皆さん、こんばんは!

水曜日はスタートアップ、イノベーション、テクノロジー関連のニュースをお届けしています。

今日は先週お伝えしましたように、2020年のアフリカのスタートアップへの投資に関してのデータを共有します。

主に3つの異なった団体からのレポートを共有します。

一つ目はこれまでも報告してきました、Disrupt Africaのレポート、2つ目は、昨年12月時点ですでに出ていたWeTrackerからの記事、そして3つ目はTechpoint Africaの記事が伝える、Briter Bridgeのレポートです。

お楽しみください。


アフリカのスタートアップ投資の投資先は多角化しているものの、やはり強し4強!

英題:African startup funding is heading to more destinations, but “big four” still collects lion’s share

記事リンク:https://disrupt-africa.com/2021/01/26/african-startup-funding-is-heading-to-more-destinations-but-big-four-still-collects-lions-share/

内容と背景:

Disrupt Africa

Disrupt Africa紙の記事によりますと、昨年はアフリカ各国からこれまで以上の数のスタートアップ企業が投資を得、その投資額が7億100万ドルに達したと伝えています。さらにその中でも、アフリカのBig 4と言われる、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、そしてエジプトがその投資の大部分を占めたと伝えています。

彼らは2019年と比較し、大きな増加があった一年と共有しており、特に、投資を得られたスタートアップ企業の数が、2019年よりも約27%増え、397社になり、投資増額は42%増を記録したとしています。

2017年とも比較しており、その当時はエジプトを入れない、Big 3の活躍が大きかったところから、近年の同国の同分野での存在感の増加から、エジプトを加えた、Big 4へと名称を変えたことも伝えています。実際、397社のうち、307社(全体の77.3%)がこの4ヶ国からのスタートアップというデータも示しているように、彼らのスタートアップシーンでの活躍は想像できます。また、これに伴う投資額は、全体の実に89%と明らかな強さがみて取れます。

記事では、さらに、この上の国々のパフォーマンスに関しても進言しており、ケニアが一番投資金額を多く集め、全体の約27%(約1億9138万ドル)を占め、スタートアップの数が59であることからは、それぞれがより多くの出資を受けたことがわかります。

ナイジェリアに関しては、投資を受けたスタートパプの数は多いものの(85社)、その金額はケニアのそれよりも少なく、約1億5千万ドルで全体の21.4%を占めているようです。

南アフリカは、81のスタートアップが約1億4千万ドルを集めたようです。2019年と比較し、スタートアップの数の増加は小さかったものの、金額自体は2倍の増加が見られたと共有されています。

そして、一番大きな成長を記録したのが、エジプト記事では共有されており、2015年当時は5社だけだったところから、大きく成長し、82社になったようで、実にその成長率は1500%以上になるようで、今では4強の一角を担っているだけに、今後も期待が持てるのではないでしょうか。

アフリカ全体に目を向けると、この上位の国占める割合は2019年の約83%に対し、2020年は約77%となっていることから、他の国成長も大きいようで、2017年〜2019年と比較し、これらのスタートアップのある国の数も年々増えており、それぞれ18カ国→20→19→24カ国(2020年)となっていることからも、アフリカ全体として、有望なスタートアップを輩出している傾向が高まっているようにも見えます。

4強の外では、ガーナが一番パフォーマンス良かったようです。同様にウガンダや北アフリカの国々のパフォーマンスも全体的に良かったようで、これから戦国時代のようなことが起こるのではないかと期待が寄せられます。

投資の方にも記事では目を向けており、大きな傾向として、全体の投資額に占める4強に拠点を構えるスタートアップにやはり多くの割合が向かっており、投資にありつけるスタータップの数や、それらを輩出している国の数は増えているものの、コロナの影響もあり、投資からはリスクを回避するという意味で少ないスタートアップの数への投資で、より大きな金額を投入したことが見られます。

ただ、大陸全体で、資金調達ラウンドは110回行われたようで、2015年と比較し大きな成長だったようです。

さて、ここまではDisrupt Africaの記事をお届けしてきましたが、冒頭にも共有しましたように、他の記事からも少し情報をお届けします。


WeTrackerの場合:

記事リンク:https://weetracker.com/2020/12/28/african-venture-capital-2020-africo-weetracker-report/ 

スクリーンショット:WeTracker (African Venture Capital Stands At USD 757.29 Mn In 2020 – AfriCo & WeeTracker Report)より

上記のDisrupt Africaとは少し違う数字がこちらでは伝えられており、彼らは478のディールから、約7億5729万ドルの資金調達があったと伝えています。数字の違いには、彼らに機密開示という形で、資金調達の報告を彼らが独自で得た情報が含まれているようです。また、インキュベーションやグラント、そして何かしらのチャレンジで得られる賞金などもこの数字には含まれていると発表しています。

こちらでは、これまでの投資傾向との違いとして、アフリカのスタートアップ企業のエグジットがより明確化してきたこと、そして、投資家らの投資傾向が少し変わってきたことを共有しています。特に、ここ数年の経験から、投資からがリスクの取り方などを学んでいるのではないかとまとめると同時に、シード期のスタートアップ企業にコロナ環境下で90以上のディールが見られたことが良い傾向だとしています。


