知っていましたか?日本であまり聞く機会のないカメルーンですが、実はアフリカの経済を引っ張るポテンシャルを持った経済大国なのです。
アフリカにも、EUやASEANと比較できるような「地域経済共同体」があります。
アフリカの有名な地域経済共同体を思い浮かべると、何が思い付きますでしょうか?中でも、セネガル、コートジボワール、ナイジェリアなどの西アフリカの国々が加盟する「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」などは、聞いたことがあるかもしれません。
カメルーンが位置する中部アフリカにも、似たような地域経済共同体があり、これを「中央アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)」と呼びます。カメルーン、中央アフリカ、チャド、
赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国が加盟し、通貨同盟や関税同盟が結ばれているほか、これらの国の自国民は、パスポートなしにCEMAC圏内の国々を移動することができます。

↑ヤウンデで見かけたチャド(カメルーン北部に国境を接する国)のナンバープレートが付いた車。他にも、カメルーンでは中央アフリカ、コンゴ共和国、ガボン等のナンバープレートもたまに見かけます。
その中で、国土、人口、資源にも恵まれるカメルーンは、CEMACの経済大国として親分的な存在感を発揮しています。IMFのデータをベースにカメルーン経済の概況をまとめたフランス経済・財務省のサイトによると、2024年にカメルーン経済は、CEMAC全体のGDPの43%を占めています。カカオやパーム油などの農産物といった一次産業がGDPの19%を占め、特にカカオの生産に至っては、2024年に世界第4位の生産国となったそうです。次に、石油・ガス等の二次産業が27%を占め、残りの54%はサービス産業(通信、交通、宿泊業、交易、金融等)が占めています。
そんな大きな経済的ポテンシャルを秘めるカメルーンにて、6月12日から21日にかけて、およそ1週間にわたって「PROMOTE」と呼ばれるアフリカ産業振興の国際見本市が開かれました。主にカメルーンの中小企業や、カメルーン国内に進出する外資系企業、そして外交団や国際機関・援助機関などが出展しており、この1週間は非常に会場内およびその周辺が賑わっていました。
今回、この「PROMOTE」を実際に訪問しました。訪問時の様子や、現場で買ったもの、見つけた面白いものなど、ざっくばらんに紹介いたします。
「PROMOTE」とは?
前述の通り、「PROMOTE」はカメルーンのヤウンデで開催される国際見本市で、内容はアフリカ産業振興に関わるものです。出展団体の層は幅広く、MTN(南アフリカ系の通信大手)やYango(ロシア系配車アプリ)といった大企業もいれば、カカオ豆の加工品や民芸品などを販売する中小企業、カメルーンに進出する中国やポルトガル等の外資系企業、自治体や政府・省庁機関、ヨーロッパ系の外交団や国際機関、そしてJICAなどの国際援助機関が軒を連ねていました。国際色も豊かで、本見本市の開催前・開催期間中は、フランスの国際ニュース番組「France 24」でも、「PROMOTE」に関するCMが流れていたほどです。
この見本市は2002年に始まり、開催年はランダムで毎年開催というわけではないそうです。2026年が10回目の開催で、前回は4年前の2024年に開催されました。

↑PROMOTEの公式サイト。フォントが無駄に大きかったり、「出展団体リスト」と書いてある項目をクリックしても、結局リストが見れなかったり… と、使い勝手には問題ありです(汗)
いざ、イベント会場へ
「PROMOTE」の会場である「Palais des Congrès」へ。ヤウンデのゴルフ地区にあるこのコンベンションセンターでは、大規模なイベントがよく開催されています。2月に、世界貿易機関(WTO)の閣僚会議「MC14」がカメルーン・ヤウンデでありましたが、その開催場所がこちらの「Palais des Congrès」でした。敷地内には遊園地コーナーもあり、クリスマスシーズンになると諸々の催し物がでており、ファミリー等で賑わうエリアです。このコンベンションセンターは高台に位置しており、頂上からはヤウンデの街並みを見渡すことができます。

↑会場の入口。1回の入場料は500フラン(100円〜160円ほど)ですが、入場回数に制限のないフリーパスが2000フラン(500〜600円ほど)で販売されていました。そこまで頻繁に行くことはないので、今回筆者は500フランのチケットを購入。
入場してすぐの屋外コーナーには、カメルーン国内外の建設業の企業がブースを構えており、ビジネス関係者の商談が行われていました。その後、Palais des Congrèsの建物へ続く坂道を登っていくと、カメルーンの食品を取り扱う中小企業や小規模の個人商店のブースがありました。カメルーンには10の州(Régions)があり、各州から自慢の農産物の加工品が販売されていました。特に目立ったのは、カメルーン産カカオを使ったチョコレート、カカオのバター、カメルーンのフルーツを使用したジュース、ハチミツ、スパイスなどです。

