Pick-Up!アフリカのメンバーです。初めての海外旅行はルワンダでした。アフリカが大好きです!

こんにちは、Pick-Up!アフリカです!(^^)

 前回に引き続き、今回も「密輸問題」を取り上げます。 前回の「野生生物編」に続き、今回のテーマは「鉱物資源」。最後までお読みいただければ幸いです!

今回取り上げる国は主に以下の国々です!読む際に参考にしていただけると幸いです。

①アフリカ経済と鉱物資源の深い関係

アフリカにおける鉱物資源の密輸は、現地の政治や紛争と複雑に絡み合っています。その最大の懸念点は、密輸による莫大な利益が「労働者の人権侵害」「武装勢力の資金源(治安の悪化)」をもたらしてしまうことです。

こちらの国連の報告によると、

「アフリカ諸国の半数以上が、輸出収入の少なくとも60%を石油、ガス、鉱物資源に依存しており、不安定な世界市場の影響を受けやすい状況にある」

とされています。

また実際にこちらの資料によると、アフリカ諸国は経済の大部分を鉱業に依存しています。 例えば、ボツワナは経済のほぼ25%を鉱山に依存しています。また、世界のバナジウムやプラチナ、ダイヤモンドの多くはアフリカ(特に南アフリカなど)から産出されています。こちらの資料によると特にスマートフォンのバッテリーなどに欠かせないコバルトに至っては、コンゴ民主共和国が世界シェアの大部分を占めているそうです。

このように、アフリカの多くの国々の経済は、需要の急増や特定の国や地域への偏在などにより、価格変動の激しい鉱物資源に大きく依存しているのが現状です。 国の経済や政治の根幹を支える巨大な産業だからこそ利権が絡みやすく、密輸問題がより一層複雑化し、解決を難しくしているのです。

それでは、その深刻な実態を詳しく見ていきましょう!

②そもそも、鉱物資源とは?

そもそも鉱物資源とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。

日本では経済産業省(METI)が、

「地下に埋蔵されていて、人間にとって有益な鉱物のこと」

と定義しています。

鉱物資源は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

1.ベースメタル 

鉄、アルミ、銅など。埋蔵量・産出量ともに多く、精錬が比較的簡単な金属です。

 2.レアメタル(希少金属)

 産出量が少なく、鉱石に含まれる含有率が極めて低いことなどから、抽出が難しい希少な金属です。

※さらに、レアメタルの一部である17種類の元素は「レアアース(希土類)」と呼ばれます。このほか、金や銀などは「貴金属」として扱われます。

③アフリカは「レアメタル」の宝庫!

 では、アフリカにはどのような鉱物が眠っているのでしょうか。こちらのレポート によると、アフリカ大陸が世界に占める鉱物資源(埋蔵量)の割合は以下のようになっています。

  1. コバルト: 約55%
  2. マンガン: 約38%
  3. プラチナ: 約80%
  4. クロム: 約62%
  5. 天然黒鉛: 約25%

ここに挙げられているもののほとんどが「レアメタル」に分類されます。 

スマートフォンや電気自動車のバッテリーなど、現代の最先端テクノロジーにレアメタルは欠かせません。

つまり、アフリカ大陸は世界を支える「レアメタルの宝庫」と言えるのです!だからこそ、世界中から注目を集め、同時に密輸などの複雑な問題が起きやすくなっています。

④「レアメタル」はどんなものに使われているの?

 では、これらのレアメタルは具体的にどんなものに使われているのでしょうか? 日本の環境省の資料によると、主に「特殊鋼」「液晶」「希土類磁石・小型モーター」「小形二次電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池など)」に使われていると述べられています。

少し難しく聞こえますが、わかりやすく言い換えると、以下のようなものに使われています。

  1. 自動車のエンジン内部の部品
  2. スマートフォンやテレビのディスプレイ
  3. モバイルバッテリーや充電器
  4. 電気自動車(EV)のモーターやバッテリー
  5. 太陽光パネルや風力タービン

私たちが毎日使っている、本当に身近なものばかりで驚いてしまいますよね!(o_o)

そして近年、このレアメタルの需要が爆発的に上がっている最大の理由が「再生可能エネルギー」への移行です。地球環境に優しいとされる電気自動車や太陽光パネルですが、実はそのシステムを動かすためには、レアメタルをはじめとするアフリカの鉱物資源に大きく依存しているのです。

需要が高まれば高まるほど、そこには大きなお金が動き、犯罪のリスクも高まってしまいます。

以上を踏まえて、鉱物資源がどのように採掘され、密輸などの複雑なプロセスに巻き込まれていくのか、その流れを表にまとめました!

