Pick-Up!アフリカのメンバーです。初めての海外旅行はルワンダでした。アフリカが大好きです!

こんにちは!Pick-Up!アフリカです。☺️ 今回は実際にアフリカに行って感じた、ある「素朴な疑問」を深掘りしていこうと思います!

「なぜ市場はどのお店も同じお土産を売っているの!?」

アフリカに渡航経験のある方なら誰もが一度は思ったことがあるかもしれませんが、アフリカの市場を歩くと、必ずと言っていいほどどのお店も同じキーホルダーや木彫り、同じ柄の布ばかりが売られています。

私は実際にルワンダのマーケットに行った際、ある木彫りのストラップに一目惚れしました。どうしても欲しくて、確か500円ほど(記憶が曖昧なのですが……)と言われ、一生懸命に値段交渉をしていました。 そこに、アフリカを何カ国も回っている旅行仲間の日本人がやってきて一言。

「それ、全く同じものをケニアで100円くらいで買ったよ」

なんと、その友人が持っていたストラップを私にくれるという神対応をしてくれました(感謝!✨)。 当時は満足して帰ったのですが、後になって「これってルワンダ限定じゃなくて、ケニアでも共通して売ってるものなのか!」と驚きました。他にも、自分が買ったピアスとブレスレットが、すぐ隣のお店で友人がもっと安く買っていた……なんてことも。

日本の常識では「他者と違うものを売って差別化しよう」となるはずですが、なぜ彼らは隣同士の店でさえ、まったく同じ商品を売ろうとするのでしょうか。その裏側には、アフリカ小売市場のユニークな構造が隠されていました。

1. 取引の90%が「非公式経済(インフォーマル)」という構造

実はアフリカの小売市場は、取引の約90%が税務署や政府の管理が及ばない「非公式(インフォーマル)な経路」で行われています。

政府に登録して公式経済(フォーマルセクター)に参入するには、高い費用や複雑な手続きという高い壁を乗り越えなければなりません。小規模な商人にとって、これはあまりにも大きな負担です。その結果、彼らのほとんどがインフォーマルな体制を選択することになります。

公式な商品開発や投資を行う資本(生産性)が非公式経済では生まれにくいため、誰もがアクセスできる「既存の細分化された流通ネットワーク」から、皆が同じものを仕入れて売る形に落ち着くのです。

なぜ非公式経済では、商品開発の資本が生まれにくいのか?

「政府に登録せず、政府の管理が行き届いていない自由なビジネス」というと、一見お金が残りそうに見えますよね。しかし、ここには「大きく育てられないトラップ」があります。

  • ① 銀行から「融資」が受けられない 公式に登記されていない企業は、当然、まともな決算書も帳簿もありません。そのため、銀行からビジネスを拡大するためのまとまったお金を低金利で借りることができません。手元の現金(キャッシュ)の範囲内でしか商売ができないため、生産性が上がらないのです。
  • ② 「真似され損」になる(法的な保護がない) 非公式経済には「特許」や「著作権」という概念が通用しません。もしある商人が、苦労して新しいデザインのお土産を開発しても、翌日には周りの店に100%真似されてしまいます。法律が守ってくれない環境では、「リスクをとって新しいものを開発するより、今売れている定番品を真似して並べる方が賢い」というインセンティブが働きます。
  • ③ 「目立つとむしり取られる」リスク 非公式経済の商人たちは、あえてビジネスを「小さく、見えにくく」しています。下手に事業を大きくして目立ってしまうと、政府から目をつけられて重い税金を課されたり、役人から賄賂を要求されたりするリスクが高まるからです。「あえて成長させない(投資しない)」ことが、彼らの自己防衛策になっています。

2. 同じものなのに「価格がバラバラ」なミステリー

冒頭で、同じ商品が隣の店舗で安く買えたり、国によって価格が違ったりしたエピソードをお伝えしましたが、「同じお土産なのに、店によって、あるいは交渉次第で価格が全く異なる」のもアフリカ市場の大きな特徴です。

ナイジェリアの小売業界における激しい価格差を分析したレポートによると、その原因として「激しい為替レートの変動」「輸入主導のインフレ」「地域ごとの価格戦略(観光客向け、地元向けなど)」などが挙げられています。さらに、特定のエリアでは競合が少ない(独占・寡占状態)ため、売り手が強気な価格をつけられることも影響しています。

仕入れた「日」が違うだけでコストが激変する

アフリカの小売商品(お土産の原材料や日用品など)の多くは、輸入に頼っています。為替レートが毎日激しく乱高下する国では、「米ドルに対して現地通貨が比較的強い時に安く仕込めた店」と、「通貨暴落時に高く仕入れるしかなかった店」で、仕入れ値がまったく変わってしまいます。

日本のように「メーカー希望小売価格」がないため、各店がその時の仕入れ値に合わせて独自の言い値で売る結果、隣同士の店でも大きな価格差が生まれるのです。

3. モノが同じなら「売り方・交渉術」で差をつける

では、商品がどこも同じなら、彼らはどうやって競合に勝とうとしているのでしょうか? 答えは、営業マンの「売り方・執念」にあります。

現地の人々は、巧みなトークスキルや「他店舗より安くするよ!」という熱血なアピールを使って、商品ではなく“自分”を売ることで他店との差を作っていました。買い物客からしたら、その圧倒的な交渉術には驚かされるばかりです。

かくいう私も、旅行中には絶対にいらないであろう「アフリカの謎のお面」や、耳に穴を開けてもいないのに「ピアス」を何個もいつの間にか買ってしまっていました。これも彼らの凄まじい営業テクニックの賜物(?)でしょうか……!?😅

4. ビジネスとして「ラストマイル(最終流通)」の壁をどう超えるか

この巨大なインフォーマル市場に、外資企業やモダンなビジネスが参入しようとするとき、最大の課題となるのが「物流コストとリードタイム(配送にかかる時間)」です。

サハラ以南のアフリカでは、インフラの未整備により、末端の消費者(最終流通段階)に製品を届けることが極めて困難とされています。 そのため、この網の目のように細分化された非公式ルートを攻略するには、現地で確立されたつながりを持つ「地元の優良パートナー(販売業者や代理店)」と組むことが不可欠です。

現在、オンラインストアの参入などでアフリカの小売業界は非常に活気付いています。今後、規模拡大のための多額の投資が行われる「公式経済(フォーマルセクター)」の割合が増えれば、このカギを握る物流や商品開発が一気に進化するポテンシャルを秘めています。

終わりに

アフリカの多くの国で行われている非公式経済は、確かに新しい商品開発が難しかったり、大きな資本が生まれにくかったりという課題があるかもしれません。

しかし、小さい規模で政府からの介入を受けずに回るその経済は、「現地の人に直接の利益となる」という点や、「その地域のお金がその地域だけで回る(地産地消)」という点において、もしかしたら非常に価値のあるシステムなのかもしれません。小さな資本でたくましくコミュニティの経済を回すこの「アフリカ流の割り切り」は、これからの時代に私たちが学ぶべき視点でもあると感じます。

私は実際にアフリカのお店を回っていて、どこか日本の古き良き商店街を思い出しました。 会話を楽しみながら商品を買うこと。販売者と購入者の距離が近く、その売上はそのまま目の前の店主の生活の支えになること。その商売の原点のような関係に、どこか温かみを感じることができました。

商売の本質である「人とのつながりや温かみ」に気づかせてくれることこそが、アフリカ市場の本当の魅力なのかもしれません。

参考文献:

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