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西アフリカで通貨統一化への準備はできている?

Is West Africa ready for a single currency?

記事リンク:

Is West Africa ready for a single currency? (brookings.edu)

本日は、以前から度々お伝えしている西アフリカの共通通貨に関する話題をご紹介いたします。

内容と背景:

2000年代前半、15の国から成る西アフリカ諸国経済共同体ECOWAS)は、ECOという地域共通通貨を新たに導入する計画を発表しました。当初はその運用開始を2020年としていましたが、2020年の8月に最大5年間延期することが発表されていました。その理由の1つとして、「国家予算の赤字をGDPの3%以内に抑える」という通貨導入基準を達成することが困難であることがあげられていました。そして、再びその運用開始が先送りになるという見込みが多くの政策立案者の間でなされています。今回は、各国のマクロ経済の収束の難しさやCOVID-19の流行による混乱などの影響を受けたことによります。現段階では、2027年が新たな遂行目標年となっています。

再び運用開始時期が後倒しすることを受け、ECOWAS委員会の代表であるJean Claude Kassi Brou氏は、メンバー国に対して、インフレ率が5%以内であること、債務残高とGDPの比率が70%以下であることなどの11の通貨導入基準を満たすために努力するよう求めています。

しかし、COVID-19による壊滅的な影響、また、2021年6月時点で6カ国しか協定を批准していないことから、ECOWASが2027年という新たな期限に間に合うかどうかも疑わしいという声が多く聞かれます。

さらに、西アフリカの多様な貨幣制度もECOの導入を難しくしています。例えば、西アフリカ最大の経済大国であるナイジェリアは、自国通貨の管理フロート制を採用しています。また、コートジボワールを含む8カ国は、CFAを使用しており、ユーロとのペッグ制を取り入れています。これが統一通貨の課題にもなっています。

このような様々な困難の下でその運用が目指されているECOですが、今回ご紹介する記事では、“Regional Integration in West Africa: Is There a Role for a Single Currency?” という書物を執筆したEswar Prasad氏Vera Songwe氏の指摘するいくつかの懸念点を参考に、今後のECOの見通しについて説明されています。

紹介されていた懸念点のひとつには、西アフリカ地域が最適通貨圏OCA: Optimal Currency Area)に対応していないということがあげられています。OCAとは、統一通貨が最大級の経済的利益を生み出しうる地政学的な地域のことです。OCAに対応しているか否かは主に①地域間における労働者の高い流動性、②資本移動性と価格や賃金の柔軟性、③地域内の国同士の経済的リスクシェアリングや財政システム、④地域内の国々が類似したビジネスサイクルをもっているか、の4点から判断されます。これらの指標から判断すると、西アフリカ地域はOCAを満たしていない、と評価されていました。

しかし、現在ではOCAをクリアしているEUも初めは理想的な条件を満たしておらず、また、ギリシャ危機にみられるように、OCAを満たし確立した制度をもっている現在でも、地域内の政治や経済や金融政策のバランスをとるのは難しいものです。この点を踏まえ、両氏は、経済構造の違いやマクロ経済の収束がECOWASの統一通貨プロジェクトにどのような影響を与えるのか、また、特に地域金融市場の発展や統一化された法律の観点から、強力な制度的枠組みが必要であると強調しています。

また、EUにおけるドイツのあり方について言及したうえで、今後ECOWASの国々が気を付けるべきことが示されています。ドイツは輸出に特に力を入れていた国であり、ユーロ完成後は統一通貨による利益を受けたが、その一方で、それまでの保守的金融政策を犠牲にし、ユーロ圏のより貧しい国に補助金を拠出しなければならなかったという背景を持っています。このことは、自国の利益のみを狙ってはいけず、地域内の国々のためにはたらく必要があるということを表しているように思われます。また、他のEUの教訓から、強固な制度と強力な政治的コミットメントがあったとしても統一通貨を維持することは困難であり、ましてやそれらが欠如しているECOWASにはより大きな壁が立ちはだかると主張されています。

ECO導入のメリットとして、企業や観光客が通貨交換の負担から解放され、資本市場の緊密な統合が可能になり、域内貿易が促進されることで、地域全体がより深く統合され、経済面以外にも豊かになることが期待されています。しかし、開発レベルや国家経済の規模の差から、それらの恩恵が地域全体に均等に行き渡る確証はないというのが現状です。さらに依然としてCOVID-19の流行が拡大するなか、ECOWASがどのようにECO導入を進めていくのか、これからも進捗をお伝えしていこうと思います。

関連・参考記事:

  1. 西アフリカ共通通貨ECOの導入:最大5年間遅延する見通し【Pick-Up! アフリカ Vol. 8:2020年10月13日配信】 – Link
  2. 面白記事 v.11 – Link
  3. Regional integration in West Africa: Is there a role for a single currency? – Link
  4. Optimal Currency Area (OCA) – Link
  5. Eco currency implementation, an ECOWAS priority – Link

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