みなさま、こんばんは!

昨年末に英国が欧州連合(EU)から離脱したことは皆さんご存知かと思いますが、本日は英国のEU離脱が英国とアフリカ諸国間の貿易関係にどのような影響をもたらすのか、解説している記事をご紹介しています。

ぜひご覧下さい。


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記事:「英国のEU離脱がアフリカ諸国との貿易にもたらす影響とは」

「UK-Africa trade: What will Brexit change?」

記事リンク:

https://furtherafrica.com/2021/01/21/uk-africa-trade-what-will-brexit-change/

内容と背景:

昨年12月31日に移行期間が終了し、英国が正式に欧州連合(EU)から離脱したことは皆さんご存知かと思います。Pick-Up! アフリカの投稿では昨年12月に、英国のEUからの離脱に備えケニアが英国と新たな貿易協定を締結したというニュースをお伝えさせていただきました。

そこで本日は、英国のEUからの離脱がアフリカ大陸と英国間の貿易にどのような影響を与えるのか、解説している記事をご紹介させていただきます。

記事ではまず、英国のジョンソン首相が昨年開かれた英国とアフリカ間の首脳会談で、EUからの離脱後は貿易モデルを改善し、アフリカ諸国の利益をよりよく保護すると約束しているにも関わらず、昨年末から離脱に備えて英国がアフリカ諸国と結んでいる新たな貿易協定はEU時代のものと大差なく、EU下での条件を英国とアフリカ諸国間の二国間協定に移行させただけのものだと解説しています。

また英国はEU離脱に際し、これまでのところアフリカの13カ国と新たな貿易協定を結んでいる一方、東アフリカ共同体(EAC)内の貿易緊張が高まることを懸念し、英国とケニア間の貿易協定締結に反対しているケニア以外のEAC諸国や、特恵貿易扱いから除外される発展途上国に分類されるガーナやナイジェリアなど、一部の国々は二国間協定の締結に消極的な姿勢を示しているとして、英国は依然としてアフリカ大陸全域でスムーズな貿易を実施できる基盤を整えられていないと解説しています。

特にナイジェリアに関しては、ドイツのGIGA研究所でアフリカ経済に関して研究していた経済学者であるDirk Kohnert氏の言葉を紹介し、ジョンソン氏がEU離脱後の英国の将来像として唱えるグローバル・ブリテンの概念をナイジェリアに導入するのは困難なのではないかと解説しています。

Kohnert氏は記事のインタビューの中で、ナイジェリアは近年中国やインドなどのアジア諸国から工業製品を多く輸入するようになっており、原油や農産物を英国に輸出し、機械や技術製品を英国から輸入するという従来の貿易モデルを維持することを望んでいないと主張しています。

さらに記事ではドイツのキール世界経済研究所で貿易経済学者を務めるRolf Langhammer氏の言葉を紹介し、英国がアフリカ諸国と結んでいる新たな貿易協定は英語圏のアフリカ諸国に対する英国のバイアスを強化するものだと、批判的に解説しています。

Langhammer氏は記事のインタビューの中で、英国はこれまでのところ西アフリカに位置するフランス語圏やポルトガル語圏の国々とはニ国間協定を結んでおらず、英国は現在、19-20世紀前半の植民地時代に築いた一部のアフリカ諸国との関係性を強化させているだけだと主張しています。

記事後半部分では、アフリカから輸入される商品やサービスは英国に輸入される商品全体の2.5%しか占めておらず、さらにアフリカ全土に輸入される英国商品は全体の2.6%に過ぎないとして、米国や中国、またイギリスと同程度の経済規模を持つフランスやイタリアといった国々と並び、英国はアフリカ大陸で激しい貿易競争に直面していると解説しています。

またドイツ国立アフリカ研究所が今年1月の記事で、現状では英国はアフリカ大陸の主要貿易相手国とニ国間貿易関係を改善するための十分なコミットメントを示せていないと記載している見解を紹介し、英国がアフリカ諸国と貿易関係をさらに強化する余地は十分にあるとの見解を示しています。

その一方で最後には、Ernst & Young社のレポートによると英国は中国やフランスなどに次ぎ、アフリカ大陸にとって5番目の直接投資源であると紹介しつつも、コロナウイルスの影響により、投資額までも減少する可能性があるとの見解を示しています。

今回ピックアップした記事は、EU離脱に関して対立的な立場にあったドイツ系メディアDeutsche Welleのニュース記事を元に書かれているため、英国とアフリカ諸国間の貿易関係の今後の展望に関して消極的な見解が多く示されているものと考えられます。英国がフランス語圏の国々などとも新たなニ国間協定を結んでいくのか、今後の動向に注目したいところです。

関連記事:

  1. 「UK-Africa trade: What will Brexit change?」Link
  2. 「African trade pact offers chance to kickstart UK trade ties」Link
  3. ケニアとイギリスが正式に貿易協定を締結【Pick-Up! アフリカ Vol. 61 :2020年12月15日配信】Link
  4. 「ケニアがイギリスと新たな貿易協定を締結か【Pick-Up! アフリカ Vol. 35:2020年11月13日配信】」Link
  5. 「バイデン政権の誕生はアフリカにとって何を意味しているのか【Pick-Up! アフリカ Vol. 32 :2020年11月10日配信】」Link
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