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みなさまこんばんは。

昨年末、英国が欧州連合(EU)を離脱したことは皆さんご存知かと思いますが、本日はその後の英国とアフリカ諸国との間の貿易関係に関する最新の話題をお伝えいたします。

ぜひ関連記事も合わせてご覧下さい。


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記事:「ガーナと英国がブレグジット後の貿易協定に署名」

「Ghana and the United Kingdom sign post-Brexit trade deal」

記事リンク:

https://www.africanews.com/2021/03/03/ghana-and-the-united-kingdom-sign-post-brexit-trade-deal/

内容と背景:

EU離脱に伴い、英国がEUを通じて締結していたアフリカ諸国との貿易協定は解消され、英国は改めてアフリカ諸国と個別の貿易協定を締結しなければならないことになったなか、本日ピックアップしている記事によりますと、この度3月2日(火)英国とガーナが新たな貿易協定への署名を果たしたようです。

2月付けの英国政府の声明によると、この協定によりガーナの英国市場への免税および割当なしのアクセスと、英国のガーナ市場への輸出業者の優遇関税引き下げが実現するようです。これはガーナが主な輸出品であるバナナや缶詰のマグロ、ココアなどの製品を関税なしで英国に取引できることを意味しており、記事によると貿易協定の署名により16億ドル相当の経済効果が生まれる見込みであるようです。また英国政府が今月2日に発表している声明によると、英国からの輸出に関しては機械や電子機器、化学製品などの輸出品が2023年より関税自由化の恩恵を受ける予定であり、将来的に英国もガーナ市場へ関税なしでアクセスできるようになるようです。

実は英国はEUを離れる前、EUを通じて行っていたアフリカ諸国との貿易を離脱後も継続できるよう、アフリカの16カ国と英国経済パートナーシップを設立しています。これにより対象のアフリカ諸国は関税なしで英国との取引を継続できることになったわけですが、ガーナは対象国に含まれていなかったため、英国のEU所属時と同様もしくはそれ以上の条件下で貿易を行うためには、改めて個別の貿易協定を締結する必要があったのです。記事によると、ガーナの英国との貿易協定締結は昨年12月に英国との貿易協定に調印したエジプトやケニアに続き、英国がEUを離脱して以来最新のニ国間協定の一つであるようです。関連記事ではガーナの英国との貿易協定への署名が遅れた背景として、ガーナが昨年12月頭に国内選挙を控えていたこと、また貿易協定へ署名した際の近隣西アフリカ諸国との緊張の高まりを懸念したことが挙げられています。

記事によると両政府は声明のなかで、協定はガーナと英国の両方で必要とされる内部手続きが全て完了した後に発効されると述べており、実際に効力を発揮するにはもう少し時間がかかるのが現状かもしれません。

英国のEU離脱がアフリカ諸国との貿易にもたらす影響をテーマに2月にPick-Up! アフリカで投稿を配信した際、ドイツ国立アフリカ研究所が現状では英国はアフリカ大陸の主要貿易相手国とニ国間貿易関係を改善するための十分なコミットメントを示せていないとの見解を示していることを紹介し、英国がアフリカ諸国と貿易関係をさらに強化する余地は十分にあるのではないかと言及させていただきましたが、英国政府が2日に発表している声明や本日ピックアップしている記事を読む限り、今回新たに英国がガーナと署名した協定はあくまでも英国がEUに所属していた際に存在していた両国間の経済連携協定の条件を復活させたものであり、両者にとってより好条件なものとなったわけではないのではないかと読み取れます。

また以前同様の投稿でも少し触れましたが、英国が今回西アフリカでは数少ない元イギリス領の英語圏であるガーナとの貿易協定に署名したことから、19-20世紀前半の植民地時代に英国が築いたアフリカ諸国との関係性は未だ強く残っていること、また英国が歴史的に関係性の強い国々から貿易体制を整えようとしていることが読み取れます。

英国のボリス・ジョンソン首相は昨年スイスのダボスにて英国とアフリカ諸国間の投資サミットを主催し、約80億米ドル相当の取引を発表したように、貿易上アフリカを重要な大陸に位置付けています。今回の署名に際し英国のリズ・トラス国際貿易大臣は、今後ガーナとの関係性をさらに発展させ、西アフリカ地域とのより広範な合意を実現できるよう協力していけることを楽しみに思うと述べています。トラス氏のコメントから英国がガーナとの貿易関係強化に前向きであること、また英国にはガーナを他の西アフリカ諸国との取引の仲介役と位置づけ、ガーナとの貿易協定締結を歯切りに西アフリカ全域との取引を活発化させたい狙いがあることが読み取れます。

ただEUや米国、中国などと英国にとって重要な市場は他にも多く存在するなか、今後英国がどの程度アフリカとの関係性を強化させ、貿易を活発化させていくのかについては今後の動向を注視したいところです。

関連記事には英国とイギリスの貿易協定締結を紹介した昨年12月の投稿、また英国のEU離脱がアフリカ諸国にもたらす影響について記載した今年2月の投稿などを載せています。ぜひ合わせてご覧下さい。

関連記事:

  1. 英国のEU離脱がアフリカ諸国との貿易にもたらす影響とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 105:2021年2月12日配信】Link
  2. ケニアとイギリスが正式に貿易協定を締結【Pick-Up! アフリカ Vol. 61 :2020年12月15日配信】Link
  3. ケニアがイギリスと新たな貿易協定を締結か【Pick-Up! アフリカ Vol. 35:2020年11月13日配信】Link
  4. バイデン政権の誕生はアフリカにとって何を意味しているのか【Pick-Up! アフリカ Vol. 32 :2020年11月10日配信】Link
  5. アメリカとアフリカの関係は変わるのか?【Pick-Up! アフリカ Vol. 54:2020年12月5日配信】Link
  6. 「UK signs Trade Partnership Agreement with Ghana」Link
  7. 「Ghana won’t sign new UK trade deal in 2020」Link
  8. 「UK to host the Africa Investment Conference in the New Year」Link
  9. 「How will Brexit impact Africa?」Link
  10. 「UK, Egypt sign post-Brexit trade agreement」Link
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