★目次★
こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
今回は、国際的な注目を集めている「クルーズ船でのハンタウイルス集団感染」とアフリカの関わりについて、ポイントを絞ってお伝えします。
ハンタウイルスについて
まず、ハンタウイルスについて説明していきます。
日本感染症学会の解説によると、原因となるウイルスは、ブニヤウイルス目、ハンタウイルス科のオルソハンタウイルス属に分類される「新世界ハンタウイルス」です。
具体的には、シンノンブレウイルス、アンデスウイルス、ラグナウイルスなどが含まれます。
ハンタウイルスは、ネズミの排泄物(糞、尿、唾液)を吸入することで感染するのが主な経路です。
しかし、汚染された物品との直接接触、飲食による感染、感染したネズミに咬まれたり引っかかれたりした場合も報告されています。また、(アンデスウイルスによる)ヒトからヒトへの感染例も報告されています。
過去には、南北アメリカ大陸で発生が確認されています。
米国では1993年から1997年時点で164名が確認され、そのうち致死率42%である。日本での確認はされていません。
潜伏期間は9〜33日で、初期症状として発熱、倦怠感、筋肉痛などが現れ、進行すると肺水腫や呼吸困難を伴う重篤な症状を引き起こします。
致死率は現在有効なワクチンや特異的な治療法は存在しないため、集中治療による対症療法が基本となります。
ハンタウイルスとクルーズ船について
WHOの報告によれば、2026年5月2日、クルーズ船内で重度の呼吸器疾患を発症した乗客の集団発生が世界保健機関(WHO)に報告されました。
当時、船の運航会社によると、乗客と乗員は147名で、34名はすでに下船していました。
また、5月8日時点でハンタウイルス感染が確定した6例と、疑いのある2例、合わせて8例が報告されています。このうち、確定例2名と疑いのある1名を含む計3名が死亡しており、致死率は38%となっています。
ハンタウイルスとアフリカ
ハンタウイルスとアフリカが関係がある理由は、感染した乗客の一部が、感染した後にアフリカの国々に上陸または医療搬送されたためです。WHOの報告によると、セントヘレナ島で下船した乗客(症例2)が南アフリカのヨハネスブルグに向かう機内で容体が悪化し、到着後の救急外来で死亡しました。
また、別の乗客(症例3)がアセンション島から南アフリカに緊急搬送され、集中治療室(ICU)で治療を受けています。
さらに、別の乗客(症例7)がセントヘレナ島に上陸し、南アフリカ等を経由してスイスに帰国後、ハンタウイルスへの感染が確認されました。
そして、南アフリカの国立伝染病研究所(NICD)やセネガルのダカールにあるパスツール研究所が、感染者の検体検査やウイルスのゲノム解析を担うなど、アフリカの研究機関が、今回の国際的な事態において重要な貢献を果たしました。
アフリカの現状の対応
アフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)はこの事態を注視しており、南アフリカやカーボベルデを含む関係国の当局と協力し、患者の隔離や医療搬送、検査などの国際的な協調対応を行っているとのことです。
Africa CDCの発表によると、現時点ではアフリカ諸国内における広範な市中感染の証拠はなく、一般市民への感染リスクは低いと評価されています。
しかし、今後の感染拡大を防ぐため、Africa CDCは加盟国に対して港湾などの保健サービスの強化、感染予防・管理策の徹底、および疑い例の迅速な報告を行うよう勧告し、警戒レベルを高めています。
旅行者への注意喚起として、衛生管理を徹底し、げっ歯類や汚染の可能性のある環境との接触を避け、旅行後に発熱、倦怠感、筋肉痛、呼吸困難などの症状が現れた場合は医療機関を受診するよう推奨されています。
まとめ
今回のクルーズ船での集団感染は、現時点でアフリカ大陸内での広範な感染拡大につながるリスクは低いと見られています。
しかし、重症患者の搬送受け入れや、南アフリカ・セネガルの研究機関による迅速なウイルスのゲノム解析対応など、アフリカの医療・研究網が世界の感染症対応において極めて重要な役割を果たしていることが浮き彫りになりました。
また、Africa CDCが即座に関係国と連携し、水際対策の強化を主導している点は、アフリカの公衆衛生における危機管理能力の向上を示しています。
この危機がアフリカの市民生活にどこまで影響するのか。PickUpアフリカでも、この動向を追い続けていきます。

参照
https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON600
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hantavirus-pulmonary-syndrome/detail/index.html

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