Pick-Up!アフリカのメンバーです。初めての海外旅行はルワンダでした。アフリカが大好きです!

こんにちはPick-Up!アフリカです!☺️

みなさんは『プラスチックの海』という映画を知っていますか?

年間800万トンに及ぶ海洋プラスチック問題が生態系や人体に与える深刻な影響を、著名な有識者たちと共に浮き彫りにするドキュメンタリー映画です。

海洋プラスチック問題とは💡
プラスチック汚染は世界中で少なくとも267種もの海洋生物に深刻な影響を及ぼしています。その中にはウミガメ種の86%、海鳥種の44%、海洋哺乳類種の43%が含まれており、誤飲による飢餓や窒息、感染症、絡まりによる死亡などが発生しています。例えば2010年、カリフォルニア沿岸で見つかったコククジラの胃からは、ビニール袋やゴルフボール、タオルなど大量のプラスチックごみが見つかりました。また、海面で餌を捕る海鳥も被害を受けやすく、ある調査では雛の約98%からプラスチックが検出されています。さらに深刻なのは、プラスチックが汚染物質を吸着・運搬し、外来生物の媒介にもなっている点です。汚染物質を蓄積したプラスチックを摂取した海洋生物は、そのまま汚染物質を体内に吸収してしまいます。この汚染は、巡り巡って私たち人間の食物連鎖にも影響を及ぼしており、調査では捕獲された魚の35%からプラスチック片が検出されるなど、海洋汚染は私たちの食の安全をも脅かす重大な課題となっています。(参考:cleanwater

私はこの映画の中で、

「プラスチックを捨てる場所はすでにもう地球上には無く、現在海にあるプラスチックをこれ以上無くすことは不可能である。」

(※この言葉は映画の中での強い警告として語られたものであり、物理的に地球の表面積が足りないという意味ではありません。しかし、現状のような大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としたライフスタイルでは、環境負荷を抑えて適切に処理できる場所がすでに限界に達しているという事実を突きつけています。また「海にあるプラスチックを無くすのが不可能」という点も、微細な破片状のプラスチックごみで構成されている海洋プラスチックごみの圧倒的な量が目に見えないほど膨大であるために、事後の回収がいかに困難であるかを示唆しており、だからこそ「そもそも海に流出させない(発生源対策)」という予防が不可欠であるというメッセージが込められています。)

という言葉がとても印象に残りました。

プラスチック問題の実態と限界が分かる、かなり衝撃的な内容となっているので、時間がある方はぜひ見ていただきたいです。

世界のプラスチック生産量は過去70年で激増して生活に不可欠な素材となりました。現在の生産量は年間4億5000万トンを超えています。 しかし、不適切な処理による環境汚染は深刻で、毎年少なくとも800万トン(参考:WWFジャパン)のプラスチックごみが海に流出し、生態系を大きく脅かしています。

また、回収されたプラスチックごみの79%が埋立、あるいは 海洋等へ投棄されていて、リサイクルされているプラスチックはわずか9%だそうです。

現状のペースでは、2050年までに120億トン以上のプラスチックが埋立・自然投棄されると言われています。(参考:環境省

そんな中、アフリカでは

54カ国のうち、およそ34カ国がプラスチックを使用・販売・製造・規制の対象としています。

⬇︎対象国は以下の赤く塗られた国となります

(参考: jetro, interwaste, greenpeace, UN environment,アンゴラ,米国商務省国際貿易局

なぜここまで多くのアフリカの国が規制に?なぜアフリカが先導を切るのか、アフリカ特有の環境問題とは

世界でも警鐘が鳴らされているプラスチック問題。日本でも2020年にレジ袋が有料になりましたね。(参考:経済産業省

しかし実は2002年に、バングラデシュが世界で初めて使い捨てプラスチック袋の製造・販売・使用を禁止する規制を導入しました。その後ルワンダが続いて禁止しました。(参考:BBC)また2021年、ペルーとルワンダの両政府が、プラスチック汚染に関する国際的に法的拘束力のある決議案を国連に提出し、実際に採択されています。(参考:ルワンダ環境省

