ケニアは世界のFinTechのハブになってきている

英題:Kenya is becoming a global hub of FinTech innovation

記事リンク:https://furtherafrica.com/2021/02/21/kenya-is-becoming-a-global-hub-of-fintech-innovation/

内容と背景:

昨年のアフリカのスタートアップにおける投資に関してのデータをお届けしてきましたが、昨年だけでなく、近年アフリカのスタートアップ投資ではFinTech分野が投資総額の大部分を占めてきました。また、昨年に関してはPartech Partners社のレポートによると、Fintech分野は3億5600万ドル(全体の25%)を計上したようです。

そして国別に見たときは、ナイジェリアの3億700万ドルに次ぐ、3億400万ドルがケニアには投資されました。ここに南アフリカ(2億5900万ドル)と、エジプト(2億6900万ドル)で昨年の14.3億ドルのうち約80%がBig4で占められているのが見て取れるのではないかと思います。

さて、今回ご紹介します記事では、ナイジェリアやケニアでのFintech分野の飛躍から、アメリカの銀行やFintech企業がこの地域で起きていることに目を向け、学ぶべきだと提言しています。記事では、Fintechの爆発的な発展に触れ、これがVCや伝統的な金融機関、政府の働きによるもので実現しているのではなく、一般的なスマートフォンユーザーがこの市場へのアクセスを持っていることがこの流れをさらに押し進める一因になっているとしています。そしてIMFの報告・予測を引用し、2010年代前半ではこの分野で500億ドルと予測していたものの、その後の2010年代後半ではそれが3桁の伸びになるとの予測をしています。

そしてさらに記事では、このFintechの発展が何もここ数年での動きではなく、その前の数十年間のイノベーションの積み重ねであるとして、それぞれの年代を紹介しています。その中で、当初はアメリカで起こっていた同分野でのイノベーションが、近年ではそのアメリカが少し他の国などの後塵を拝するような状況になっているとしています。そしてその裏には、アメリカの中で「Good enough」という停滞状況を及ぼす空気になったことを指摘しており、それを脱出するという意味でも「今のFintech」がある状況を学ぶことが必要なのでは?として今回の記事が書かれているとしています。

最初にFintechの起源が紹介されており、一つ目の波として、アメリカで1950年代に発行されたDiners Club Cardによってお金の使い方が変わったとしています。それによってシームレスな支払いができるようになっただけでなく、消費者の信用を新たに決める術を提供するというところでも画期的だったとしています。1960年代からの紹介は、預金時に使う封筒がイノベーティブだったようです。この封筒は自動的に識別し、預金をした人の口座に入るような仕組みになっており、ATMの原型となったようです。

そしてその流れが1990年代のインターネットの出現によって違う流れになったとしています。

そして二つ目の波として、近代的なFintechが出現してきたことを紹介しています。これは2000年代から始まった波のようで、アジア、特に中国から汚見だったと紹介しています。銀行が一般的でなかった社会でこのような動きが生まれたとしており、スマートフォンであったり、そこに実装されるアプリケーションが中心となった動きです。

そして現在あるのが三つ目の波ということで、より携帯電話で行うことを主軸としたFintechの発展がそれに当てはまるとしています。そして、国連によると、世界で「Least developed country」にカテゴライズされる47か国中33か国がアフリカの国ということで、彼らを巻き込んだ「包括的」な金融システムを作り上げることがこの場合の特徴とされています。

この三つの波の差というのを、この記事では技術への依存度にあるとしています。アフリカのFintechは技術というより、「携帯電話」を中心に作られているのがこれまでとの違いとしています。そんな中で、ケニアが一番の良い例として紹介されています。国の人口と比べ、携帯電話のサブスクリプションは12%も多いようで、そういうのが一つの例としてあり、また2007年のM-Pesaの登場なども、これを活用したものだったとしています。

そして今あるのが、EquitelがこれまでM-Pesaが築いてきたものを、その限界に挑もうとしているとして紹介されています。彼らの特徴は、銀行(Equity Bank)から生まれた電話通信会社であるということのようで、これまでのFintechのあり方に違った角度から取り組んでいるとしています。

アフリカで起こっている流れとしては、今後も増える携帯電話のサブスクリプション、そしてそれを獲得していく人たちが元々フォーマルセクターであったり、伝統的な金融システムに所属しているような人たちでなかったことに着目し、彼らを巻き込んでいくようなソリューションを提供していることがこの場合の特徴とも言えます。

これらを元に、アメリカの金融、Fintech分野が失敗していること、気にすべき点を共有し、それらを元に何を学ばなければならないのか、そしてそれらを可能な限り早く会得しなければいけないとして記事が締め括られています。

この記事からは何よりも、今起きているFintechの流れが世界がケニアやアフリカに学ぶことを示唆しているところが面白いのではないでしょうか?記事を読むことで、なぜアフリカのFintechに多くの投資が集まるのか、そしてそこから見えるアフリカ大陸外への技術の輸出へとつながる可能性も感じられます。

関連記事では、ここ最近扱ってきましたFintech関連の記事をお届けします。

お楽しみください!


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  4. 「2020 Africa Tech Venture Capital Report」Link
  5. Kenya’s mobile money transactions reach £34B in 2020」 – Link

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