが台頭してくる以前、1990年代以降から主に政府や開発機関により多数の国内および国際的な取り組みが行われてきました。例えば、米国国際開発庁(USAID)による1,500万ドルもの投資のもと実施されたLeland project (1996-2001)、またアフリカ開発銀行によるサポートと世界銀行による4億2,400万ドルもの投資のもと設立された東アフリカ海底ケーブルシステム (2003-2010)などが挙げられます。

これらのプロジェクトは全てのアフリカ諸国、そして世界の他の地域までも相互に接続させるインフラの構築という集合的な目標のもと行われてきました。しかし、現在のアフリカ大陸でのインターネット普及率に目を向けると、未だ厳しい数値が散見されるのが現状となっています。

未だ低いアフリカでのインターネット普及率

Miniwatts Marketing Groupが毎年発表している「Internet World Status」という2020年版のレポートによると、アフリカ諸国の中でもケニアとリビアで最も高いインターネット普及率が記録されており、それぞれ87.2%と74.2%となっている一方、西サハラやチャドではその値がそれぞれ4.7%と6.3%であるように、地域間で大きな差が存在していることがお分かりいただけるかと思います。また世界全体の平均が58.8%、アフリカ諸国以外の平均が62.9%であるのに対し、アフリカ諸国全体の平均に目を向けると、39.3%とかなり低い割合となっており、3人に1人がやっとインターネットにアクセスできるのが現状です。

シリコンバレー発巨大テクノロジー企業らの台頭

そこで、未だ低いアフリカ大陸のインターネット普及率を向上させようと、開発機関らに代わり近年その拡大をリードするようになってきたのが、Google社やFacebook社といったシリコンバレー発である10億ドル規模のテクノロジー企業なのです。

ここからは各社が具体的にアフリカ大陸にてどのようなプロジェクトを進めてきたのか、ご紹介していきます。

Google社の動き

1.CSquared

まずGoogle社は2011年より中立的な共有インフラのオペレーターとしてモバイルネットワークオペレーター(MNO)とインターネットサービスプロバイダー(ISP)が卸売モデルでリースする大都市光ファイバーネットワークの構築を目的に、サブサハラ地域のアフリカ大陸にてCSquaredと呼ばれる内部プロジェクトを開始しました。2017年にはプロジェクト範囲を拡大させるため、三井物産(日本)、コンバージェンスパートナー(南アフリカ)、および国際金融公社(IFC、世界銀行グループ)と共にジョイントベンチャーを立ち上げています。CSquaredでは現在ウガンダのカンパラとエンデベで890km以上、さらにガーナの3つの都市で1070km以上、リベリアのモンロビアで180kmの大都市ファイバーを所有および運用しており、現在他のアフリカ諸国への拡大も模索中のようです。

同社はまた、Project LoonやEquianoなど、アフリカ大陸で独自のインターネットインフラを構築するプロジェクトも運営しています。

2.Project Loon

これまで面白記事でもたびたびご紹介してきましたが、Project Loonとは、Loonと呼ばれる気球型のユニットを使用してインターネットへの接続を可能にしようというプロジェクトです。2017年よりケニアの農村部での運用に取り組んでおり、今年に入ってからはモザンビークへの拡大も発表しています。このプロジェクトではタワーを介さずLoonから直接インターネットを供給できるため、地上のセルタワーを介する従来の方法よりも低コスト、かつ広範囲でのインターネット供給が可能となります。

関連する過去の面白記事

  1. 「面白記事v.17(2020年4月14日投稿)記事3」-Link
  2. 「面白記事v.43(2020年5月25日投稿)記事2」-Link

3.Equiano

さらに、Equianoとはアフリカとヨーロッパをつなぐ海底ケーブルを2021年までに構築しようとするプロジェクトです。EquianoはGoogle社が提供する3つ目のプライベート国際ケーブルとなるようですが、同社はこれまで構築されてきた2つと比べてEquianoは最先端のインフラを搭載しており、かつネットワーク容量が約20倍であると述べています。

このようにGoogle社は、フォーカスする部分は違えど最終的にアフリカ大陸でのインターネットアクセスを向上させるという共通の目標のもと、複数のプロジェクトを進めてきています。それらの参入形態に変化が見られますが、包括的なソリューションを提供することで将来的にアフリカ市場をリードしたいというGoogle社の狙いがあるように思えます。

さて、ここまでだと一見Google社のみがアフリカ大陸でのインターネットインフラ構築をリードしているようにも見えますが、同じくシリコンバレー発のFacebook社もその勢いに負けてはいません。

