みなさんこんばんは。毎週木曜日はアフリカからヘルスケア関連のニュースを選んでご紹介しています。

本日は、メディアでも大々的に取り上げられている、アフリカのポリオ根絶宣言に関するニュースと、コロナ渦のルワンダで行われるHIVテストキット配布に関する新たな取り組みについてご紹介している記事の2本です。

本日も最後までお読みいただければ幸いです!


記事1:アフリカのポリオ撲滅を祝福、しかしナイジェリアの戦いは終わらない

As Africa Celebrates Polio-Free Status, Nigeria Says Battle Not Over 

記事リンク:

https://www.voanews.com/africa/africa-celebrates-polio-free-status-nigeria-says-battle-not-over

内容と背景:

ついに、アフリカからポリオ(野生株)の根絶宣言が出されました。

アフリカ大陸で最後のポリオ確認国であったナイジェリアですが、直近3年間でポリオの発生が確認されなかったため、8月25日にポリオ・フリーと認定されました。これで世界中でポリオが残るのはアフガニスタンとパキスタンのみとなりました。

さて、本日はこのポリオフリーに関して、アフリカ最後の確認国であった、ナイジェリアのポリオ生存者協会からの視点で書かれた記事をご紹介します。

ナイジェリアがアフリカ大陸最後のポリオ常在国として、本格的なポリオ撲滅運動であるKick Polio Out of Africa Campaignを開始したのは1996年のことです。当時、アフリカ大陸では、毎年推定75000人の子ども達がポリオウイルスに感染していたと報告されています。

20年間にも及ぶその運動には、様々な国の開発援助機関が関わり、数10億もの経口ポリオワクチンが供給され、推定180万人をポリオウイルスの感染から回避させました。

この記事によると、ポリオウイルス撲滅の運動の最中、ボコハラム過激派を含む反乱などによる情勢の悪化に伴い、子ども達へのワクチンが届かなかった時期もあり、その運動が停滞してしまうような困難な時期もあったということが書かれていました。

また、この記事のなかで、National Primary Health Care Development Agencyの幹部は、パキスタンとアフガニスタンの2つの国がポリオウイルスを保有し続ける限り、野生のポリオウイルスがアフリカのどの国にも、ナイジェリアにも、それがまた侵入してくる可能性は常にある。という懸念を示しています。

ナイジェリアの障害者権利団体は、国内の障害者の40%がポリオの生存者であり、そのほとんどが貧困の中で生活していると推定しています。 ポリオ生存者協会のメンバー達は、自分たちの経験を語ることで、人々の意識向上と予防ワクチン接種の推進を行ってきました。また、これからはパラスポーツを通して、他のポリオ生存者に希望を与え続けたいと語っていました。

ポリオウイルスはその国で一度完全に根絶できたとしても、他の国からまた運ばれてきてしまう可能性があるそうです。引き続きすべての子どもにワクチンが行き届くように、また情勢の悪化などにより、そういった健康を維持する活動に支障が出ることがないように願っています。

※ポリオウイルスには野生株と呼ばれるウイルス性の感染症と、もう一つワクチン由来のポリオウイルスがあります。今回の記事の中で言及しているものはこの野生株のポリオウイルスです。もう一つのワクチン由来のポリオウイルスの流行は、稀ではありますが、経口ポリオワクチンの遺伝子から変異したポリオウイルスの遺伝子株で時に報告されます。 これらは、予防接種が不十分ないくつかの集団では発生することがあります。 永久にポリオを終結させるためには、野生型とワクチン由来、両方のポリオを撲滅する必要があります。Link

関連記事:

  1. ポリオ、アフリカで根絶宣言 残るは南アジアの2国 – Link
  2. Africa Declares Wild Polio Is Wiped Out — Yet It Persists In Vaccine-Derived Cases –Link


記事2:ルワンダ、Covid-19の制限を回避するための新しいHIVテスト戦略を導入

AIDS: Rwanda Introduces New Testing Strategy To Bypass Covid-19 Limitations

記事リンク:https://www.ktpress.rw/2020/08/aids-rwanda-introduces-new-testing-strategy-to-bypass-covid-19-limitations/

内容と背景:

お次はルワンダから、代表的な感染症として知られるエイズへの取り組みについて最新の記事をご紹介します。

ルワンダは、COVID-19のさらなる拡大を防ぐための取り組みの一環として、HIV / AIDS検査と治療へのアクセスを容易にするための新しい戦略を採用することを報告しました。

これは、ルワンダバイオメディカルセンターとAIDSヘルスケア財団(AHF)が実施する新しい戦略で、キガリ市と第二の都市など高リスク地域の市民に対して、無料の個人用HIV / AIDS治療キットを提供するということです。

COVID-19の拡大を防ぐための外出制限などにより、それ以前の健康維持活動が停滞しているというような情報をたくさん耳にしていました。今回の記事によると、3月以降提供されていた自発的カウンセリングおよび検査(VCT)サービスへのアクセスが減少していることを受け、このような取り組みを始めることにしたようです。

テストキット(OralQuick HIVセルフテスト)の提供は、今月から、既存のコンドームキオスクを介して配布が開始されるとのことです。これにより、コロナウイルスの制限により通常の自発的なカウンセリングおよびテストサービスを受けられないより多くの人々にアプローチできるようになります。

ルワンダでは2016年から、24時間体制のコンドーム無料配布キオスクの運営を行っており、現在首都キガリには8つのキオスクがあるそうです。

今回はその既存のシステムを利用することで、最小限のコストでHIVセルフテストを配布することができていると感じました。市民の手の届きやすい場所に、気軽にアクセスしやすい窓口として運営されているこのキオスクの存在に改めて価値を感じます。

関連記事:
AHF Rwanda Launches “24/7 Condom Distribution Kiosks Initiative” – Link


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