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https://www.dailysabah.com/business/economy/turkey-eyes-development-based-win-win-strategy-in-ties-with-africa

内容と背景:

本日は、トルコとアフリカ間の貿易や経済に関する記事をピックアップしました。

トルコとアフリカは10/21,22の二日間、トルコアフリカ経済ビジネスフォーラムを行いました。今後の展開に期待が募ります。


トルコアフリカ経済ビジネスフォーラム

今回ピックアップした記事では、トルコアフリカ経済ビジネスフォーラムについて書かれています。このフォーラムは、45のアフリカの国が参加し、初日には3,000のトルコやアフリカのビジネス関係者が参加しました。このフォーラムは「貿易、投資、技術、物流において、トルコとアフリカのパートナーシップを深める」をテーマに行われ、トルコとアフリカが互いの関係を構築し、より深めるための方法を模索するために行われました。

記事では、これまでのトルコとアフリカとの関係についても触れており、例えば、貿易額は2003年当時と2020年との比較で、約54億ドルから約250億ドルにまで増加したこんどが触れられています。

さらに記事ではトルコ航空が現在ではアフリカの58都市に就航していることもその後押しになっているのではとしています。また、トルコ側だけに有利な貿易関係ではなく、両者にとって有益な貿易関係を作ろうとしているとのMehmet Muş貿易大臣の発言も共有されています。

また記事では、面白い事実も共有されており、トルコのアフリカ大陸への投資額が2003年〜2020年の間に約60億ドルであったのに対し、トルコ系企業が約770億ドル相当の事業に従事することになったとも書かれています。

トルコは、世界最大の自由貿易地域であるAfCFTAに焦点を置いています。AfCFTAに参加している54のアフリカの国・13億人との市場を作り、トルコの投資家が「最低関税で」企業を作ったり、アフリカに輸出したりすることを可能にするしているそうです。最終的には「関税ゼロ」を掲げており、競争できる価格で商品・サービスを供給することを目指しています。

アフリカ各国の反応

アフリカの国々は様々な場所で貿易・投資の機会を求めており、今回のフォーラムでトルコとの結びつきを強くしたいと考えています。こちらの記事では、トルコとの関係に関する反応が書かれています。

ブルンジ、ケニア、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ウガンダといった東アフリカ諸国は、特にトルコとの結びつきを重視しています。これらの国々は、ポストコロナ社会における経済回復を目指しており、トルコからの貿易や投資といった機会をうかがっています。

ケニアは、ASCONとその関係者と会い、繊維、農産物加工、鉱業、手頃な価格の住宅への投資協力について話し合いました。

ウガンダの代表は、今回のフォーラムがウガンダ自身やその他アフリカの国とトルコの投資家を結びつけることになるであろうと述べています。

東アフリカ以外の国も様々な反応をみせています。

ザンビアの代表は、今回のフォーラムがザンビアの政府開発課題とマッチしていると話します。その開発課題とは、貿易や投資を促進させることで、そのような国際的な関与から、市民が最大の利益を獲得することを目的としているとのことです。

ソマリアの代表はトルコが近年、貿易、投資、技術、物流といったフォーラムのテーマにもなっている分野を深めてきたとしています。ソマリアとトルコの貿易額は2017年に4400万ドルだったのが、2019年には2億600万ドルにまで拡大したと述べられています。ソマリアはトルコ及びその他の国との貿易や経済協力へ関心を持っており、その強化に取り組んでいます。

トーゴは、トルコとの関係を強化している最中の国であり、経済や投資といった両国が協力するに当たっての優先分野について話し合う機会となったとしています。また、AfCFTAからの恩恵などをトルコに与えるいい機会になったとされています。

コンゴは、今回のフォーラムの目的を既存のパートナーシップや戦略的な協力関係を深めていくこととし、特に「貿易、投資、物流、女性のリーダーシップ、健康、エネルギー、借入」といった分野に焦点を当てていたとしています。また、アンゴラとの間で「両国にとって良いwin-winな貿易上の合意」があるとしています。

