水曜日→「テクノロジー」、「イノベーション」、「スタートアップ」。 土曜日→「ビジネス環境」、「地域経済」。 それぞれを取り巻く環境に関連する記事を担当。 Twitter: @samuelima18

中国はAfCFTAを助けるもの?それとも妨げるもの?

英題:Will China help or hurt the AfCFTA?

記事リンク:https://www.theafricareport.com/61451/will-china-help-or-hurt-the-afcfta/

内容と背景:

Johns Hopkins大学(School of Advanced International Studies)のレポートによりますと、アフリカと中国との貿易額はここ16年間順調に増加しているようで、2019年は1920億ドル(2018年は1850億ドル)を記録したようです。中国のアフリカでの投資や開発事業への取り組みはよく報道されていますが、アフリカから中国への輸出も実は年々増えています。特にアリババのアフリカへの進出により、e-コマースサイトでのアフリカの製品の取り扱いが行われるようになり、アフリカの製品が中国の一般市民の目につくようになったことも予測されます。

記事の書き出しでは、中国の関係者がAfCFTAにとても好意的で、アフリカとの間に「win-win」関係を形成する取り組みになるとの意見を共有しています。そして、今年年始のWang Yi外相のアフリカへの公式訪問の際に、「(AfCFTA)事務局に対し、金銭的サポートと人材・能力育成へのサポートを提供する」と話したことも記されています。

実は中国の外相はこれまで31年間、年始最初の海外公式訪問先としてアフリカを訪問しているのです。今年の訪問の際には、「必要なときにそばにいる友達こそが本当の友達(a friend in need is a friend indeed)」と、また、この31年間の行動こそが中国のアフリカに対する友情の表れと表現し、変わらぬアフリカへのサポート・協力関係構築を強調しています。

そして記事では続いて、AfCFTAへの中国の関わり方は主に2つの可能性が考えられるとしています。その2つの可能性とは、貿易における可能性と、インフラ整備における可能性です。

道路や通関両方でのソフトとハード面のインフラを整えなければAfCFTAの特徴を最大限に引き出すことができないという、AfCFTAの事務総長、Wamkele Mene氏のFinancial Times紙へのインタビューでの発言を紹介しています。これまで中国がアフリカで道路や鉄道(特にケニアを中心としたイニシアチブ)、そしてその他のインフラ事業への取り組み・サポートに積極的に参加していることを引き合いに出し、そして、中国政府が2013年に打ち出した「一帯一路(The Belt and Road Initiative)」政策を通した、中国―ヨーロッパーアフリカ東岸を繋ぐ取り組みに力を入れていることも紹介されています。

しかし、この貿易インフラの整備において、アフリカが中国以外の国々・地域・大陸との貿易が容易になることなどから、中国だけでなく、他もその利益を得られるとしているものの、中国政府がアフリカの国々の負債の多さからただ単にお金を貸すことに対しては乗り気ではないのではないかとしています。ただ、この貿易航路が出来上がることで、アフリカからの原料の輸入に一番利益を得られるのが中国になるだろうとしており、そこにこそ中国の思惑があるのではないかと記事では書かれています。

記事では、そこにこそ、AfCFTAと中国との関係が相容れないものになるものになる原因となるだろうとしています。AfCFTAが大陸内での貿易の活性化、製造業の発展を目指しているものであるのですが、中国からの安価な品々の輸入によって、アフリカの国々で作られた製品の大陸内への輸出量の減少に繋がっていることを指摘しています。

その例として、ケニアのセメントの近隣、東アフリカ共同体の国々への輸出量の減少を挙げています。ウガンダやタンザニアでの中国製のセメントの輸入量が60%増加したのに対し、ケニア製のものは、市場に出回る4〜6%程度に収まっていると共有しています。

同時に記事では、国際貿易業者協会(International Cross Border Traders Association)の代表、Dennis Juru氏の発言(「アフリカ製品だけを買うというAfCFTAのマインドセットは効力を持たないだろう。中国以上にアフリカの製品を安価な方法で貿易網に乗せてくれる国がいないことを貿易業者の一人として認めないわけにはいかない」)も紹介しています。安易に、中国の安価な製品がアフリカ産の製品をアフリカの市場から押し出してしまうと考えるだけでなく、こればもつ可能性を見つめ直そうと言っているようにも思えます。

そこで記事では、以前こちらでも共有しました、原産地規則での「Made in Africa」の現在の状況に合わせた再定義がカギを握るとしています。実際、原産地規則に関する話し合いは完全には終わっておらず、この夏頃までには完結するだろうとされています。

記事ではまとめとして、二つの点をあげ、AfCFTAによって中国のアフリカでの影響が小さくなることはないのではないかとしています。

その一つは、AfCFTAの最大の効果が引き出されるまで、まだ10年くらいはみた方がいいのではないかという意見。そして二つ目は、たとえアフリカでの製造業が成長したとしても、アフリカでの需要を満たしきることはできないのではないかという意見です。

しかし、先にもあげていますように、中国からの安価な製品のアフリカ市場への流入による地元産の製品の流通への影響は否めません。そして、加工業が未発達なアフリカにおいて、加工業を発展させることは急務であると同時に、原産地規則のアフリカの現状、未来に沿った再定義の必要性が再確認できます。

AfCFTAでの取引がされるようになったことで、今後他の大陸や地域との関連が見えてくるはずですので、引き続きお届けしていきます。


関連記事:

  1. AfCFTA、今はどういう状況?【Pick-Up! アフリカ Vol. 100:2021年2月7日配信】」 – Link
  2. やはり時間がかかるのかAfCFTA?!【Pick-Up! アフリカ Vol. 77:2021年1月9日配信】」 – Link
  3. 「Trade between China and Africa dropped 14% in the first quarter and could get worse」 – Link
  4. FM kicks off Africa visit in new year for 31 straight years, showcasing the unshakable friendship」 – Link

ご相談・お問い合わせ

アフリカ・ルワンダへのビジネス進出をご検討の際は、当サイトの運営に関わっているレックスバート・コミュニケーションズ株式会社までご相談・お問い合わせください。

コメントを残す