Techpoint AfricaのBriter Bridgeレポート解説記事

記事リンク:https://techpoint.africa/2021/01/11/african-startups-raised-1-3b-briter-bridges/ 

元記事:「African startups raised at least $1.3b in 2020, according to Briter Bridges」より

こちらではさらに数字が大きくなり、約13億ドルの投資が2020年アフリカのスタートアップ向けに行われたと伝えるBrighter Bridgeのレポートを伝えています。インターネット調査で情報を網羅的に集めた結果このような大きな数字になったと伝えられています。しかし同時に、この数字の大きさからもしかしたらレポートを発行したBrighter Bridge社がアフリカ全体の投資構図を理解していないのではないかという声も聞かれるものの、アフリカから届く投資関連の情報が毎年正確ではないことや、投資環境がまだ完全にマッピングできるものではないことを指摘し、その理由から数字が完全なものにならないことがあるとしています。

投資の傾向に関しては、コロナの影響が強くなり始める前までは、投資が活発だったこと、しかし、7月までは投資家が状況整理、そして投資のためのデゥーデリジェンスの方法に変化を加えたことなどをあげ、2019年と比較し、11月を除き7月〜12月までいい勝負をしていたと指摘しています。

彼らの記事はもう少し踏み込んでおり、分野では、2019年に続きFintech分野がより大きな投資(全体の約31%)を集めたとしています。特にこの分野ではM&Aの話題も大きく伝えられただけに、そしてコロナ環境下人との接触を控えるよう政府からの推奨があったことも手伝い、多くのソリューションが誕生し、それと同様に投資が行われたことは容易に想像できるのではないでしょうか。

Fintechに次いだのはClean Tech(全体の22%)のようで、近年のSGDsや温暖化などの気候変動、環境問題に取り組むプロジェクトへの投資の増加を指摘しています。

さらにはHealth techが分野では3位となり、全体の9%を占めたと解説記事では伝えられています。

そして最後に、記事では、Briterのレポートの中で特に他の企業のレポートや、記事との違いとして、昨年も共有しましたように、その企業の本社の所在地とオペレーションをしている土地、そして登記しているところなどの細かいデータを合算していることを伝えています。というのも、「アフリカの企業」が何を意味するのかに目を向けることで、投資がどのように行われているのかがよりはっきりするという考えがその裏にはあるようです。

記事ではさらにこの考えのもと2020年の投資状況を見ると、投資を集めた国はなぜかアフリカのはずなのに一位にアメリカが来るのです。順番では、アメリカ、南アフリカ、モーリシャス、イギリス、ケニア、ナイジェリアという順番になるようで、以前の記事で、会社登記を海外にすることで、その国の投資家からの投資が得やすくなるというのが影響しているようで、その影響もあり、2019年の投資額が膨れ上がったのにはそのような要因もあるのではないかと伝えています。


とても長くなりましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?

それぞれ違った情報を伝えており、アフリカのスタートアップシーンの全体把握の難しさであったり、ここ近年の成長度合いの高さ、そしてダイナミズムであったりが少しでも読み取れるのではないでしょうか?

近年、この界隈では話題にもなる、スタートアップ法を制定したチュニジアやセネガル、これからの制定が期待されるガーナやルワンダ、DRCなどが今年どのようなパフォーマンスを見せてくれるのかなども楽しみなところです。

実際チュニジアなんかはすでに結果が出始めていると言われているだけに、今年のレポートでは高いパフォーマンスが期待されます。

本来でしたらそれぞれに時間を割くべきではあるかもしれませんが、今回のように同時に伝えることで、そして比較することで少しでも全体把握の役に立てばと思います。

引き続きこの分野の解説記事をお届けしていきますので、お楽しみに!


関連記事:

  1. Disrupt Africaの2021年1月発行予定の投資レポートの続報!【Pick-Up! アフリカ Vol. 68:2020年12月23日配信】Link
  2. 2020年のアフリカのスタートアップ界隈の話題は?【Pick-Up! アフリカ Vol. 74:2021年1月6日配信】Link
  3. 「誰がより投資を受けているの?」《アフリカのスタートアップへの投資の現状と傾向 其の1》【面白記事 Vol. 85(2020年7月15日配信)】Link
  4. 「誰がより投資を受けられるの?」《アフリカのスタートアップへの投資の現状と傾向 其の2》【面白記事 Vol. 100(2020年8月5日配信)】Link
  5. 「アフリカのスタートアップの外国での登記。その裏には?」《アフリカのスタートアップへの投資の現状と傾向 其の3》【面白記事 Vol. 106(2020年8月12日配信)】Link
  6. スタートアップ企業と投資家の関係《アフリカのスタートアップへの投資の現状と傾向 其の6》【面白記事 Vol.148(投稿:2020年9月30日)】Link
  7. ポスト-コロナのアフリカで盛り上がるテック分野は?【Pick-Up! アフリカ Vol. 85:2021年1月20日配信】Link
  8. アフリカでのスタートアップ法への期待【Pick-Up! アフリカ Vol. 62:2020年12月16日配信】Link

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