こんにちは!Pick-Up! アフリカです。本日は、最近ニュースでもよく取り上げられるようになった、ロシアとアフリカの国々との関係について解説します。

今年の夏だけでもナイジェリアとガボンでクーデターが起こりましたが、いくつかの国では街中でロシアの旗を掲げ、親ロシアを掲げる人々がしばしば報道されます。また、2022年から続くロシア・ウクライナ戦争の影響を受け、今までロシアとウクライナの穀物供給に依存してきたアフリカが打撃を受けているようです。

果たしてアフリカ大陸でロシアはどのくらいの影響力を持っているのでしょうか?海外メディアが発信している色々な記事を読んでみると、「ロシアの影響力は衰退しつつある」と主張するメディアもあれば、ロシアの影響力の大きさを強調し、西側諸国のより高いコミットメントの必要性を示唆するメディアもあります。

そこで今回は、ロシアとアフリカの関係に関して、過去から現在にわたって、そして経済・軍事など様々な視点から掘り下げつつ、まとめてみました。ぜひご覧ください。

ロシア・アフリカの関係の歴史

参考記事によると、ロシア(旧ソ連)とアフリカの関係は1950年代に遡るようです。冷戦でアフリカが重要な戦場となった時代、ソ連は積極的にアフリカ大陸にいるマルクス主義者・反植民地主義者・反米主義者に対して、経済面や安全保障面で援助を行っていました

また。アフリカ諸国の独立運動を支援するべく武器などを援助し、アルジェリア、アンゴラ、エジプト、エチオピア、リビア、モザンビークを含む主要な国々との関係を構築しました。しかし、ソ連が崩壊したタイミングで新しく誕生したロシアはアフリカ諸国との関係を維持できなくなり、関係が途絶えました。

ロシアが再びアフリカと関わり始めたのは2000年代のことで、初めに南アフリカ、そしてエジプト、アンゴラ、ナイジェリアへと羽を伸ばしました。

2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を併合した際、ロシアは西側諸国から制裁を受けました。これをきっかけに、ロシアはより意欲的にアフリカとの関係構築に尽力しはじめました。2019年には、第1回ロシア・アフリカサミットを開催し、今年第2回が開催されました。

現在のロシア・アフリカ関係

それでは、アフリカ諸国の関係強化に意欲を見せてきたロシアは、近年どのような関係を持っているのでしょうか。

まず、経済的な繋がりから見ていきます。

経済面での関係

ロシアとアフリカ大陸間の貿易額は2000年から2012年の間に10倍以上に膨らんだものの(参考記事)、他国と比べて経済面でのコミットメントは少ないように見受けられます。

実はロシアは、投資の面よりも貿易面でアフリカにコミットしています。ロシアとアフリカ大陸の貿易額は、2013年の99億ドルから2021年には177億ドルへと増加しました。貿易品目としては、ロシアからアフリカ大陸へ小麦・石炭・石油・電力を輸出し、アフリカ大陸からロシアへフルーツ・砂糖・野菜を輸出しています。(参考記事

といっても、その貿易額は、EUの2950億ドル、中国の2540億ドル、アメリカの650億ドルに比べるとかなり少ないのが現状です。

しかも、アフリカ大陸からロシアへの輸出額は、ロシアからアフリカ大陸への輸出額の1/7であり、バランスの取れていない経済関係になっているようです。

特に、アフリカは穀物の供給の30%をロシアに依存しています。一部の国がロシアに依存している訳ではなく、アルジェリア、モロッコなどの北アフリカや、エチオピア、スーダン、南アなど広範囲にわたってロシアからの供給に頼っています。

また、ロシアはアフリカに、穀物・武器・核エネルギーを輸出しています。貿易国は主に4カ国(エジプト、アルジェリア、モロッコ、南アフリカ)に集中しているとのこと。

ロシアはさらなる貿易拡大の意欲を見せ、2019年のロシア・アフリカサミットでは、5年で貿易を5倍にすると約束しましたが、それは実現されるどころか減少してしまいました。

一方、投資面はどうでしょうか。こちらの記事によると、ロシアからアフリカ大陸への投資額は、対アフリカ直接海外投資(FDI)総額の1%以下であり、非常に少額だということがわかります。他の国々の海外直接投資(FDI)ストックの比率を見ると、2014-2018年時点でオランダが16%、イギリス・アメリカが6%、中国が5.3%でした。

ロシアは意欲を示しているものの、石油・ガスへの投資は具現化していません。ロシアがあまり投資しない理由は、アフリカの資源が世界市場に出回ることで、ロシアの石油・ガスの市場シェアが減ることを阻止するためだと推測するアナリストもいるようです。

しかし、ロシアが民間セクターの連携を通してアフリカに影響力を与えようとしていることは明らかです。というのも、参考記事によると、北アフリカにおいてロシアの国営企業(ロスネフチ、タトネフト、ガスプロムの石油ガス大手企業など)は、炭化水素プロジェクトを完全に支配しているそうです。例えば、ロシアの国営原子力企業であるロスアトムは、2022年からエジプトにて、初の原子力発電所を建設し始めました。スタートはエジプトですが、ルワンダやザンビアも協力の方向に向かっているようです。