アフリカ諸国が世界に先駆けて厳格なプラスチック規制や課題解決に乗り出している背景には、アフリカ特有の深刻な事情があります。なぜ彼らはこれほどまでに急ピッチで対策を進めているのか、その理由を3つに分けて解説します。

1. 急激な経済成長に伴う「ごみ問題」とインフラの脆弱性 

現在、アフリカは著しい経済成長と都市部への急激な人口集中を経験しており、短期間で「大量生産・大量消費・大量廃棄」の時代を迎えようとしています。しかし、この劇的な変化のスピードに、廃棄物を適切に処理するためのインフラ、資金、教育といった基盤構築が全く追いついておらず深刻なギャップが生じているのが実情です。 その実態を象徴する出来事として、南アフリカで大規模な洪水が発生した際、ダーバン港に「水よりもプラスチックごみの方が多い」という衝撃的な光景が広がる映像が世界に流れました。(参考)この映像は、アフリカにおいてプラスチックが適切に処理されていない現状を如実に物語っています。 実際、国連環境計画(UNEP)などの報告でも、アフリカではごみの約9割が適切に廃棄されておらず、96%がリサイクルされていないと指摘されているそうです。(参考)このまま放置すれば、土壌や大気、海洋の汚染から生態系の破壊に至るまで、地球規模の深刻な環境危機を引き起こす可能性があるため、国を挙げた早急な対応が迫られているのです。

2. プラスチック依存が脅かす「水の安全保障」 

2つ目の理由は、人々の命に関わる「水の安全保障」問題です。例えばセネガルをはじめとする多くのアフリカ諸国では、手軽な飲料水としてビニール製の水用パウチ(サシェ水)が広く流通しています。 このサシェ水市場が無秩序に拡大し放置されれば、深刻な環境汚染を引き起こすだけではありません。サシェ水が安価で手軽な「商品」として広く流通することで、水の需要はサシェ水に集中してしまいます。その結果、本来、公的な責務として整備されるべき給水インフラへの投資や関心が後回しにされてしまうのです。水が「購入するもの」という認識が定着してしまえば、結果として、公共財であるはずの水への「普遍的なアクセス」という目標が遠のき、市民が持続的かつ平等に水を得る権利そのものが脅かされることになります。こうした危機感から、セネガルの首都ダカールなどでは代替策として自動給水器の普及が徐々に進められるなど、水問題とプラスチック問題を紐付けて解決しようとする動きが加速しています。(参考

⬆︎水用パウチ(イラストAC)

3. 日常生活に潜む「直接的な健康被害」への強い懸念 

3つ目の理由は、現地の生活習慣に直結した健康への強い危機感です。アフリカでは露店でご飯やおかずの量り売りを買う文化が根付いていますが、その際、熱いご飯やソースを直接ポリ袋に入れることが頻繁にあります。 この時、熱によってポリ袋が溶け出し、食べ物に有害物質が混入することが懸念されています。将来的な環境保護だけでなく、今を生きる人々の健康に直結する可能性も懸念されているのです。

【リアルな問題】プラスチックごみが脅かす、人命と動物たちの生命

アフリカ諸国が脱プラスチックを急ぐ背景には、単に「将来的な環境破壊への懸念」だけでなく、現在進行形で人命や家畜の命が奪われているという切実な現実があります。机上の論理では測れない、現地で実際に発生している2つの深刻な問題を紹介します。

1、家畜の死亡原因の7割が「ビニール袋の誤飲」に(モーリタニア)

西アフリカのモーリタニア回教共和国の首都では、信じられない事態が起きています。現地で人々の生活や経済を支える大切な存在である牛や羊といった家畜ですが、その死亡原因の約70%が「街中に散乱したビニール袋の誤飲」によるものと推定されているのです。 インフラが脆弱でごみ収集が機能していないため、動物たちが草と一緒にプラスチックを食べてしまい、胃や腸に詰まって命を落としています。これは畜産業に従事する人々にとって、経済にも深刻な影響を及ぼしています。(参考:BBC

2、ごみ詰まりによる「人為的洪水」で毎年数十人が犠牲に(コンゴ民主共和国) 

