アフリカ:プライマリヘルスケアを提供するコミュニティヘルスワーカー-ルワンダのアプローチ

Community Health Workers as the Backbone of Primary Healthcare Delivery: Rwanda’s Approach

記事リンク:https://nigeriahealthwatch.com/community-health-workers-as-the-backbone-of-primary-healthcare-delivery-rwandas-approach/

内容と背景:

本日はルワンダのコミュニティヘルスワーカー(CHW)の活動について紹介された記事をピックアップしました。

アフリカのコミュニティヘルスワーカーとは

アフリカ大陸ではサハラ以南の地域を中心として、医療従事者不足が深刻化しています。

一方で現状の医師・看護師の養成では、深刻な感染症や低労働力・人口増加などと言った課題に対応することが難しいと言われています。

そこで、アフリカ大陸の多くの国々では、それぞれのコミュニティに、コミュニティヘルスワーカー(以下、CHW)を配備しています。コミュニティ・ヘルス・ワーカー (community health workers:CHW)はプライマリ・ヘルス・ケアを医療者に代わって提供するために選任されるコミュニティのメンバーのことを示します(関連記事2)。

彼らは限られた量のトレーニングを受け、多くの人に基本的で安全で効率的なプライマリケア・サービスを提供することを目標にしています。そのプライマリケアを医療従事者からCHWに権限委譲することで、合理的な負担で大量の人々の健康増進が可能になってきているということです。

ルワンダのコミュニティヘルスワーカー

ルワンダCHWプログラムは、妊婦の教育・健康的な行動の促進・および医療サービスへのフォローアップと連携を通じて、母子の不可欠な臨床サービスの普及を促進することを目的として、1995年に設立されました。

1村レベルで活動している推定45,000人のCHW(50−150軒毎にヘルスワーカーが配備されている)が、医療サービス提供の第一線に従事しています。各村には下記の通り3つのCHWがあります。また、

  1. 幼児期の病気の基本的ケア(マラリア・下痢・栄養失調などの小児疾患の特定と治療など)
  2. 統合コミュニティケース管理(地域社会メンバーへの避妊薬の提供など)
  3. 母体の健康管理(妊産婦・授乳中の母親・出産前・出産後・出産時の援助などを対象とする)

上記の活動は、1.2.はbinômesと呼ばれる男女のCHWペアによって実施され、3.は女性のCHWが担当となり活動しています。

ルワンダのグッドプラクティス

ルワンダには、CHWが所属する地域医療センター、地域医療センターからの紹介を受ける地区病院、三次病院の3層の医療システムがあります。まず、何かしらの医療的ケアを求める人はCHWに最初に相談します。その後、CHWの判断により、必要に応じて地域医療センターにかかります。

地域医療センターで対応できない場合は、地区病院、必要に応じて三次病院に紹介されるというシステムです。

このプロセスにより、地区および三次病院は専門的なケアを必要とする症例に対応することができるようになっています。

CHWの村ごとの配置の徹底や、医療施設と効果的に結び付ける方法などが功をなし、実際にルワンダの平均寿命はアフリカ大陸内でのトップの数値を示すようになりました。

1995年には31歳であったルワンダの平均寿命ですが、2018年には69歳にまで伸び、また、2000年には出生10万人あたり1,160人であった妊産婦死亡率は、2017年には10万人あたり248人と大幅に減少しました。

このように良い結果となったのは、コミュニティ単位でのCHWの活動によるものであると示されています。

最後にこの記事では、このCHWの仕組みを支える最も重要な要素に、ルワンダの「国民健康保険制度」があるということを示していました。ルワンダでは国民の92%が国の健康保険制度の対象となっており、その保険システムは世界で最も成功しているものの1つとして知られています。

その健康保険の経費は、3分の2は保険加入者から、3分の1は国の予算から拠出されており、1人当たりの負担額は、最も貧しい市民は無料の健康保険を受ける権利があり、最も裕福な人は毎年成人1人あたり800ドルの保険料を支払うという仕組みになっています。

つまりこの政策下では、社会経済的地位・お金の有無に関係なく、誰もが必要なケアを受けることができるということです。このベースとなる政策のおかげで、上述したCHWの医療紹介システムを通して個人を医療施設に紹介した際に、医療施設から拒否を受けるということが無くなったということが評価されています。

以上のように、初めに社会保障の基礎となる健康保険の整備を徹底したことで、その後に続くプライマリヘルスケアの提供を橋渡しすることができ、円滑にCHWが活動できるようになったということが理解できます。

関連・参考記事:

  1. Rwanda’s Community Health Worker Program – CHW Central – Link
  2. コミュニティ・ヘルス・ワーカー 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』Link
  3. ルワンダ、ヘルスケア部門からのニュース(健康保険の適用範囲拡大に尽力、他1件)- Link


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