↑出店ブースの様子。写真に映るのは、カメルーンの北西州(英語圏)で採れたハチミツを販売するブースです。
筆者はそこでローストしたカカオ豆と、すりつぶしたカカオ豆とココナッツを混ぜたお菓子を購入。カカオ豆のことをフランス語で「Fève(s) de cacao」(フェーヴ ド カカオ)といい、カメルーンを訪れた際にぜひ試してほしいお菓子です。チョコレートに加工される前のカカオ豆は、ほんのりチョコレートの風味もありつつ、苦味とナッツ風味を楽しめる、非常にヘルシーなスナックです。このカカオ豆を食べやすいように甘くしてあったり、胡麻や生姜をまぶしたりしてあるバージョンもあります。
ヤウンデでは、中心街にある「Centre d’Artisanat」にてこの「Fève(s) de cacao」を購入することが可能です。(購入する際には、値切り交渉をお忘れなく!これもカメルーン生活の醍醐味です。値切り交渉のコツについては、筆者の記事『【在住者が語る】アフリカのフランス語を学ぼう!話者増加で注目される仏語圏アフリカ、『カメルーン』のフランス語』の番外編にて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。)

↑筆者が購入したカカオ豆(Fèves de cacao)。すごく苦いのですが、僅かにチョコレートの風味とナッツのような旨みが口の中に広がります。仕事中や家で小腹が空いた際にポリポリ食べています。

↑「PROMOTE」には軽食コーナーもあり、匂いにそそられて鶏肉のシャワルマ(レバノン風ケバブ)を注文してしまいました。値段は2000フラン(およそ500円)で、プリップリに柔らかくジューシーな鶏肉が病みつきになる味でした。仏語圏アフリカにはレバノン人が多く住んでおり、シャワルマはストリートフードとして非常に人気です。訪れた際にはぜひお試しください!
15分ほど坂道を登ると、ようやくPalais des Congrèsの建物がある丘の頂上に到着します。ここには、カメルーン経済を代表する大企業がブースを構えていました。
写真・動画には撮っていませんでしたが、ロシア系の「Tradex」などガソリンの企業も進出しており、ブースにはガスボンベも売っていました。「わざわざここで買うのか…?」と思っていましたが、以外にガスボンベを購入して、頑張って(重たいと思いますが)担いで丘をおりている人を見かけました。

↑このようなガスボンベです。使用したことがある方はわかると思いますが、持って歩き回るなんて不可能な重さです!
Palais des Congrèsに入ると、本イベントのスポンサーのアフリカの銀行「Afriland First Bank」が大きなブースを構えていたほか、本イベントと深い繋がりがあるスイス大使館も大きなブースを設置しており、スイスのプロモーションを行なっていました。実は、この見本市はスイスに本部を構えるイベント運営企業が仕切っており、スイスと結びつきがあるそうです。
内部の様子については、スイス大使館のSNSの投稿をぜひご覧ください⬇︎

↑スイス大使館のFacebook投稿より。大々的にスイスおよび同国企業のプロモーションを行なっていました。ちなみに、余談ですが、カメルーンの現大統領(ポール・ビヤ大統領)は頻繁にプライベートや医療目的(診療・治療等)のため、スイス・ジュネーブに滞在することで知られています。
さて、Palais des Congrèsがある丘の頂上から、出入り口のある丘の麓へ降ります。帰り道にもブースがぎっしり出展しており、ヨーロッパの企業や政府系機関が出展する「欧州コーナー」、ベンチャー企業が出展する「スタートアップコーナー」、銀行が出展する「金融機関コーナー」といった形で別れていました。
筆者が欧州コーナーを覗いてみた時には、ちょうど欧州連合代表部の大使がブースを視察していました。EUの加盟国であるフランス、イタリア、ドイツ等の外交団、企業、開発機関がブースを出して、カメルーンでの活動やビジネスを紹介したり、訪問者と商談をしたりしていました。

↑中央に映る在カメルーン欧州連合代表部のジャン=マルク・シャテーニュ大使
また、個人的に面白かったのは「治安部隊」の出展コーナー。ここには、カメルーンの軍隊や憲兵隊、警察等が、実際の重装備、銃器(銃弾は入っていないと思います!)、軍事車両などを展示しているほか、実際にヘルメットや防弾チョッキなどの重装備を身につけてみる体験コーナーがありました。

↑憲兵隊のコーナー。木にかけたロープを使って、実際に登ってみる(アスレチック的な)体験コーナーがありました。

↑Bataillon Spécial Amphibie(BSA)という、沿岸部や河川、海域での作戦を専門とするカメルーン国軍の特殊部隊のブース。実際に重装備を身につけてみる体験コーナーがありました。

↑トヨタのランドクルーザーをカスタマイズした軍用車両。カメルーンを始めとするアフリカでは、トヨタ車への信頼度は抜群に高く、治安機関の御用達車両です。

↑交通違反をする車を取り締まる警察車両内にて、許可を得て写真をパシャリ。この車両には通信機器やモニターなどが備わっています。ドローンでスピード違反や違法な追い越しをする車を捉え、リアルタイムで映像をこの車両内で確認し、違法車両を取り締まるとのことです。
おわり
今回、筆者はあくまで一般の参加者として参加しましたが、PROMOTEには各企業や団体のブースにて商談するビジネスマンの姿が非常に目立ちました。食品業、建設業、通信業、自動車産業、金融業等、様々なセクターの国内外の企業および政府機関や国際機関が集う本イベントは、カメルーンの経済ポテンシャル、特にCEMAC圏のリーダー的存在であることを改めて実感させられた次第です。また、残念ながら(JICAを除き)日本企業の出展はありませんでした。
しかし、今後日本企業がカメルーンでビジネスを拡大したり、またカメルーンの現地のパートナー企業を見つけたい…といったニーズがあれば、PROMOTEのような国際見本市は非常に有益な場ではないでしょうか?

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