1、政治の不安定や蔓延する汚職により、国家の統治が及ばない「空白地帯」が生まれます。政府が機能しない場所では、法による守りも、公的なサービスも存在しません。

2、国の監視がなくなった無法地帯の鉱山に目をつけ、武装勢力や組織犯罪グループが「台頭」します。犯罪組織がサプライチェーンに浸透し、搾取し、歪めるための温床を作り出します。犯罪組織は、汚職、暴力、あるいは強制力を用いて規制をすり抜け、税金を逃れ、資源へのアクセスを操作することで、採掘現場、貿易ルート、または精製インフラの実権を握ります。

3、パリ協定などで再生可能エネルギーの需要や、電子機器の普及でレアメタルなどの需要が高まると同時に犯罪組織による密輸が始まります。

4、密輸により利益を得られるようになると組織は強大化していきます。違法に採掘された鉱物を売却して得た利益は、民兵や軍閥、組織犯罪グループ、そして場合によってはテロリスト集団の重要な「資金源」へと姿を変えます。組織犯罪グループや武装勢力が鉱山を不法に占拠し、そこから得た利益を「武器の購入」や「軍事活動の資金」に充てています。資金を得た彼らはさらに領土の支配を強化し、結果として紛争を長引かせ、煽り立てるという悪循環を生み出しています。

また、鉱物の違法採掘は、地上や地下だけでなく、すでに閉鎖された廃鉱や、驚くべきことに「現在稼働中の鉱山」にまで不法侵入して行われています。さらには、自然公園などの保護区、歴史的な遺産、先住民の土地など、あらゆる場所がターゲットにされています。一部の国では、稼働中の鉱山に不法侵入する際、違法採掘者が重武装しているケースも頻発しています。彼らは鉱山の従業員や警備員、あるいは競合する別の違法採掘グループに対して、待ち伏せや罠を仕掛けるなど、その手口は非常に過激で危険なものになっています。

5、違法採掘は、自然環境や動植物の生息地、先住民の暮らし、公衆衛生、経済、そして「法の支配」に至るまで、あらゆる側面に有害な影響を及ぼします。 多くの場合、違法採掘の現場では環境に極めて有害な化学物質や危険な機器が使われています。これにより、深刻で取り返しのつかない環境破壊が引き起こされるだけでなく、採掘者自身の命や健康も危険にさらされているのです。こうして国土が荒廃し尽くすことで、1の「統治の空白」がさらに加速・深刻化していきます。

アフリカのどんな地域で行われているの?

主にコンゴ民主共和国東部。コルタンを始めとする多くの資源があり、それを狙って紛争がおこるためこれらの鉱物資源を「紛争鉱物」と呼ぶこともあるほど。

コンゴの情勢など詳しく知りたい方はこちらの記事をタップしてください!

どんな人権問題が起きているの?

1. 姿なき犠牲者と「不明」という闇

ベナン共和国やナイジェリアをはじめとする西アフリカ全域で、多くの子供たちが零細鉱山や採石場での「最悪の形態の児童労働(WFCL)」に飲み込まれています。しかし、治安の悪化やアクセスの困難さにより、その正確な数すら把握できていません。彼らは統計にすら載らない、「存在を消された労働力」となっているのです。

2. 人身売買と教育の断絶

これらの子供たちの多くは、人身売買という暴力的なプロセスを経て危険な現場へと送り込まれます。本来、その危険性を理解するために必要なはずの「教育」の機会すら奪われ、無知ゆえにさらに深い危険へとさらされるという残酷な構造があります。

なぜ問題は解決しないのか?(実際の事例)

武装勢力は実際にどれくらいの資金を得ているの?

国連などの調査による控えめな見積もりでも、コンゴ民主共和国(DRC)東部における組織犯罪グループの「年間の純利益」は、以下のように莫大な金額にのぼると報告されています。

  • ① 金(ゴールド): 4,000万〜1億2,000万ドル(約60億〜180億円)
  • ② 木材: 1,600万〜4,800万ドル
  • ③ 木炭: 1,200万〜3,500万ドル
  • ④ 3T鉱物(※): 750万〜2,260万ドル
  • ⑤ ダイヤモンド: 1,600万〜4,800万ドル(主に紛争地域外から調達されたもの)
  • ⑥ その他: 野生生物(象牙や水産物)、独自の「税金」徴収、大麻、その他の資源など

3T鉱物とは:スズ(Tin)、タングステン(Tungsten)、タンタル(Tantalum/別名コルタン)の3つの頭文字をとった重要鉱物の総称です。

このように、鉱物資源だけでなく、木材や前回の記事で紹介した野生生物(象牙)までもが、彼らの重要な資金源になっていることがわかります。

(コンゴ民主共和国東部の武装勢力は違法密輸により純利益の約2%を保持しています。

この収入は

年間少なくとも8千人の武装闘争員を維持するための基本的な生活費です。)

 ここからは、問題の複雑さを示すニュース事例を2つご紹介します!