さらに深刻なのは、人間への直接的な命の危険です。コンゴ民主共和国では、適切に処理されずポイ捨てされた大量のプラスチックごみが、河川や都市の下水道を文字通り「完全閉塞」させています。 その結果、雨が降るたびに排水機能が破綻し、急激な洪水が発生。このプラスチックごみ由来の洪水によって、毎年数十人もの住民が命を落とすという痛ましい出来事が起こっています。ポイ捨てされたプラスチックは、単なる景観の悪化にとどまらず、人命にも関わる深刻な問題を引き起こしています。(参考

⭐️ポイント⭐️ーゴミ問題に関してー
環境問題となると、「生産時のCO2排出量」に注目が集まりやすいです。製品が完成するまでのCO2排出量だけを比較すれば、例えばポリ袋は圧倒的に「効率的」に見えます。ポリ袋: 製造時の排出量は1.6kg(車で6km走行分)。紙袋: 製造時の排出量は5.5kg。布バッグ: 製造時の排出量は約272kg。これだけを見ると、「布バッグを使うのは逆に環境に悪いのではないか?」という疑問がわくかもしれません。利用回数で割った場合、紙袋なら3回、布バッグなら131回以上繰り返し使うことで初めて環境負荷がポリ袋を下回るという計算も存在します。
しかし、私たちはここで「何が真の危機なのか」を履き違えてはいけません。 私たちが直面しているのは、生産時のCO2問題だけではなく、それ以上に深刻な「使い終わった後のゴミ処理問題」なのです。
ポリ袋は、耐熱性と不溶性の特徴を持ち、自然界では非常に分解されにくく、長期間環境中に残ります。一方で、紙袋は約90日で、布バッグの大部分も数ヶ月で自然に還ります。
インフラが整っていない地域において、分解されにくいプラスチックは「環境を悪化させるゴミ」として慢性的な課題になっています。特にアフリカという地域においてその問題は先ほどの「【リアルな問題】プラスチックごみが脅かす、人命と動物たちの生命」で取り上げたような、「目に見える実際の被害」を引き起こしているのです。
(参考:Which bag should you use?

実際の法案はどんなもの?

①バングラデシュの法律を紹介

世界で初めてプラスチック規制に踏み切ったバングラデシュの法案や取り組みについて見ていきましょう。ポイントを4つに分けて考えてみました。(参考:bangladeshs-plastic

  1. 世界初の使用禁止法: 2002年に世界で初めて、使い捨てプラスチックやポリエチレン(ポリ袋)の製造・使用を規制する法律を導入しました。
  2. 段階的な規制強化: 食料品購入用の使い捨てポリ袋の禁止をはじめ、官公庁での使い捨てペットボトル使用中止や、17種類のプラスチック製品を使い捨てとして指定・規制しています。
  3. 厳格な罰則規定: 環境・森林・気候変動省(MoEFCC)が規制権限を持ち、違反者に対しては罰金や禁錮刑といった法的措置を科すことができます。
  4. 代替素材への移行推奨と義務化: 使い捨てプラスチック製品の代わりに、ガラス製品やその他の再利用可能な素材を使用するよう政府が積極的に推奨しています。また、一部の品目において生分解性の※ジュート袋の使用を義務付けている法律もあります。しかし、監視体制の不備や需要に見合うジュート袋の供給不足のため、この法律は事実上機能していないという現状もあります。