各国はトルコとの関係の形成、深化に積極的で、特に貿易、投資、経済、物流といった分野への関心が高いことがわかります。

トルコとアフリカの繋がり

ここからは、アフリカとトルコの近年の関係性に関してご紹介します。

以前投稿したこちらの記事では、トルコが北アフリカに位置するリビアに物流センターを開設することで中央アフリカへの進出を目指していることが書かれています。リビアに物流センターができることで、輸送の大幅な時間短縮が見込まれ、リビアへの輸出額が増加すると見込まれています。トルコはこのように、アフリカへの進出拡大を目指してきました。

こちらの記事に書かれているように、トルコアフリカ経済ビジネスフォーラムが行われる前に、トルコのエルドアン大統領は、四日間アフリカに訪問していました。この訪問は、フランスなどの旧植民地勢力や中国のアフリカに対する影響力の拡大に対抗するためという狙いがあると考えられています。また、国民の99%がイスラム教徒であるトルコは、アラブ首長国連邦やエジプトといったライバル関係にあるイスラム勢力の影響の拡大に対抗するという外交政策を行っており、この政策も関係しているようです。

自国で多くの問題を抱えているエルドリアン首相にとってアフリカは、ビジネスや貿易の面で比較的成功を収めている地域といえます。

トルコの首都アンカラでは、ヨーロッパとの貿易にプラスして様々な地域との貿易を求めてきました。トルコの貿易は現状3/2がヨーロッパを占めますが、中東をはじめとする地域にも拡大していこうとしていました。しかし、アラビア、アラブ首長国連邦、エジプトとの関係が悪化し、治安状況も悪化していることから、近年ではアフリカへの進出を目指し始めています。

トルコは、オスマン帝国の崩壊と第一次世界大戦後にヨーロッパへ焦点を当てていたことから、トルコのアフリカ進出は保留されていました。アフリカへ何度も訪問するのに先んじて、エルドアン大統領のスピンドクターはオスマンやアフリカの王国、首長国、地域と強い歴史的なつながりをもつために時間や努力を重ねてきました。

トルコは、2005年以降アフリカとの関係を形成し始め、アフリカ連合のオブザーバーになりました。2008年には戦略的パートナーとなり、その年にアフリカの50か国の代表者が参加して最初のトルコ-アフリカパートナーシップサミットが商業首都イスタンブールで開催されたときに勢いを増しました。

アフリカにおけるトルコの大使館の数は、2009年に12個だったのに対し、現在では、43個もの大使館が存在します。また、トルコ航空はアフリカの39ヶ国に対して60にも及ぶ渡航先があります。また、トルコ国際協力開発庁(TIKA)は30近くの調整センターを持ち、トルコの対外経済関係委員会(DEIK)は、アフリカ諸国の半数以上と共同ビジネス評議会を行っています。

そして、関係の深化は着実に実を結んでいます。アフリカトルコ間の貿易額は、2003年に54億ドルだったのに対し、2020年には250億ドルまで拡大しています。20年以内に、アンカラのアフリカとの貿易額は、2003年の35億ユーロから2020年には200億ユーロへと5倍に増加したことも注目に値します。また、2003年から2020年にかけてトルコからアフリカへの投資額は合計60億ドルにまで及んでいます。

このように、トルコはアフリカとの関係を長い間構築してきました。その背景にはトルコがヨーロッパ以外に貿易を拡大することを目指しているということがあります。

今後もトルコはアフリカへの進出を拡大していくことが予想されます。アフリカにとっては、貿易・投資の機会となるでしょう。それぞれの国やAfCFTAとトルコの関係に今後も目が離せません。

関連・参考記事:

1.Africa-Turkey Forum to Promote Investment and Trade Under AfCFTA-Link

2.African Union sees ‘huge potential’ for trade with Turkey-Link

3.African states seeking to tap into Turkish investments at forum-Link

4.Turkey eyes development-based win-win strategy in ties with Africa-Link

5.Turkey’s Erdogan serenades Africa as ‘alternative partner’ to post-colonial players-Link

6.Erdogan pledges to double bilateral trade at Turkey-Africa summit-Link

7.アフリカ諸国の対外貿易およびeコマースセクターに関する話題【面白記事 Vol. 144: 2020年9月25日配信】-Link

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