事例①:南スーダンの「金」をめぐる闇 

スイス国際開発機構「スイスエイド(SWISSAID)」の報告によると、南スーダンで生産される金のほぼすべてに武装集団が関与しており、その大部分が密輸されていると指摘されています。 腐敗した一部の政府関係者が共謀し、外国の密売業者が利益を得る形で、主にケニア、ウガンダ、アラブ首長国連邦(UAE)などへ流出しているとのことです。 

(※ただし、南スーダン鉱業省は「大部分が密輸されている」というこの見解を否定しています。)

事例②:コンゴ民主共和国「コルタン」の密輸 

Business Insider Africaの報道によると、武装勢力「M23」が、今年4月の激しい戦闘の末に「ルバヤ地域」を制圧しました。ここはスマートフォンやコンピューターに不可欠なコルタンの主要産地です。 ルワンダの支援を受けているとされるM23が、この地域を支配した直後から、ルワンダへ向けて天然資源の違法な密輸を始めていると報じられています。

アフリカでの対策や今後の取り組み

ここではアフリカ諸国の取り組みについてご紹介します!

取り組み①:国際的な資金援助による「治安維持」の強化 

一つ目は、鉱山の「物理的な安全」を守るアプローチです。 コンゴ民主共和国は現在、アメリカやアラブ首長国連邦(UAE)からの資金援助を受け、鉱業部門の治安維持を専門とする「準軍事組織」の創設を計画しています。

  • 具体的な目標: 当初の1億ドルの資金で、まずは今年12月までに3,000人の武装警備員を採用し、2028年までに2万人規模へと増員する予定です。
  • 背景: アフリカの重要鉱物(銅、コバルト、リチウム、タンタルなど)に対する海外からの関心は非常に高く、最近ではアメリカ企業がこれらの優先アクセス権を得る契約を結ぶなど、新たな国際パートナーシップが急ピッチで進められています。強力な警備組織を作ることで、犯罪組織による不法占拠を防ぐ狙いがあります。

取り組み②:国営機関と大手企業による「採掘の合法化・安全化」

 二つ目は、違法な労働者を排除するのではなく、「安全な枠組みの中に取り込む」という制度面からのアプローチです。 コンゴ民主共和国の国営コバルト機関(EGC)は、深刻化する違法な「零細採掘(個人や小グループによる手掘り作業など)」に対抗するため、大手鉱山会社との新たな提携を進めています。

  • 具体的な対策: 大手企業が持つ鉱業権のエリア内に、「規制された(合法的な)零細鉱業用の区域」を特別に指定します。
  • 狙いと成果: 非公式で危険な環境で働く労働者に「安全で合法的な働く場所」を提供することで、違法操業そのものを減らす目的があります。すでに大手企業である「ユーラシアン・リソーシズ・グループ」との初契約を締結しており、他の国際企業とも提携交渉を進めています。

終わりに

地球環境に「良い」とされる再生可能エネルギーが、環境を悪化させ人権を迫害しその土地の社会システムを崩壊させる違法な鉱物の採掘によって生まれている。

この皮肉な関係を私たちは決して見逃してはいけません。一概に「良い」と言い切れるものは、この世界に存在するのでしょうか。私たちが手にするクリーンなテクノロジーの裏側に、法の届かない「空白地帯」の犠牲があるとしたら、その善意の代償を払っているのは、一体誰なのでしょうか。

次回は密輸問題シリーズラストになります!テーマは「麻薬」です。次回もお楽しみに!

参考文献

https://africa.businessinsider.com/local/lifestyle/congo-launches-new-offensive-against-illegal-cobalt-mining-with-help-from-global/3jpsh9y

https://africa.businessinsider.com/local/markets/drc-to-deploy-3000-armed-guards-to-secure-its-mines-with-the-help-of-the-us-and-uae/0bxl9gr

https://globalinitiative.net/wp-content/uploads/2018/09/Atlas-Illicit-Flows-Second-Edition-EN-WEB.pdf

https://www.cddwestafrica.org/blog/mining-natural-resources-is-fuelling-human-rights-violations-in-west-africa

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