こんにちは、Pick-Up!アフリカです。過去数回に渡りサバクトビバッタに関して紹介してきました。干ばつの影響で落ち着いていましたが、新たな情報が舞い込んできました。今回は、サバクトビバッタの生態と気候変動の観点から踏み込んでいきます。

元記事:https://www.zawya.com/en/press-release/africa-press-releases/eritrea-ministry-of-agriculture-confirms-proper-desert-locust-control-operation-is-underway-xsit888h

エリトリアの農業省がサバクトビバッタに関して統制活動を実施中

エリトリアの農業省がサバクトビバッタの繁殖を管理下に置くことを表明したそうです。

北東部での例年より早すぎる降雨が紅海沿岸の広範囲に繁殖しているサバクトビバッタにとって有益な環境を作り出して、サバクトビバッタは、南部と中部にまで生息範囲を拡大しているとのことです。同局の回遊性害虫駆除の責任者である、Haymanot Embaye氏は、中部地域で多くの群生が発生したと述べており、適切な管理措置を講じると発表しました。

その発表に中部地域のAdi-Qe住民は、農業省の即時判断と迅速なサバクトビバッタ防除措置に、称賛を示したそうです。農業省は、全ての関係者に対して、近隣諸国から襲来する可能性のある、サバクトビバッタの群生に対処するため、引き続き警戒するように求めているようです。

サバクトビバッタの現状は?

9/4時点のFAOの報告によると、エリトリア、エチオピア、イエメンで成虫と少数の群れが確認されていると報じています。いくつかの小さな群れが9月始めにエリトリアからエチオピアのティグレ北東部の高地に移動し、管理を行っていたリフトバレーの低地地域にまで生息域を広げているようです。また、スーダンやエジプト、オマーンでも成虫や孵化、産卵が目撃されているとのことです。

11/2のFAOの報告では、10月はサバクトビバッタの繁殖状況は穏やかだったと語っています(詳しくはこちら)。現在は、スーダン、イエメンが主な繁殖地であり、モーリタニアからスーダンまでのサヘル北部での繁殖シーズンは収束に向かっているとのことです。

今後の予報では、11月から12月の間に紅海とアデン湾の両側で例年以上の降水量が見込まれるそうです。それに伴い、1月ごろから第一世代の繁殖が始まり、さらに雨の日が続けば、3、4月ごろまで繁殖が続くと予想してされています。

サバクトビバッタの生態

サバクトビバッタの大量発生の影響は、過去の記事(詳しくはこちら)で取り上げています。

【合わせて読みたい】

大量発生には、サバクトビバッタの生態も関係しているようです。サバクトビバッタは、「相変異」を持つ種類であり、育つ環境(生息密度)によって行動、形態、生理的特徴が変化する種類だそうです。実は、日本で見かけるトノサマバッタにも同じ性質を持っているとされています。

変異には、孤独相と群生相があり、以前の東アフリカで大量発生を引き起こしたのは、群生相になるようです。

孤独相と群生相でどのような違いがあるのか、掘り下げていきます。一般的に孤独相は、無害であるが、群生相は害虫であるとされています。群生相では、共に行動するため、産卵も集団で行っているそうです。さらに、サバクトビバッタは年に3-4回世代交代を行うと考えられています。そのため、数千から数十万の個体の群れを形成する可能性もあるようです。また、孤独相に比べて飛翔力が高く、1日の移動距離は100km以上であり、風に乗って飛翔していると考えられています。これによって、生息範囲を広げることができたのではないかと思われています。

サバクトビバッタの相変異変化には、干ばつ、大雨や洪水、風、植物、土壌、気温、季節などが密接に関わっているとされています。サバクトビバッタの産卵には水が重要な役割を果たしているとのことです。十分に湿った土壌に産卵することにより、胚の乾燥を防ぐことができ、生存率をあげるとされています。

気候変動とサバクトビバッタの関係性

気候変動は、近年のサバクトビバッタの大量発生の誘因になると考えられています。

正のインド洋ダイポールモード現象は、東アフリカの降水量に影響を及ぼしているようです。通常の東アフリカの気候は、インド洋西側(ソマリア沖)の海水温が低くなることで、上昇気流が少なくなり、その影響でよく晴れた日が続き降水量が少ない状態になるようです。

しかし、正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると、東アフリカに多雨をもたらします。この現象は主に5月から10月に発生することが多いとされています。その時期は東アフリカでは、例年ですと乾季にあたるそうです。

2020年のサバクトビバッタの大量発生は、この現象が関係しているとされています。

2019年に発生した、正のインド洋ダイポールモード現象は過去最強クラスであり、6月から急成長し、11月に最盛期を迎えたのち、年明けに収束したそうです。サバクトビバッタの大量発生が報告されたのは、2020年の1月後半からになります。サバクトビバッタの繁殖には、湿った土壌が欠かせません。また、降水量が増えたことで植物が育ち、サバクトビバットの生息しやすい環境が作られたと考えられます。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)によると、今年は正のインド洋ダイポールモード現象が8月から発生しており、秋の間は続くと報じています(詳しくはこちら)。そのため、東アフリカの多雨傾向が予想されます。今後、サバクトビバッタが生息しやすい環境が構築されるのではないかと考えられています。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

サバクトビバッタの相変異のメカニズムの解明は大量発生の原因と防除技術開発が期待できるとされています。

しかし、ヨーロッパを中心に100年以上研究されてきましたが、解明されているのはほんの一部であり、多くは謎に包まれたままだそうです。

相変異のメカニズムの解明と防除技術開発が進むことを祈ります。

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