それに加え、ロスアトムはロシアのソフトパワーを高めるため、STEAMの教育・文化的交換留学プロジェクトを援助しているそうです。また、アルロサという国営企業は、アンゴラ・コンゴ・ジンバブエなどでダイアモンドの発掘事業を行っています。

ロシアは、このように援助ではなくビジネスを通した協力関係に力を入れることで、上下関係でなく対等なパートナーシップの構築をアピールし、ビジネスに取りつけているようです。

ロシア・ウクライナ戦争で浮き彫りになったロシア・アフリカ諸国間の関係

ロシアのウクライナ侵攻に対する立場

今年2月に行われた国連総会では、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議が採択されましたが、それに対しアフリカ諸国はどのような立場を示したのでしょうか?

こちらの記事によると、今年はアフリカのいくつかの国々が立場を変え、アフリカ大陸の55カ国中30カ国がウクライナ侵攻への非難に賛成し、15カ国は棄権したとのことです。

マダガスカルと南スーダンは去年棄権していましたが、今年はウクライナ侵攻を非難する決議に賛成しました。逆に、ガボンは去年賛成でしたが、今年は棄権に回ったようです。

しかし賛成を表明している国は、実際に経済制裁をかけようとはしておらず、ロシアとのビジネスを続けたがっていることがわかります。

ロシアを非難しない国は、ロシアと長年の付き合いがあった国が多いのですが、それとは関係なく近年ロシアとの関係を築きあげている国があります。それがかつてイタリアの植民地であったエリトリア、そしてフランスの植民地であったマリです。この2ヶ国は、どちらも国連決議に反対し、明確にロシアを支持しています。

(去年の決議に対する各国の反応は、こちらの過去記事をご覧ください。)

★ロシアの穀物取引合意の離脱に対するアフリカ諸国の反応

こちらの記事によると、今年7月に開催されたロシア・アフリカサミットの数日前、ウクライナからアフリカへの穀物供給(3300万トン)を可能にしていた「黒海穀物取引」からロシアが離脱し、極めつけには穀物輸出で使われるウクライナの港を空爆し、18万トンの穀物を無駄にしたそうです。この出来事は、ロシアがアフリカの利益を蔑ろにしていることを明らかにしました。

この結果、その数日後に行われたロシア・アフリカサミットでは、アフリカの54ヶ国中たったの17カ国の首脳しか出席しませんでした

黒海穀物取引から離脱して以来、ロシアはウクライナの港を繰り返し攻撃しており、世界の食糧安全保障を脅かしています。国連とトルコはそれに対応した新たな提案を出しましたが、ロシアはすでにアフリカの6ヶ国(ブルキナファソ、ジンバブエ、ソマリア、中央アフリカ共和国、エリトリア)へそれぞれ2.5万トン〜5万トンの無償穀物供給を行っており、ロシア側の要求を飲まない限り応じないとしています。(参考記事

軍事面・安全保障面での関係

最近の国際情勢は、アフリカに大きな影響を与えており、そこでロシアとアフリカの軍事面での関係をニュースに取り上げているメディアをしばしば見かけます。

ここでは最近話題になっている軍事的な関わりを見ていきます。

武器輸出

2018年〜2022年のアフリカ諸国の主要な武器輸入のうち、ロシアからの輸入が40%を占めており、しかも近年は輸入量が増加し続けています

特にロシアから多くの武器を輸入している国としては、アルジェリア、エジプト、アンゴラが挙げられます。では、なぜアフリカはロシアから多くの武器を輸入しているのでしょうか。その理由として、ロシアの武器は他の先進国の武器よりも安価なこと、そしてアメリカやヨーロッパの国々が民主主義の原則や基本的人権の遵守を輸出の条件にする一方、ロシアはそのような条件を課していないことが挙げられます。(参考記事

軍事協力協定

ロシア・ウクライナ戦争により、ロシアから提供できる軍事的な援助が減るとの予想もありましたが、その影響を受けることなく、2022年には多くの新たな軍事協定や取り決めの更新が決まりました。(カメルーンとロシアの共同軍事訓練など)そして2023年のロシア・アフリカサミットは、テロや過激派思想への対抗を目的とする恒久的なロシア・アフリカ間の安全保障メカニズムを確立することを掲げ、合意に至りました(前述した通り、そもそもサミットに首席した国家元首はたったの17カ国です)。(参考記事

★クーデタを起こす旧仏領のアフリカ諸国とロシアとの関わり

近年、かつてフランスの植民地下にあったアフリカの国々で、ドミノ倒しのようにクーデターが起こっています。マイクロソフト脅威分析センター(Microsoft Threat Analysis Center、MTAC)の分析によると、アフリカの国々のクーデターに関するロシアの戦略には、以下のようなものがあるそうです。(参考記事

