こんにちは!Pick-Up! アフリカです。本日は、アフリカにおける女性のビジネス進出に関するニュースをお届けします。

みなさんはアフリカでどのくらい女性進出が進んでいると思いますか?まだ女性に対する差別やジェンダー格差が顕著だというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ChatGPTに聞いてみても、以下のようなネガティブな答えが返ってきました


しかし、今回のニュースによると、アフリカの起業家に占める女性の割合は、世界で1位だそうです。

今回は、元記事を踏まえ、アフリカにおける女性起業家の現状と、課題・解決策を深掘りしてみます。

元記事:Comment: Africa has the highest proportion of women entrepreneurs. How can we make sure they get funded?

現状と背景

OECDの調査結果によると、サブサハラアフリカに住む女性のうち26%はビジネスを始める段階にいる、あるいは経営しているそうです。特にガーナは世界で一番多くの女性起業家を輩出しており、総企業数のうち46%は女性が経営しているそうです。他地域と比較してみると、例えばヨーロッパで起業的な活動をしている女性の割合はたったの5.7%だそうです。

★ここでいう「起業家」というのは、多くの日本人が想像するようなスタートアップや従業員が複数人いる企業に限らず、インフォーマルセクターや小規模な自営業も含まれているのではないかと考えられます。のちに触れますが、アフリカでは他人から投資を受け取らない小規模な事業を行っている人が多くいます。

それでは、なぜアフリカでは多くの女性が活発にビジネスを立ち上げているのでしょうか。

元記事によると、雇用率の低いアフリカでは、ほとんどの女性が生存のためにビジネスを始めるそうです。実際、アフリカの女性起業家は、男性よりも自分のビジネスを手放す割合が低く(投資を受けていない場合が多いにも関わらず)、ここからも女性が生計のためにビジネスを頑張っていることが伺えます。

CNNによると、アフリカの女性起業家が立ち上げた事業の多くは当人が一人で経営している小規模なもので、テクノロジーを活用したり目新しさを狙ったりするような事業ではなく、リスクの低い消費者志向の事業が多いそうです。

つまり、私たちが一般的に想像する「起業」というよりは、自営業のイメージに近いものが多いと思われます。その上、起業と言っても、登記していないインフォーマルなビジネスを行っている女性が多いのが現状です。

☆豆知識☆
実際、アフリカの街中には、日用品などを取り扱っている小さなお店がよく見受けられます。イメージとしては、日本の商店街にある個人経営の昔ながらの商店を想像してみてください。アフリカの田舎でもこのようなお店はありますが、品揃えは街中よりは劣ることもあります。


女性起業家が抱えている課題とその解決策

女性起業家が抱える最も深刻な課題の一つが、ビジネスにおいて男女平等が実現されていないことです。特に、資金調達において女性は不利な立場にあるようです。

課題の現状

元記事によると、アフリカ向けのVC(ベンチャーキャピタル)投資の総額のうち、女性起業家が受け取っているのはたったの7%以下だそうです。(起業家の20%が女性であるにも関わらず、です。)アフリカの成長・発展のためには起業家への投資が不可欠である反面、これは深刻な問題です。

しかし女性への投資額が少ないのは世界規模の課題であることを記事でも指摘されています。実際、世界のソロ起業家のうち女性が占める割合は14%ですが、受け取っているVC投資は全体のたった2%だそうです。

課題の背景

では、なぜ女性は外部からの投資を受け、事業を発展させることができないのでしょうか。主な背景に、以下の二つが考えられます。

①スケーラブルなビジネスにする余裕がない

上記で書いたように、多くの女性は生計を立てるために事業を立ち上げているため、投資を呼び込むほどに規模を拡大せずに、非公式にビジネスをしています。調査によると、公式に登記していない理由として、コスト負担や手続きの複雑さがあるようです。(参考記事

②スケーラブルなビジネスにしたとしても、女性が受け取れる投資は少ない

この背景には、投資家に占める女性のリーダーの少なさが挙げられます。現状、サブサハラアフリカにある民間ベンチャーキャピタル会社のシニアジェネラルパートナーのうち、女性は12%だそうです。これは世界で見てもたったの11%なので、アフリカ投資家だけでなく海外投資家からの投資も得にくいのが現状です。

また、女性差別に苦しむ起業家も多いようです。例えば、自分の農産物を輸出したい女性が賄賂を求める税関や警察官の標的になり、せっかく大陸で取り組んでいるAfCFTAの恩恵を受けられないという事例もあります。(参考記事

解決策

では、上で見てきた女性起業家の課題はどのように解決できるのでしょうか。元記事や参考記事では、以下のような解決策を示しています。

①VC、PE会社の代表における女性の割合を増やす

上記に書いたように、投資家に占める女性のリーダーを増やせば、必然的に女性に対するネガティブな先入観や差別による投資の少なさを解消することができるでしょう。

②現投資家の投資におけるバイアスを見つけ、改善することで女性起業家への投資も増やす

③投資家がただ投資するだけでなく、女性にビジネスネットワークへの参加を促してあげる

事業の規模拡大のためには、ビジネスネットワークに参画することで情報収集をしたり、人脈を広げたりすることが不可欠です。

また、事業の拡大に成功し、受け取る投資が増えれば、女性自身も投資家になる可能性があり、好循環が生まれると考えられています。

解決に向けた取り組み例

最後に、女性への投資を促進する取り組みの例をご紹介します。

①2X Challenge

こちらの過去記事の7番目で紹介している2X Challengeは、2018年のG7サミットで開始された共同イニシアチブで、「女性のためのファイナンス」として女性起業家のエンパワメントに取り組んでいるようです。公式サイトによると、2020年までのサブサハラアフリカへの投資額は、南米に次ぐ27億9000万ドルに上るそうです。

②女性起業家精神推進プログラム(EWEA、Enhancing Women Entrepreneurship in Africa)

このプログラムは、Seedstars(スイスを拠点とする民間企業グループで、起業家支援を行っている)が2022年11月に開始を発表したプログラムです。アフリカ11カ国で展開されるこのプログラムは、540の女性主導中小企業(WSMEs)に対し、6000時間のモニタリングを提供し、90の投資家にアクセスできる88個の組織を支援することが期待されています。(参考記事

③ルワンダにおけるSheTradesハブ

こちらの過去記事では、ルワンダにできた女性ビジネス支援のSheTradesハブ(2021)を紹介しています。国際貿易センターが行っている世界的な取り組みであるSheTradesは、女性起業家に市場のアクセス・ネットワークやプラットフォームなどを提供してくれる取り組みです。

④マイクロファイナンス支援

女性の資金調達の手段として、マイクロファイナンスが有効な手段の一つです。

女性向けのマイクロファイナンス機関には、GRAMEEN(グラミン財団)やケニアのKWFT(Kenya Women Finance Trust)などがあります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回はアフリカの女性起業家に焦点を当て、課題とソリューションをご紹介しました。解決に向けた今後の取り組みに期待して、一緒に動向を追っていきましょう!

Pick-Up! アフリカでは、アフリカのジェンダーに関する記事を過去にも書いているので、ぜひ合わせてご覧ください!

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