日本ルワンダビジネスコミュニティ(JRBC)運営メンバーの一人です。Pick-Up!アフリカでは主に、教育・社会福祉・ヘルスケアなどなどを担当させていただきます!

こんばんは。本日は南アフリカの最低賃金法が若者の雇用機会にどのような影響を与えるのかということについて書かれた記事をご紹介します。

EUでは今年10月末に十分な水準の最低賃金を目指す法案が発表されたばかりです。EU全体の国々に対して最低賃金設定の枠組みを導入するこの法案策定に至っては、大きな議論を呼んでいました。

南アフリカではEUとの争点は異なるものの、最低賃金法を元に賃金を保障することを法律で定め、規制することによって、多くの若者が逆に不利益を被ることになりかねないと懸念されています。

その理由は一体何なのでしょうか。

ぜひ本文をお読みください!

記事:最低賃金法は若者の失業を急増させる

Minimum wage laws lead to surging youth unemployment

記事リンク:https://www.news24.com/citypress/voices/minimum-wage-laws-lead-to-surging-youth-unemployment-20201116

内容と背景:

南アフリカでは若者の失業率が顕著であり、2020年の第一四半期においては、15-29歳の失業率は59%をマークしたと報じられています。

そこで今回の記事では、南アフリカで施行されている最低賃金法が、若者に与える影響について懸念を示した記事をご紹介します。

南アフリカの最低賃金法は約3年間の議論を経て、2019年1月1日から施行されました。最低賃金は、時給 20 ランド(日本円=約136円)とされ、(農業等職種によって多少差異がある)当時報道各社は、最低賃金法が施行されれば、南アの就業者約 640 万人の賃金値上げにつながるとし、ラマポーザ大統領のマイルストーンであると報道されていたようです。他方で、当時から時給 20 ランドは低賃金には変わりなく、貧困をさらに助長させるだけとの懸念の声もありました。(在南ア日本国大使館2 018年11月月報参照

今回の記事では後者の意見と同様に、最低賃金法は結果のみに基づく政策であるとした上で、経済的強制が平等につながり社会をより良くするという誤った前提に基づいた政策だと述べています。その上で、実際には最低賃金は労働市場の競争を抑制し、大企業への利益のみをもたらし、若い世代の経済参加を妨げてしまうのではないかと懸念しています。

その理由として、南アフリカの若者の現在の雇用のあり方が大きく関わってきているようです。高校や大学を卒業したばかりの若者は、雇用主が求めるスキルを充分に満たしていない場合が多いと言われています。そこでインターンや一般よりも安い賃金で雇われ、訓練を積み、実地的なスキルを身に付けることで若者は自身のキャリア形成を行うことが一般化されていました。

雇用主はその若者のスキルが充分でなくとも、低い価格で雇うことができるという面でWin-Winの関係が出来上がっていました。

しかし、この最低賃金法によって企業に規制を課すことによって、スキルが充分に備わった若者を雇用することを余儀なくさせるため、結果として従来雇われることのできていた人々の雇用の機会が激減してしまうということです。

特に上記のように低い価格で若者を雇うことで自社の経済を回してきた中小企業にとっては、この最低賃金が設定されたことで、その若者を雇うことができなくなってしまいました。同時に若者は、最低賃金に見合った能力を持った場合には雇われるものの、そうでない場合は就職機会が制限されてしまうため、ギャングなど、ブラックマーケットで職の機会を求めることを助長してしまっていると記事では述べられています。

EUでの最低賃金設定の枠組みを導入する上での争点は、デンマークなどの団体交渉による賃金決定方式を採用していた国々が、欧州連合共通最低賃金制度の提案によって、企業側が組合非加入の労働者の賃金を団体交渉の対象から外すことを要求し、これらの労働者の賃金の切り下げが起こりうるのではないかということが懸念されていたということです。

したがって今回の南アフリカの議論とは争点が少し異なっています。

また昨今、最低賃金の引上げに関する話題として、多くの先進国では、最低賃金と生産性には強い相関があることが注目されています。またその上で、最低賃金の引き上げによって、必ず失業者が増えるという単純な事実は存在しないとし、その引き上げ方次第で効果が変わるとも言われています。

関連記事4.に載せている東洋経済ONLINEの記事によると、賃金引き上げに失敗をした代表的な例である韓国の事例では、2018年に最低賃金を一気に16.4%も引き上げるという政策を実施したことで、経営者がパニックに陥り、経済に悪影響が出たと解釈されているようです。

日本では2018年に最低賃金が3%引き上げられましたが、不十分であるくらいで経済的に大きな影響はなかったようです。

この記事では特に言及されていませんが、南アフリカの政策を考える上で人種別の格差も複雑に関係があるように感じました。国際通貨研究所のレポートによると、人口の 80%を占める黒人の失業率が国全体の失業率を上回る一方、白人やアジア人の失業率は大幅に下回っているということが報告されています。

最低賃金においても、全国民に対して同じように規制をかけるのは得策ではないのかもしれないと感じました。この記事では、若者の失業率が急増することで福祉助成金も併せて増加しているということが言及されていましたが、現在では法律によって守りきれないところを、社会保障によって補っているのだと思います。その社会保障に適用される人数が、賄いきれないほど増えていってしまうということは、そもそもの法律を見直す必要があるということを意味しているのかもしれません。

今後どのように南アフリカの賃金法や社会保障が変化していくのか、引き続き見ていきたいと思います。

関連・参考記事:

  1. 南アフリカにおける教育格差是正への取り組み - Link
  2. 南アフリカ:学生起業家のデジタルライブラリが子どもたちの識字教育を助ける! 【面白記事 Vol.146: 2020年9月28日配信】- Link
  3. 欧州委、十分な水準の最低賃金を目指す法案発表(EU)JETRO – Link
  4. 最低賃金の引き上げが「世界の常識」な理由 「韓国の失敗、イギリスの成功」から学ぶこと – Link


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