ラゴス大学がゼロ・エミッション車の試運転を開始

UNILAG test-runs zero emission vehicle

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内容と背景:

本日は、ナイジェリアの最大都市であるラゴスにあるラゴス大学が、ゼロ・エミッション車のテスト運用を開始した、という内容の記事をご紹介します。

今日では、地球規模での気候変動や地球温暖化への対策がますます多くの人々の関心を集め、その取り組みが各国で強化されています。そのようなトレンドのなか、気候変動が農業を始めとする数々の産業や国内の経済に大きな影響を及ぼすことが危惧されているナイジェリアにおいても、環境問題に対して国家レベル、民間レベルで積極的な取り組みが行われています。

実際、ナイジェリア政府は、気候変動問題に取り組むにあたり、二酸化炭素排出量を2030年までに20%減らし、また、同年までに電気供給の30%を自然エネルギーで賄うようにするという計画をたて、対策に乗り出しています。

2016年には、国連環境計画(UNEP)のサポートの下、燃料中に含まれる硫黄の濃度を下げ、大気の質を改善する取り組みが行われました。2017年にはガソリンとディーゼルの硫黄濃度をそれぞれ150ppmと50ppmとする、新しい燃料基準を導入しました。そして、自動車は人間の健康や環境に害を及ぼす物質を排出することから、大気中への有害物質の排出をさらに削減するために電気自動車の導入を進め、2021年には、「Strategy for Adopting ECOWAS Standards on Fuel and Emissions in Nigeria(ナイジェリアにおける燃料と排出に関するECOWASスタンダードの採用戦略:意訳)」で、二酸化炭素と硫黄の排出を削減するために、排出基準に適合していない自動車の輸入を禁止することをナイジェリア政府が明らかにしました。

今回ご紹介する、ラゴス大学によるゼロ・エミッション自動車の開発も、このような対策の一端を担っています。

ラゴス大学でのゼロ・エミッションの自動車の開発は2018年に始動されました。ラゴス大学副学長で化学の教授でもあるOluwole Familoni氏によると、今回開発された自動車では、ハードウェアの63%とソフトウェアの100%にオリジナルで作られたシステムを利用しているようです。その技術を用いてつくられた自動車は、内部エンジンの燃焼に伴う二酸化炭素排出をなくし、走行時の騒音を最小限に抑えるよう設計されています。

車が停止している状態では、バッテリーの充電サイクルあたり最大限の航続距離を可能にするために、エネルギーマネジメントシステム(EMS)は超低電力供給を行うようプログラムされており、高速道路などを走行する際には、EMSが適切にモードを変更し、消費エネルギー量を最小限にするように設計されています。また、車両には改良ニッケル水素電池が搭載され、時速20キロ以下で走行する場合には、1回の充電で5キロの距離をすすむことができ、適切なリチウムイオン電池を搭載すれば、時速110キロの走行でその航続距離を350キロにまで延ばすことができるようです。

この自動車の開発は、有害物質の排出を防ぐ開発を行うための大学での努力をさらに強化し、また、国内の工学分野におけるイノベーションを促進することに寄与すると考えられています。

ナイジェリアでは大学機関の果たす役割が大きく、他にも2019年には、ンスカに位置するナイジェリア大学が、ナイジェリア国内で初となる5人乗りの電気自動車「Lion Ozumba 551」の生産に成功しました。

このような国内の自動車産業の改善は、エネルギー利用の転換によって気候変動への対策となり得るのみならず、新しい様々な技術を萌芽させ、若い人の活躍の機会の増加させることも可能にします。また、多くの雇用をもたらし、自動車の輸入に費やされるコストを削減することにもつながり、国内の経済を活性化することも期待ができます。環境問題と技術発達を促進させるような分野への投資もますます増えていくことが予想できそうです。

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  1. FG to Ban Import Of Pollutant Vehicles – Link
  2. Nigeria: University of Nigeria Produces Electric Car – Link
  3. Nigeria: Why Nigeria Is Changing to Cleaner Energy – Osinbajo – Link
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