・両極化しそうな問題に焦点を当て、植民地時代の怒りを掻き立てながら、親ロシア・反フランス感情を含む内容を長期間に渡って発信する。

・クーデターが発生すると、ロシアの使者はクーデター参加者に賛成する。

・クーデター支持者がロシアの旗を持っている様子を広めることで、クーデターやロシアとのパートナーシップへの支持が広がっていることを印象づける

・フランス系のメディアやフランス語を使用した情報源などを禁止する。

この分析から、旧仏領で起こっているクーデターには、ロシアが裏で大きく関わっているということがわかります。

ロシアの民間軍事会社(PMC)のアフリカでの展開

2005年から、少なくとも7つ以上のロシアの民間軍事会社(PMC)が、アフリカ16カ国において34以上の事業を行っていると推定されます。(参考記事

その中でも、民間軍事会社のワグネルがアフリカに展開しているという報道をよく見受けます。ここでは、ワグネルがどの国で、どんな事業を行っているのか解説します。

こちらの記事によると、ワグネルの提供するサービスは以下の通りです。

・準軍事的な支援

・安全保障サービスの提供

・政権のために偽情報を流すキャンペーンの提供

そしてそのリターンとして、ワグネルは資源の特権と外交面での支持を得ているようです。

現在、ワグネルの職員のうち5000人がアフリカに駐在しているようです。展開先は以下の通りです。(参考記事

中央アフリカ共和国

現在一番規模が大きい展開先が中央アフリカ共和国(CAR)で、1,000人前後の傭兵が、公に大統領の支持を得て安全保障サービスを提供しています。

例えば、2018年に反政府勢力が首都・バンギで反乱を起こした際、ワグネルは鎮圧と政府の保護を助けました。そしてその代わりに、無制限のロギングと金山の支配権を得たそうです。 (参考記事

マリ共和国

正確な情報はあまり無いようですが、ワグネルは2020年クーデターで政権を掌握した軍政を支持し、結託しているそうです。(マリはテロ組織(ISISとAl-Qaeda)に対抗し、対テロ作戦を長年行っています。)

スーダン

ワグネルは2017年から、バシール政権下において反政府活動の弾圧・鉱物資源の保護などを行うのと引き換えに、ロシアへ金を輸出していました。最近、スーダンには数十人の傭兵が派遣されたというニュースもあります。

リビア

ワグネルは、リビア東部に拠点をおき政権奪取を狙うカリファ・ハフタル(軍人かつ政治家)を支援し、リビアの石油・天然ガス資源を守っています。

以上の4カ国は、植民地の遺産と内在する政治的問題が原因となって、西欧諸国との関係性が薄いという背景があり、ワグネルが比較的展開しやすかったと言えるでしょう。

モザンビーク

ワグネルは2019年にモザンビーク北部で自称IS(イスラム国)との戦いを支援したようですが、結局反乱の封じ込めに失敗し、撤退することになりました。

チャド

ワグネルは、今の臨時大統領を追い出すためにチャドの反政府組織と協力をしているようです。

このように、ロシアは広範にわたって展開をしているようですが、一方ではワグネルの傭兵がアフリカで展開する非人道的な行為が、西欧諸国や多くの人に非難されているとのことです。例えば、リビアでは2019年に活動していた傭兵が、超法規的な殺人を行い、民間人地域に地雷を敷いたことが問題になったようです。また今年4月にスーダンで勃発した内戦では、準軍事組織のRPF(Rapid Support Forces)にミサイルを供給している模様だそうです。(参考記事

豆知識① ーワグネルはロシアの外交にどんな役割を果たすのかー

ワグネルは民間軍事会社ではありますが、実質ロシア政府のサポートを受けており、ロシアの外交を肩代わりして行っている面があります。
外交的な目的は、ロシアの安全保障とアフリカの天然資源を得ることであり、これをワグネルが政府の代わりにやるということは、巨額をかけずに済む上に、ロシア国軍からの犠牲者も出さないで済むという利点があります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。ロシアはアフリカに大きな影響力を持っていますが、それはロシアの国益に叶うだけでなく、経済・食料安全保障・軍事力など様々な面でロシアに依存するアフリカ諸国の国益にも叶っているようにも思えます。

ロシアはアフリカにおいて、経済的な結束よりも、地政学面での利益を獲得すること、つまりNATOの南国境にある地中海での足場を確保し、欧米の影響力をアフリカから排除し、ロシアの世界観の正常化を進めることを狙っています(参考記事)。

つまり、ロシアにとっては政治的なインセンティブが強く働いているためにアフリカの国々との関係を重視しているということです。

しかし、その一方で、様々な方法でアフリカ大陸に影響力を持とうとするロシアに対して、西欧諸国は強く対抗の意を示しており、アフリカ大陸をめぐる勢力争いが終わりをみせることはないように思えます。

これからもPick-Up! アフリカは、アフリカの外交にも目を向けていきたいと思います。お楽しみに!


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