皆さん、こんにちは! Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

前回は、AHAIC2023を通じてアフリカにおける医療の現状についてお届けしました。

今回は、課題の一つである医療におけるアフリカ経済の負担を、これからどんどんと改善していくであろう”ブロックチェーン技術”について紹介していきたいと思います。

「ビットコイン」などの仮想通貨で用いられている技術であるブロックチェーン技術がどのように医療システムの改善を手助けするのか、こちらの記事とともに見ていきましょう!

AHAIC2023で発表されたアフリカにおける医療の現状についてはこちら

アフリカの保険システム

アフリカにおける医療の経済負荷問題として、医療費が高いことが挙げられます。その要因の一つとして、保険の未加入率の高さがあります。前回の記事でも少し紹介しましたが、アフリカ大陸の保険普及率は 2.8% と、世界平均の 6.3% を大幅に下回っています。

こちらの記事によると、加入率が低い原因として多くの保険会社は契約の際に紙を使用しているという点があります。これにより、多くの時間と費用がかかり、さらに、改ざんが簡単にできてしまうため詐欺や無駄が多く発生しています。その結果、アフリカの保険会社は毎年、不正な請求により数千億円を失っているため、保険会社も警戒し、さらに手続きに時間がかかっているという現状があります。こうして、保険に加入するために多くの時間と手間がかかってしまい、保険加入への難易度が上がってしまっています。そして、保険に加入していない市民が多いため、高い医療費のすべてや半分を負担しなければならず、それにより医療費による貧困が多数発生しました。

ですが、ブロックチェーン技術を使用することで、このように改善することができます。

ブロックチェーン技術の保険における活用方法とは?

ブロックチェーン技術とは、仮想通貨取引などに使用されている「取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持する技術」です。情報が入ったブロックをチェックのように組み合わせることで、正確に、そして、改ざんが不可能なシステムを確立しています。

ブロックチェーン技術を使用することにより、いつ、誰と、どのような契約を交わしたのかが時系列で分かるようになります。これにより、いつどのような契約の元、どんな理由で保険金を支払ったのかが可視化でき、アフリカで問題になっている保険金詐欺を減らすことができる可能性があります。さらに、コンピューターを用いた保険システムを確立することで、手続きの手間を減らし、同じ時間で今よりさらに多くの人を保険に加入させることができます。こうすることで、医療費による貧困を減らすことができ、アフリカにおける生活水準の向上、貧困の解消を図れるでしょう!

実際に、アメリカに拠点を置くAetna社が健康保険システムにおける請求と支払いの自動化、そしてさらなる合理化のために、ブロックチェーン技術の導入を開始しました。

ブロックチェーン技術のその他の活用方法

また、ブロックチェーン技術のその他の活用方法として処方箋システムがあります。日本で使用されているおくすり手帳(病院などで処方された医薬品を記録するための手帳)をデジタル化したシステムを確立しました。ブロックチェーン技術を使用し、処方箋の情報(日付、医師、薬剤名、製造元、ロット番号、有効期限)が登録されます。この技術を使えば、アフリカでも問題になっている、不適切な薬を処方してしまったり、薬品の期限が切れたもの、もうすぐ切れるもの、薬が偽物ではないことを証明できるようになることが期待されています。

ブロックチェーン技術の課題点

ですが、ブロックチェーン技術にも課題点があります。ブロックチェーン技術では、P2Pネットワークという複数のコンピューターが互いに情報をやり取りするシステムを使用しています。これにより、一部のシステムがダウンしても、他全体が動き続け、情報が失われることがないというメリットがあります。ただ、このP2Pネットワークを使用することにより、やり取りが増え、保持しなければならない情報が増えたとき、どんどんデータ量が膨大になり通信速度が低下してしまうというデメリットがあります。アフリカではまだ電気がなかったり、電波が弱い、ない地域もあります。そんな環境下で、このようなデータ容量が大きいシステムを使用するのは、負荷がかかりすぎてしまったり、活用しきれない可能性もあります。

また、改ざんが不可能なシステムを利用していることにより、なにか情報に間違いがあって訂正したくても、その情報を消去することが出来ません

まとめ

このように、ブロックチェーン技術を使用することで効率化を図ることができ、さらに、正確に情報が記録できるようになります。この技術は、医療システムだけでなく、金融機関や、選挙などの公的な投票時、商流管理などにも使用が期待されています。そして、ブロックチェーン技術は、AIによって生成された情報が増え、錯綜する中で、時系列などを証明したりなど、「自動化」と「信頼性」の補完関係にあると言われています。

また、MedRecというMITの研究者が作成した医療システムは、日本の医療現場でも放射線治療における患者の被ばく線量などの記録にも使用されています。

その他に、私たちが寄付したお金をたどることができるシステムにも使われています。

他にもHIV患者の継続的な治療のために最新の技術であるAIを使用したシステムについて紹介しているこちらのPick Up!アフリカの記事もぜひご覧ください!

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