日本ルワンダビジネスコミュニティ(JRBC)運営メンバーの一員。面白記事では主にロジスティクスやサプライチェーン、また農業分野などを担当させていただきます。

みなさま、こんばんは!

本日は気候変動の影響にまつわる話題として、気温の上昇が東アフリカの畜産業に与える影響、またその対応措置に関して紹介している記事をピックアップしています。

ぜひ関連記事と合わせてお読みください。


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記事:「東アフリカの畜産業に影響を与える気温上昇」

「Increasing temperatures will hit meat and milk production in East Africa」

記事リンク:

https://phys.org/news/2021-02-temperatures-meat-production-east-africa.html

内容と背景:

本日は農業分野における気候変動の影響に関する話題をご紹介いたします。

本日ピックアップしている記事では、食品の生産、加工、流通、消費に関する自然科学、応用科学、また社会科学分野での研究論文やレポートを掲載しているオンラインプラットフォームNature Foodにこの度新しく掲載された研究の内容を紹介し、気候変動に起因する気温や湿度の上昇が、今後東アフリカでの畜産業の生産性に大きな影響を及ぼすとの見解を示しています。

研究では東アフリカの畜産業の4~19%は、現在2071年から2100年にかけて過度な気温の上昇が見込まれている地域で行われているとの分析結果を示しており、直接的な措置を即時に講じない限り、東アフリカの多くの土地が将来的に豚や家禽、乳牛の生産に適さなくなるだろうと警告しています。

一方で、特に暑さなどの気候条件に適応した生産性の高い品種の導入や、家畜を熱から避難させるシェルターの導入、また十分な水へのアクセス確保などデータに基づいた気候適応により、東アフリカでの畜産業を将来的に成長させることは可能であるとの見解も示しています。

記事では研究内での分析に加え、家畜の専門家であるAn Notenbaert氏の言葉も紹介し、気候変動に対応した措置を講じる必要性を強く強調しています。ルワンダやケニアでは自国で高まる牛乳の需要を満たすために近年輸入品種を導入する方向に動いているなか、Notenbaert氏は輸入品種はアフリカ原産の品種よりも多くの牛乳を生産する一方、暑さに弱い場合があると述べ、気温の上昇に対応すると同時により多くの肉や牛乳を生産できる品種の導入が必要であると強調しています。

さらにNotenbaert氏は、気温の上昇に起因する畜産業での生産性低下が及ぼす経済的損失の定量化、また気候適応に向けた投資計画の立案が現在早急に取り組むべき課題であるとも述べています。

気候変動のもたらす畜産業への影響はアフリカに特化した話ではなく、世界的に対策が求められている課題であると考えられますが、その中でも特にアフリカにおいて対策を講じることが特に重要である背景には、食料と栄養の安全保障維持、また人口増加に対応した供給量の維持という2つの課題が存在すると考えられます。

1つ目の関連記事によると、世界保健機関(WHO)が90kgの成人男性が1日に必要とするタンバク質は75gであると推奨するなか、2005年から2007年時点でアフリカではその消費量は1日一人当たり62gとなっており、これはWHOの推奨値を大きく下回る結果となっています。現在は中所得者層の増加などにより一人あたりのタンバク質消費量は増加していると予想されるものの、世界的にみるとその消費量が少ないアフリカでは、気候変動による畜産業の生産性低下は食料と栄養の安全保障をさらに脅かす可能性があり、早急に対応が求められる課題であると言えます。

また2つ目の関連記事によると、アフリカの人口は2050年には現在の13億人から25億人に増加すると見込まれています。3つ目の関連記事で2015年から2050年の間に牛肉の消費量が200%、家禽が211%、豚肉も200%増加するだろうと紹介されているように、アフリカでは人口の増加とともに動物性タンパク質の消費量も将来的に増加すると見込まれており、気候適応による肉や牛乳の供給量維持および増加は必須の課題であると考えられます。

今回紹介されている研究では気候変動のなかでも気温の上昇という項目のもたらす影響にフォーカスして分析が行われていますが、干ばつや洪水など他の気候変動項目も飼料生産や給水、病気や害虫の増殖という観点で農業分野に影響を与える可能性があると考えられます。気候変動対策を講じるとともに、先端技術を活用した効果的かつ効率的なサプライチェーンの確立も重要な課題を言えそうです。

関連記事ではアフリカでの畜産業の可能性や動物性食品の消費量などに関して詳しく解説されています。アフリカでの気候変動に向けた取り組みを紹介している以前の投稿と合わせてぜひご覧下さい。

関連記事:

  1. 「Africa in the middle of a true protein revolution」Link
  2. 「Dietary protein quality and malnutrition in Africa」Link
  3. 「Raising The Steaks: Africa’s booming meat industry」Link
  4. UNDPがボツワナで気候変動対応型農業に投資【Pick-Up! アフリカ Vol. 67 :2020年12月22日配信】Link
  5. UN WomenとStandard Bankが南アとマラウィで女性のエンパワーメントを目指す農業開発プロジェクトを実施【Pick-Up! アフリカ Vol. 38:2020年11月17日配信】Link
  6. 気候変動対策や生物多様性維持に向けた世界銀行の新投資計画とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 84:2021年1月19日配信】Link
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