みなさま、こんばんは!

本日はデジタルトランスフォーメーションに向けた動きとして、COMESA(東南部アフリカ市場共同体)がデジタル金融包摂を促進するため、新たな単一決済ポリシーの整備を計画しているという話題をご紹介しています。

ぜひご覧ください。


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記事:「COMESA:中小企業向けデジタル金融包摂を促進へ」

「COMESA Business Council backs digital financial inclusion for small businesses」

記事リンク:

https://www.theeastafrican.co.ke/tea/sponsored/comesa-business-council-digital-financial-inclusion-3278706

内容と背景:

現在コロナ禍で世界中の民間セクターがビジネスモデルを変容させ、社会に適応させるのに苦労するなか、デジタルトランスフォーメーションが産業の存続に不可欠であることは周知の事実であるかと思います。

そんななか本日ピックアップしている記事では、デジタルトランスフォーメーションにおいて金融へのアクセス、eコマースプラットフォームへのアクセス、またデジタルサプライチェーンの強化などが課題となってきたアフリカでは、持続可能な経済成長を促進するため、特に中小企業向けに手頃で付加価値のあるデジタル金融サービスへのアクセスを強化すべきであるとの見解を示しています。

またその上で、COMESA(東南部アフリカ市場共同体)が現在東南部アフリカ貿易開発銀行(TBD)と協力し、共同体圏内でデジタルファイナンシャルインクルージョンを強化しようと、「The Single Retail Payments Policy for Micro Small and Medium Enterprises」と呼ばれる中小企業向けの単一小売決済ポリシーの草案を作成していると紹介しています。

デジタルファイナンシャルインクルージョンは日本語でデジタル金融包摂と呼ばれ、これまでサービスから除外され、あるいは十分なサービスを提供されなかった層がデジタルを通してフォーマルな金融サービスへアクセスし、サービス利用できるようになること、を意味しています。今回COMESAが新たな単一ポリシーを整備しようとしている背景には、デジタル金融包摂を促進することで、デジタル決済および金融市場インフラを多様化させ、中小企業らによる金融サービスへのアクセスを加速し、貿易を活性化させようとしている狙いがあると考えられます。

東南部アフリカ諸国を中心に19カ国が加盟し人口5億8,300万人をカバーするCOMESAは、西アフリカ諸国経済共同体や中部アフリカ諸国経済共同体などと並び、アフリカの重要な経済共同体の一つとなっています。しかしCOMESAでは現在域内貿易が20%未満にとどまっており、今回作成される単一ポリシーの活用によるデジタル決済の促進は域内の貿易を大きく活発化させるだろうと期待されています。

記事によると、現在COMESAで作成されているポリシーは、中小企業がいつでも、どこでも、どのデバイスでも、どのチャンネルからでも金融取引を開始および完了できるようにすることをビジョンに掲げており、その領域には、マネーロンダリングの防止、電子取引の強化、デジタル金融サービスプロバイダーの相互運用性強化、サイバーセキュリティの強化、消費者保護ガイドラインの作成、ノンバンクおよび銀行決済システムの運用ルールの作成、国家金融包摂の枠組み整備、モバイルマネーガイドラインの作成と、8つの政策分野が含まれるようです。

記事ではデータとお金が十分に保護された状態で国境を超えた取引が実施されるよう、これらのうち特に消費者保護ガイドラインの作成とサイバーセキュリティの強化が重要であるだろうと紹介しています。

さらに記事ではルワンダ情報協会の最高経営責任者(CEO)であるInnocent Muhizi氏の言葉を紹介し、加盟国内で単一決済ポリシーを適用させるには、金融規制当局や製造業者などを含む民間部門で構成される複数の利害関係者のワーキンググループが、ポリシーが国内の法律と相反していないか、また地域内のイニシアチブを十分に補完しているか、確認する必要があるとの見解を示しています。

1つ目の関連記事に記載があるように、零細および中小企業はアフリカ経済の80%を占め、総人口の70%を雇用しているにも関わらず、国境を超えたデジタル決済を可能にするプラットフォームが僅かしか存在しないために、依然として競争力が低いままとなっています。このような課題に対処し、正式市場(フォーマルセクター)への中小企業らの参加をさらに促進するために、この度COMESAは新たな単一ポリシーを整備しようとしていると考えられます。

これまでPick-Up! アフリカでもご紹介しているように、今年からアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用も始まっており、アフリカでは単一市場を形成し、大陸内の貿易を活性化させようとする動きが盛んであると見受けられます。

1つ目の関連記事に記載があるように、実は本日ご紹介しているポリシーの整備は昨年10月ごろから具体的に計画されているものであり、今年に入ってからCOMESAビジネスカウンシル(CBC)にてその草案が具体的に詰められているようです。比較的新しい動きであるだけに、今後もその動向を追っていきたいと思います。

本日ピックアップしている記事では、新ポリシーに期待することとして、CBCの議長Marday Venkatasamy氏や、TBDの代表であるAdmassu Tadesse氏の言葉も紹介されています。かなり読み応えのある記事となっていますので、ぜひご覧ください。

関連記事:

  1. 「MSMEs make up 80% of African economy, employ 70% of total population: COMESA」Link
  2. 「COMESA to develop a regional digital common payment scheme for small businesses」Link
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