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記事リンク:https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-09-09/new-trade-idea-for-south-africa-is-debt-relief-for-climate-goals

内容と背景:

今回は、南アフリカで進められている気候変動への新しい取り組みについて書かれた記事を紹介します。

現在、アフリカではエネルギーの確保が求められる一方で環境問題にも取り組まなければならないという大きな課題を抱えています。アフリカでは石炭でエネルギーを作り出していることが多く、この方法はほかの化石燃料に比べても二酸化炭素の排出量が大きくなっています。これは、アフリカでも問題となっている気候変動に影響を及ぼしています。世界規模で問題となっている環境問題に取り組まなければならないため、現在の石炭に頼るエネルギー生産方法からより環境によい方法へのシフトが必要とされています。

しかし、現状のアフリカでは生産方法を変えるだけの資金が足りていません。そのため、自身ではこの動きを進めることができていません。

そこで、環境問題・気候変動を対処することを条件として投資を行う動きがでています。この動きは、気候変動を防ぐ活動に同意し、国際的に定められた目標の達成を目指す国々を対象として、エネルギーの生産方法を現在の石炭を動力としたものから、より環境によい方法へシフトする場合、債務救済を行うというものです。

こちらの記事では、「債務環境スワップ」について紹介されています。環境保全への投資を条件に先進国などが債務を減免することで、気候変動と債務の「二重の危機」に対応し、途上国の気候変動対策の加速につながる可能性があると指摘していることが書かれています。

また、こちらの記事では、世界銀行がサハル地域の11カ国に対して投資するということについて書かれていました。2021年1月の時点では、2025年までの5年間で50億ドル以上の投資を行っていくと発表していました。その資金は再生可能エネルギーにも投じられることになっており、気候変動による影響への対処が含まれていました。

今回の記事では、環境に配慮したエネルギーの生産を目指して、それを実行しようとしている南アフリカに債務救済を行うということが紹介されています。

南アフリカの副財務大臣や南アフリカ共産党でもこの債務救済措置はマニュフェストとして取り上げられており、「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」(COP26)でも議題にあげられる予定です。

今までには、南アフリカよりも小規模で環境保護と債務免除が行われた例があります。記事によると、既にポーランドでは、30億ドル、セーシェル共和国では3000万ドルの規模で、債務免除と保全対策のやり取りが行われているということです。

しかし、今回の記事で紹介している南アフリカの場合は課題が山積みのようです。

今回、この記事を書くにあたり社内でちょっとした議論が起こり、その中で二つの懸念点があげられました。

一つ目は債務救済後に自立できるか不透明な点です。

現在、南アフリカで95%のシェアを誇る電力会社はEskomという会社です。この会社は現在でも高水準の債務の返済費用、一次エネルギーの費用の増加、および未払いの地方自治体の債務といった理由で負債をかかえており、その財政状況は深刻です。そのため、債務救済を受けたとしても、その後Eskomが財政をうまく回せるかはわからない状態です。

また、より環境によい方法に変えることで、要求される技術が高くなり、コストがかさむことも予想されます。それにより、現在よりも負債が大きくなる可能性があると考えられます。

二つ目は、債務救済を対外に求めなければならない点です。

現在、Eskomにお金を貸しているのは南アフリカですが、南アフリカには債務救済を行えるほどの資金がない状態です。そのため、必然的に国外からの助けが必要となり、その構造は複雑になると考えられます

また、関連記事であげているこちらの記事では、そもそものこのアイディアを検証しており、問題点があることを明らかにしています。このアイディアを行うには、債務救済を行う国は、経済状況やガバナンスを考慮したうえで、環境問題の対応という面で目標としていた結果をださなければなりません。しかし、債務救済を受ける国は、債務救済に焦点を置いており、気候変動の対処に追われていない可能性があります。また、債権者側もソブリン債を持つものにスワップに参加してもらうことで、すべての利益を得ようとしています。このことから、債務救済による気候変動の対応は各々が利益を求めることで達成できない可能性があると示しています。

このように、債務救済によって気候変動を改善することができるかどうかは定かではないと考えられます。今後、南アフリカ以外でもこのような動きが出てくるかもしれませんが、ほかの方法も吟味し、最善の方法の選択が必要になってくると考えられます。今後の動向を見守りたいと思います。

関連・参考記事:

  1. Opinion: Debt-for-climate swaps — are they really a good idea, and what are the challenges?, devex-Link
  2. With debt-for-climate swaps in Africa, timing is crucial, devex-Link
  3. アフリカの気候変動への取り組みは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 82:2021年1月16日配信】-Link
  4. 気候変動対策や生物多様性維持に向けた世界銀行の新投資計画とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 84:2021年1月19日配信】-Link
  5. IMFと世銀、「債務環境スワップ」の選択肢提示へ 11月までに, REUTERS –Link

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