②ルワンダの法律を紹介

今度は、ルワンダの法案のポイントを4つに分けて考えてみました。

  1. 規制対象の拡大: 2019年の法改正により、レジ袋だけでなく、ストロー、食品容器、カトラリー、ボトルなどの使い捨てプラスチック製品の製造・輸入・使用・販売が禁止されました。
  2. 例外規定:※ 家庭用コンポスト可能なプラスチック製品や織布ポリプロピレン製品などは規制の対象外とされています。
  3. 生産者の責任: メーカーや小売業者には、使用済みプラスチック製品の回収・分別およびリサイクル工場への引渡し体制の構築が義務付けられました。また、輸入品に対する環境税も規定されています。
  4. 政府の姿勢: 政府は製造業者からの猶予期間( 小売業者3ヶ月、国内の製造業者2年間)延長の要請を拒否するなど、禁止措置の確実な実施に対して強い意志を示しました。
※ジュートとは💡「ジュート」とは、麻の一種の繊維です。天然素材のため、焼却しても有害物質が発生せず、土に埋めればバクテリアによって分解され自然に還ります。強度が高く、耐水性、保湿性も備えています。ジュートが光合成で吸収するCO2の量は、一般的な樹木の約5〜6倍といわれていて、農薬や化学肥料が不要です。100日ほどで収穫できるほど生育が速く、短期間での安定供給が可能です。熱帯気候で育つ植物なため、バングラデシュやインドで栽培が盛んです。しかし熱帯地域では、頻繁な洪水、気温の急上昇、降雨パターンの変化など、気候変動の悪影響を受けています。これらの課題は、バングラデシュなどで持続可能なジュートの安定供給を妨げることとなりました。
(参考:hansokuhinsciencedirect
家庭用コンポスト可能とは💡「家庭用コンポスト可能」とは、その製品が家庭環境下で「堆肥(コンポスト)」になれる素材であることを意味します。コンポストとは、生ごみや落ち葉などを微生物の働きを利用して発酵・分解させ、堆肥に変える方法です。この「家庭用コンポスト可能」な製品は、同様のプロセスを経て微生物によって分解され、最終的に土壌へと還ることができるため、通常のプラスチック製品のように自然界に残り続けることがなく、環境への負荷が低い代替品として認められています。(参考:compost

実際にルワンダに行ってみて

私がルワンダに渡航した際にはどこのホテルにもペットボトルがありましたが、現地に住んでいる友達は普段はペットボトルを買わず、お店で水を自分のボトルに入れていると言っていました。確かに、スーパーにはお水をくむ給水地のような場所がありました。料金は有料で、500mlペットボトル(約1,000フラン)に対して20Lタンク給水(約20,000フラン)では1Lあたりの単価が半分の1,000フランとなり、マイボトルやタンクでの給水の方が安く抑えられます!しかしルワンダに住んでいた友達はマイボトルが漏れやすいことなどから結局ペットボトルを買ってそれを水筒代わりに使ってたとも言っていました、、。ルワンダの国立公園ではプラスチックのペットボトルが持ち込み禁止でした。またお店でプラスチック袋をもらうという選択肢がなかったという記憶もあります。

終わりに

今回大きなテーマとなったゴミの処理問題は環境問題において重要なポイントだと感じます。本当に適切に廃棄できる場所があるのか、それを使用した後、どう処理できるのか。人に与える「安全」はもちろん、「環境」の面からも適切に判断して生産、使用、時には規制する必要があると感じました。アフリカは実際にゴミに関する課題があるからこそ急いで対策をしているのかもしれません。しかし世界全体で問題に気づいてから(実際に被害を受けてから)対処するのでは遅いと感じます。被害を目の当たりにする前にいかにその実態を理解し、対処するか、この力が問われていると感じました。

参考

https://unctad.org/meeting/building-west-african-plastics-governance-architecture

https://blog.interwaste.co.za/know-waste/africa-leaders-in-plastic-bag-prohibition

https://www.unep.org/news-and-stories/story/kenya-announces-breakthrough-ban-plastic-bags#:~:text=In%20Africa%2C%20Rwanda%20and%20Morocco,measures%20in%20the%20coming%20weeks.

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0101/820e6f02ed651777.html

https://unctad.org/system/files/non-official-document/ditc-ted-12042023-Single_Use_Plastics_Report_2023-3.pdf

https://www.aljazeera.com/video/2018/10/2/the-deadly-cost-of-dr-congos-pollution

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0265167

https://www.unep.org/news-and-stories/story/rarely-told-story-widely-used-water-sachets

https://www.oecd.org/en/publications/global-plastics-outlook_aa1edf33-en.html

https://wedocs.unep.org/rest/api/core/bitstreams/79b73273-3fda-49d1-b6d9-8ee72e86fa78/content

https://www.mitax.co.jp/radio_2017/plastic-bag-law/radio20171006/

https://ourworldindata.org/plastic-pollution

https://unctad.org/system/files/non-official-document/ditc-ted-12042023-Single_Use_Plastics_Report_2023-3.pdf

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