Facebook社の動き

インターネット交換ポイント(IXP)の使用を可能にすることでアフリカの農村コミュニティに対するインターネット提供を実現させたInternet Society(ISOC)との提携や、アフリカ大陸の通信事業者が活用できる包括的なWi-Fiプラットフォームを提供したExpress Wifi Projectの実装など、Facebook社は当初は新しいインフラに投資するのではなく、先進国の既存のインターネットインフラを活用することに重点を置いていました。しかし近年はGoogle社に対抗するようにFacebook社もアフリカ大陸にて新たなインフラ構築に投資するようになってきています。

同社は昨年、Main One社と提携しナイジェリアにて750kmもの地上オープンアクセスインターネットインフラを構築しました。さらに、Airtel社と提携しウガンダにて800km、南アフリカにて100kmのファイバー接続をも構築しています。

同社はまた、今年5月に2Africaと呼ばれる新たなプロジェクトの開始を発表しました。

1.2Africa

2AfricaではChina Mobile社やMTN社、Orange社、Vodafone社など複数社とのパートナーシップのもと、ヨーロッパ、中東、アフリカ間を繋ぐ海底ケーブルを2024年までに構築させることを目標としています。従来とは異なるアルミニウム製のケーブルを活用すること、ケーブルの長さが地球の円周にも匹敵する37,000kmもの長さであること、また現状の3倍以上ものキャパシティーを保有していることなどから最先端の技術を用いたプロジェクトであることがうかがえます。

関連する過去の面白記事

  1. 「面白記事v.43(2020年5月25日投稿)記事1」-Link
  2. 「面白記事v.44(2020年5月26日投稿)記事3」-Link

彼らの台頭の背景

ここで、近年Facebook社やGoogle社といったシリコンバレー発テクノロジー巨大企業らがなぜはるか遠いアフリカ大陸のインターネットインフラ構築に参画するようになったのか、その背景を彼らのビジネス戦略という側面から解説していきたいと思います。

まず広告がFacebook社の収益の98%、Google社の収益の85%を占めていることからお分かりいただけるように、両社は大部分の収益を広告から得ています。そのため収益性はユーザー数の増加、またはそれぞれのユーザーから生み出される収益額に依存しています。要するにインターネットが既に十分に普及し、かつ今後人口推移も停滞していく欧米などの先進国で将来ユーザーになってくれるであろうポテンシャルを秘めた人々の数が減少するにつれて、彼らは収益をさらに増やし市場シェアを拡大させるために、他の新興および低所得市場への進出を模索するようになるのです。

現に、上記でご紹介したMiniwatts Marketing Groupのデータにてヨーロッパではインターネット普及率が87.7%となっているのを考慮すると、現在人口の半数以上がインターネットにアクセスできていない状態であり、かつ今後都市化の進展、および人口の爆発的な増加が見込まれるアフリカ大陸は、両社にとってポテンシャルに溢れた市場であることは容易に想像されます。アフリカ大陸のインターネットインフラの構築に投資することでオンラインとなる数千万の人々は、結果的に両社にとって大きな顧客層となるのです。

アフリカがもつべき懸念

ここまでご説明してきたように、現在インターネットインフラの構築においてシリコンバレー発巨大テクノロジー企業らにリードされているアフリカ大陸ですが、これは果たしてアフリカ大陸自身にとってはメリットのみ与えられるものなのでしょうか。もちろん、インターネット普及率が向上した際には、農村部の人々などもインターネットを活用した教育や医療などさまざまな分野で恩恵を受けられるようになるのは言うまでもありません。

しかし、その一方で約33もの国々でデータプライバシー法が存在しないアフリカでは、インターネット提供のためのグローバルテクノロジー企業への過度の依存は、大量の誤報や偽情報、また個人データの悪用から生まれる無責任な暴力や虐待を招く可能性を秘めています。

実際に以前Facebook社のデータから5千万人以上もの人々の個人情報が流出した Cambridge Analytica scandal と呼ばれる事件も発生しています。この事件では2016年の米大統領選でトランプ陣営側のキャンペーンを担っていたデータ解析企業 Cambridge Analytica (CA) が、アプリを通じて入手した5千万人分のFacebookユーザーの個人情報を購入して選挙キャンペーンに利用したと報じられています。これは、公式の選挙運動と外部団体との調整は違法とされている米国の選挙法に違反するだけでなく、多くの人々のプライバシーを侵害したとして世界から批判が集まりました。

記事では、アフリカ政府の規制局がテレコム市場の管理、外部世界へのインターネット接続の統制、および国内で提供されるデジタル関連のエコシステムの管理に終始しており、そもそもインターネットが使用される環境作りやその使用法に関するポリシーなどソフト面に関する議論は欠如してしまっているのではないかと指摘しています。

また、今年2月にルワンダで行われたAfrica Tech Summitをはじめとする様々なテック系のイベントでも、政府やドナー主体の開発から民間企業主体の開発に移ったり画期的なイノベーションが起こっいる中で、これらの新たな貢献者たちが民間企業の求めている政府・規制局の関わり方と、実際に彼らが行っていることや思い描いていることには溝が生じているのでは?と感じる議論がたびたび起こっています。

