Pick-Up! アフリカの運営メンバーです! ルワンダで留学・インターン・プロサッカーチームの練習生をやっていました。 X→Hiro_Pick_Up

こんにちは、Pick-Up! アフリカです!

アフリカ大陸では、既存の銀行インフラを跳び越えてスマートフォン決済が急速に普及する「リープフロッグ現象」が続いています。しかし、これまで多くの国で課題となっていたのが、通信事業者や銀行ごとにサービスが独立して互いに送金出来ないことによる市場の分断でした。

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こうした課題に立ち向かうべく、東アフリカのルワンダが一つの解決策を示しました。国内のあらゆる金融機関や電子決済サービスを国家決済基盤「eKash」ひとつにまとめ上げ、誰でもシームレスに送金し合える環境を実現したのです。

さらに金融業界を驚かせたのが、異なる金融機関をまたぐ送金手数料の一律大幅引き下げです。今回は、現地メディアの報道や最新の制度改革をもとに、ルワンダの決済革命の全貌と、この巨大システムを裏側で支える「WiredIn」の活躍を解説します。

送金手数料が最大約2円に!「eKash」がもたらした変化

ルワンダの中央銀行(BNR)および中央決済処理機関「RSwitch」主導のもと、国内の決済ネットワークが統一ブランド「eKash」へ完全移行しました。

現地主要メディア The New Times の報道「Rwanda goes fully interoperable with eKash」によれば、銀行口座とモバイルウォレットの垣根を取り払った相互運用システムが本格稼働を開始しています。

同紙の詳細報道「eKash harmonises Rwanda’s bank, mobile payments」および関係資料から見えてくる主なポイントは以下の2つです。

送金手数料の一律最大20フラン(約2円)

銀行口座から他行口座、あるいはモバイルウォレットへの跨ぎ送金において、送金額にかかわらず1件あたり最大20ルワンダ・フラン(約2円)という極めて低い手数料上限が設定されました。

国内最大手であるキガリ銀行(Bank of Kigali)の例では、従来最大約550円(5,000フラン)かかっていた送金手数料が大幅に短縮・一元化され、利用者のコスト負担が実質的に撤廃に近いレベルまで軽減されています。

取引上限額を最高1,000万ルワンダフラン(約110万円)へ引き上げ

小口の個人間送金だけでなくビジネス利用を見据え、1回あたりの送金上限額が引き上げられました。2026年6月までは、例えばBank of Africa Rwandaの銀行振込取引上限額は200万ルワンダフランでしたが、「eKash」の登場によりこれが1,000万ルワンダフランに!

個人間送金(P2P: Person-to-Person)のみならず、中小企業の仕入れや取引先への支払いがデジタル上で即座に完了する環境が整ったと言えます。

街中の買い物も1つのQRコードで完結:eKash P2Mの展開

個人間送金だけでなく、店舗での加盟店決済(P2M: Person-to-Merchant)のデジタル化も急速に進められています。

ルワンダで電子決済サービス事業を展開しているRSwitchが推進する「eKash P2M」の導入により、事業者が共通のeKash IDや統一QRコードを掲示していれば、消費者は自分がどの銀行やモバイルウォレットのアプリを使っていても直接支払いが可能になりました。

具体的に、ルワンダでは電子決済サービスとしてMTN Rwandaの「MoMo Pay」、Airtel Africaの「Aitel Money」、Bank of Kigaliの「BK Mobile App」などが乱立しています。

しかし、今回の改革で銀行、電子決済サービスを運用する通信会社、消費者を抱える店舗が一斉にekashの加盟店として参加したことで、全国的に電子決済サービスが統合される体制となりました。

ルワンダで高いシェアを持つ電子決済MoMoPayのコード。

ルワンダで高いシェアを持つ電子決済MoMoPayのコード。加盟店ごとに番号が与えられる。

また、システム運用においては性別ごとに分類されたデータ(Sex-disaggregated data)の収集・分析が行われており、金融アクセスで遅れを取りがちな女性起業家や小規模事業者へターゲットを絞った政策立案にも役立てられているそうです。

システム統合の現場を支えたルワンダIT企業「WiredIn」の活躍

国家規模のデジタル金融インフラの構築には、現場で異種システム同士を安全に接続する高度なエンジニアリング能力が不可欠です。

この複雑なシステム統合を現場で完遂したのが、「WiredIn(ワイヤードイン)」です。

WiredInのオフィス

WiredInはルワンダの首都キガリに拠点をおくIT企業です。
Pick-Up!アフリカの運営をしているレックスバート・コミュニケーションズ株式会社の関連会社でもあります。WiredInのホームページはこちら

WiredInのオフィス

WiredInは、eKshに用いられるオープンソースを運用するMojaloop Foundation主催の「Mojaloop Accelerator Program」の世界最初の卒業企業であり、eKashにおけるシステムインテグレーション・パートナーとしてプロジェクトの中心的役割を担いました。

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各商業銀行や通信事業者が運用する既存のコアバンキングシステムやモバイルマネーエンジンを、Mojaloopの共通スイッチ基盤へと寸断なく安全に接続・統合する作業は、高い専門性と実務対応力を要しました。しかし、WiredInの技術チームがこの接続作業を実行したことで、各金融機関は膨大な重複投資を行うことなくeKashネットワークへ参加できるようになりました。

さらに、WiredInは現在、南スーダンでもルワンダで行ったシステム移行と同様のプロジェクトを実施しています。

おわりに

ルワンダが達成した金融機関の完全相互運用性と極めて低い送金コストの実現は、アフリカのデジタル金融の歴史において大きな一歩となりました。

今後もアフリカ諸国でデジタル金融システムの統合は進んでいきます。さらに、国家を跨いだ金融システムの構築も進んでいくはずです。

今後の動向から目が離せません!

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