これらのことから、政府側のテック、あるいはイノベーションリテラシーの低さも課題、懸念点の一つと感じられます。

アフリカ諸国がどのように彼らと協働していくべきなのか

それでは、アフリカ諸国政府はどのようにこれらのテクノロジー企業、そして次から次へと世に送り出されるイノベーティブなアプローチを行う事業らと関わり、協働していくべきなのでしょうか。

インターネットはユーザーに多大な社会的および経済的利益をもたらす一方、上記で述べたようなデメリットをももたらしかねません。政府によるこれらのテクノロジー企業向けの包括的でより現実的なデジタル規制フレームワークとポリシーがなければ、彼らによるインターネットインフラやデジタルプラットフォームの構築は、アフリカ大陸の経済成長とイノベーションをサポートする代わりに、無責任な暴力や虐待を招きかねません。

今後アフリカ大陸がますますビジネスマーケットとしての注目を浴び、アフリカに進出するグローバルテクノロジー企業が増加すると考えられるだけに、政府側のテックリテラシーの向上や、投資環境を整えるハード面だけでなく、実際の投資に繋がるソフト面と捉えることのできるデジタル規制フレームワークやポリシーを設立することで、テクノロジー企業らをはじめとする民間企業との交渉がより容易になってくるのではないでしょうか。例えば、Smart Africa Allianceといった、官民、国際機関が集いプロジェクトなどを通してICTの促進、また同分野で歩調を合わせることを目的としているアライアンスなどの活用はこれを実際に行うプラットフォームとして重要になってくるのかもしれません。

日本企業のアフリカ進出における可能性

さて、最後にここまでご説明してきたことを踏まえ、日本企業のアフリカ進出における可能性について、考えていきたいと思います。

上記で触れたCSquaredというプロジェクトにて、日本の三井物産が参画しているとご紹介しましたが、この事例のように第三国あるいは他社と組むこともアフリカでのビジネス展開の手がかりの一つとして考えられるのではないでしょうか。

第三国あるいは他社と組むといっても、ジョイントベンチャーの立ち上げ、買収、また合併など様々な形態が存在するかと思います。そこで今回取り上げたいのが、CVC (Corporate Venture Capital) と言われる、企業がそれぞれのビジネスに合った事業を行っている企業やスタートアップに対して直接投資を行うという形態です。

以前の面白記事でもご紹介していますが、投資の形としては、VC (Venture Capital) と言われる投資会社が様々な企業や個人から投資資金を募り、投資先を決めるというのがこれまで一般的な形でした。しかし近年、上記でご紹介したCVCと言われる企業からの直接投資が目立つようになってきています。買収や合併より拘束力が少ないが、新市場に対する初期投資や調査が省略できる、また自社と似た方向性を最初から共有できるといった点が、この投資形態のメリットとしてあげられます。

実際に日本からは、自社で立ち上げたVCである Mobility54を通じてアフリカのモビリティスタートアップに投資を行っているトヨタ、ナイジェリアのオートバイ輸送スタートアップ Max.ngに投資を行っているヤマハ、アフリカにて大きなマーケットシェアを獲得している通信会社 Airtel Africaに対し投資を行っているソフトバンクなどが、この投資形態を用いアフリカ大陸にてビジネス展開を行っています。

関連する過去の面白記事

  1. 「面白記事v.12(2020年2月29日)記事5」-Link

最後に

Google社やFacebook社といったシリコンバレー発巨大企業らがアフリカ大陸でのインターネットインフラ構築をリードしている中、今後政府側のテックリテラシー向上や官民連携が進めば、情報管理面でのマイナス要因を被ることなく、アフリカ諸国がその恩恵を受けることができます。また、人口の増加や都市化の進展と共に、インターネットアクセスも伸びれば、アフリカ大陸のビジネスマーケットとしての魅力も増すのではないでしょうか。上記でもご紹介しましたように、今回のトピックであったインターネットインフラ構築という分野のみならず、今後アフリカ大陸では様々な分野で日本企業の参入チャンスがあると考えられます。

今後も面白記事では、日本企業のみなさまがアフリカ進出を検討される際の手助けとなるような情報を発信してまいりますので、引き続き毎日の投稿、そして隔週のコラムにご期待ください。

関連記事:

  1. 「History of the Internet in Africa」Link
  2. 「Governing Big Tech’s Pursuit of the “Next Billion Users”」Link
  3. Developing Countries Seek Greater Control as Tech Giants Woo the “Next Billion Users”Link
  4. 「Digital Lives Meaningful Connections for the Next 3 Billion」Link

*本コラム、およびアフリカ進出に関するお問い合わせなどございましたら、こちらのフォームからお願いいたします。

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